堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループが配信している「SHL Global Newsletter」やHPから記事をピックアップ、日本語に翻訳してご紹介するものです。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はグループの2009年8月5日プレスリリースからの記事です。

第32回 不況下における社員エンゲージメント・意欲低下の背景について、重要な洞察をSHLが公開。

2009年8月4日、香港において、SHLが現在の不況下におけるエンゲージメントと意欲についてのセミナーを主催しました。香港大卒採用者協会(HKAGR)の共催によるパネルディスカッションのパネラーは、SHL CEOディビッド・リー氏、恒生銀行取締役副頭取ジョゼフ・プーン氏、ワークグループ社香港支社長ニール・チョウィング氏。モデレーターはJPモルガン香港人事部長カレン・エヴェレット氏。核心に触れたこのテーマへの貴重な洞察が深められました。

SHLの意欲研究と社員エンゲージメント質問紙からわかったことは、男性は経営層やラインのマネジメントのまずさからやる気をなくしやすく、女性は批判や同僚との関係のまずさから不安になりやすいということです。また、女性はおやつの時間で、男性は仕事帰りの一杯でやる気を取り戻しやすいようです。

エンゲージメントや仕事の生産性に帰結するものとして、男性は収入とハイレベルな仕事が、女性は公平さと価値観がより重要であると感じていることもわかりました。さらに、女性は職場における社交の質を、男性は量を重視します。

この研究で明らかにされたことは性差だけではありません。年令による違いも、何が社員のやる気やエンゲージメントを高めるのかについての興味深い洞察を提供しています。ディビッド・リー氏は彼のプレゼンテーションの中で次のように指摘しました。『興味深いことに、昇進の重要性は若手社員において非常に高い。調査対象者のうち45才以上の人にとっては昇進がトップ10にも入らなかったのに。また、価値観が若手社員のエンゲージメント要素として挙がらなかったことも驚きです。10位以内に入りませんでした。しかし、45才以上のグループでは4位、30〜44才のグループでは7位でした。』同様に、社会への貢献がトップ10に現れたのは45才以上のグループだけでした。CSR施策はこれまで考えられていたほどY世代にとって優先事項ではないようです。

年令は意欲へも影響します。18〜34才グループは35才グループより、面白くない仕事によってやる気をなくしがちです。若手社員は会社の風土や職場環境によっても意欲を左右されます。ニール・チョウィング氏は、彼の会社の調査によってこの1年半でY世代の意欲が大きく変化したことがわかった、と指摘しました。今のY世代はこれまで以上に、財務業績に優れ職務が安定している会社を重視します。『Y世代の優秀な人材をひきつけることのできない会社は、3〜5年後、若手管理職がいなくて困るという状況になるだろう。』とチョウィング氏は警告しました。

SHLが「一生懸命働きかつ、それを楽しむこと」と定義する「意欲」は、職場で持つべき非常に重要な特徴です。SHL CEOディビッド・リー氏は次のように述べました。『意欲にあふれた労働力が大切です。社員が幸せで、打ち込んでいて、生産的で、会社のよき支持者であるようにしなければなりません。それは必ずしも大変なことではありません。しかし、適切な人材を適切な方法でやる気にさせることが重要です。皆、違っているからです。金銭面や競争、高いプレッシャーでやる気になる人がいれば、元気づけやチームワーク、同僚から認められることでやる気になる人もいます。間違えると、熱意のない非生産的な社員を持つことにつながり、それが採算に破壊的な影響を持ちえます。』

恒生銀行ジョゼフ・プーン氏も、能力開発や教育訓練など、給料以外の動機づけ要素を見つけることが会社にとって非常に重要である、と指摘しました。『結局のところ、高い給料は優れた社員をひきつけるかもしれませんが、それが必ずしも彼らの忠誠心を得ることにつながるとは限りません。』と彼は強調します。プーン氏はまた、不況下で退職率が低いように見えても、自社の社員をどのようにエンゲージさせ、やる気にさせるかを忘れてはいけない、と提起しました。『経済が安定したら退職率は必ず再び上昇します。先々を見据え、自社社員を動機づける方法を常に発見することによって、それに準備し続けることが大変重要です。』

何が様々な人を動機づけ、エンゲージさせるのか評価することの重要性を鑑み、SHLは意欲検査を改訂しました。対象者にとってどの要素が重要かを掘り下げます。上司がどのようにマネジメントしてチームの力を最大限に発揮させるかを判断する際、この情報は貴重です。

現不況下において、あなたの部下を動機づけるためのヒント:

  • 部下と話す−自分の仕事の様々な側面を評価してもらい、何によってやる気になるのかを見つける。
  • 心理測定ツールを利用する−メンバーのスキル、コンピテンシー、ポテンシャル、個々の動機づけ要因に基づいて、個人やチームをどのように配置するのがベストなのか検討する。
  • オープンかつ正直である−自分のチームと問題を共有することで信頼関係が構築され、部下がしっかりする。
  • トレーニングを考える−メンバーが新しい役割につくとき、支援されていると感じる必要がある。
  • グループで、また、1対1で、チームメンバーと一緒の時間を持つ
  • 大局を見失わない−困難な決定は単に金銭面だけ関するものではない、と社員は理解している。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

8月4日に香港で行われたセミナーの報告です。内容のベースになっている調査は本コラムの第25回第29回で詳しくお知らせしたものと同じです。バックナンバーをクリックして再読いただければ幸いです。

文責:堀 博美

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