堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

前回に引き続き、CEB SHL Talent Measurement Solutions が提供しているエンゲージメント・サーベイについての情報をご紹介します。

第148回 社員調査を再考する‐エンゲージメントを超えて(3/3)

組織ミッション達成戦略に特有な特性

全ての事業には重要な優先事項、すなわち、成功推進のための戦略の重要な要素があります。例えば、家電メーカーは革新風土を醸成すること、小売店は最小のコストで最大の効率を上げること、サービス業は顧客第一主義、などです。

上級リーダーは、適切な優先事項を推進するための風土を作り出し、維持しなければなりません。リスク回避の風土の中で革新を推進しようとするなどのミスマッチは、進捗を妨げます。CEBクリア・アドバンテージ・フレームワークでは、あらゆる企業に関係する3つの普遍的特性(エンゲージメント、アラインメント、アジリティ)を測定することに加え、付加価値提案を差別化する主要な方法として組織が選択した戦略に特有の能力に焦点を当てます。

企業の発言や様々な文献・雑誌をもとに、CEBは優先事項を大まかに分類し、クリア・アドバンテージ・フレームワークに組み込みました。その一部は以下のとおりです。

  • ビジネスモデル変革――付加価値創造について、過去のモデルから新しくより優れたモデルに移行
  • 顧客中心主義――会社の商品やサービスを最重要顧客の要望やニーズに添わせる
  • 低価格リーダー――商品やサービスの最低価格やベスト・バリュー提供で競争
  • ソリューション戦略――顧客ニーズを大局的に捉え、統合/一括/あつらえの商品・サービスのセットを提供
  • 継続的改善――徐々に、もしくは、ブレイクスルーによって、常に商品やサービス、プロセスを改善する
  • 革新――新しいテクノロジーやサービス、ソリューションを生み出し、これらの新しいアイデアを実行してビジネスを成功させる
  • 合併・買収――合併や買収を通してシステマチックに成長する
  • 品質――類似する他社商品と比べて優れている

優先事項を用いてより戦略的な社員調査を作る

優先事項が異なれば、必要な組織能力や風土特性も異なります。CEB社員調査分析チームは、一般的な戦略ステートメントの先にある、一流の会社と普通の会社を分けるような組織能力を明らかにします。優先事項を支える組織能力とは例えば次のようなものです。

  • 革新の文化は知的好奇心を重んじ、新しいアイデアにオープンで、学習志向、失敗に寛容である
  • 顧客中心の文化は知識共有を奨励し、意思決定を分散化し、顧客の視点を理解しようとする
  • 低価格リーダーの文化は効率化を重視する。プロセスの簡素化、オペレーションの標準化・一元管理、適切なマネジメントシステム、無駄の削減など

優れた社員調査は、それぞれの組織に特有なこれらの要素を把握します。

我々はビジネスや社員パフォーマンスに関する膨大な研究資料をもっており、それをもとに、明らかにされた優先事項を調査項目に対応付けます。図4に示すとおり、各優先事項には、それを遂行する際にしばしば直面する重要課題があります。各課題はそれを克服するための1つないし複数の成功要素に対応付けられます。その成功要素を支えるのが組織能力で、最後にその組織能力それぞれを測定する調査項目があります。

組織の戦略遂行課題をうまく解決するものは何かについての実証研究を最大限に活用することによって、CEBクリア・アドバンテージ・フレームワークはより戦略的な社員調査を作り出します。事業の優先事項に焦点を当てることによって、組織戦略を遂行するための社員のスキルや意思を測定でき、同時に、組織の風土やリーダーシップが社員の戦略遂行を可能にする程度を測定できます。

社員調査に対するCEBのアプローチは、社員により多く、より一生懸命、より長期間働いてもらうことだけに注目しているのではありません。社員の努力がミッションに重要な課題や目標に方向付けられるようにし、また、戦略遂行に必要な組織能力の長所・短所についての重要情報をリーダーに提供します。

最後に

ビジネスリーダーは次のような重要で永続的な問いに答えられるような社員調査に目を向けるべきです。

  • 社員の動きは会社の目標や目的に沿っているか?
  • 風土は、事業の優先事項を推進するような行動を奨励・強化しているか?
  • 組織は変革を予期してリードする準備が整っているか?
  • 鍵となる社員が成功に向けて配置されているか?

これらの問いはよく知られたテーマ、すなわち、アラインメント(整合性)、アジリティ(機敏さ)、風土を現しています。どんなリーダーも、成功するには社員のエンゲージメント以上のものが必要であることを知っています。CEBの研究は、ほとんどの業績影響公式に欠けている重要な要素を浮かび上がらせました。アラインメントのないエンゲージメントは間違った道を一生懸命走っているようなものです。また、アジリティのないエンゲージメントは道を一生懸命走り、曲がり角を逃してしまうようなものでしょう。エンゲージメントとアラインメントとアジリティの3つの要素全てが同時に開発されなければならず、会社の事業の優先事項に沿った風土に向けて活用されなければなりません。

社員調査は組織を支援する有効なツールですが、そのメリットを最大に活かせる調査はあまりありません。多くの社員調査は人事施策としては焦点が狭すぎます。

社員調査がエンゲージメント・アラインメント・アジリティという普遍的な要件を測定して、特定の事業優先事項を推進する能力に関する洞察を生み出すとき、調査プログラムは測定ツールから戦略施策へと進化します。

貴社の社員調査をより機能するものに、より深い洞察を提供するものにしましょう。

詳細についてはwww.cebglobal.com/worforcesurveysにアクセスし、Solutions and Employee Surveysをクリックしてください。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

クリア・アドバンテージ・フレームワークの概要はご理解いただけましたでしょうか?皆様の会社の社員調査の改善策立案のヒントになりましたら幸いです。

文責:堀 博美

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