堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はCEBブログから、HIPOプログラム(高ポテンシャル者の識別と育成)に関連する記事をご紹介します。

第211回 HIPOプログラムをどう改善できるか

高業績者の中から優れた経営トップとなるポテンシャルを持った人材をどう見分けるか、そしてそれらの人材が能力を伸ばせるような職務をどう与え、どうやってその会社で働き続けたいという気持ちにさせるか、考えてみましょう。

アジアの大都市で先日行われたHIPOワークショップで、出席した13人の人事マネジャーに、HIPOのための体系的なプログラムを持っているかどうかを質問しました。

13人全員が手を挙げました。次に「そのうち、プログラムの成果に満足している人は?」と質問したところ、残ったのは2人だけでした。

この小さな調査結果は、はるかに科学的かつ大規模に行われたCEB調査の結果を映し出しています。その大規模調査では、自社のHIPOプログラムに満足している人事部長は6人に1人でした。事実、CEBの分析では、HIPOとして見分けられた人の半分近くが5年以内にプログラムから落ちています。

会社がHIPOプログラムに費やす膨大な時間や資金を考えると、見返りは乏しいようです。原因は大きく2つあります。1つ目は人事チームや関係者がちゃんとHIPOを見極めていないこと、2つ目はかっちりした適切な能力開発プログラムがないことです。

大多数の会社がよく間違えるのは、高業績者=HIPOとみなしてしまうことです。高ポテンシャル者としてリストアップしてその後の能力開発プログラムに送り出すマネジャーたちはパフォーマンスとポテンシャルを混同しがちです。しかし、現職での高業績がそのまま上位職での高業績の指標ではありません。

事実、CEBデータによると、高業績者うち真のHIPOは15%だけです。ですから、高業績者の多くがHIPOだとみなしてしまうと、会社は、組織の上位職で優れた成果を上げられない人に対して多額の投資をすることになります。

幹部社員として高い業績を上げる可能性が大きい人を見極めるために、会社は、現職で高い業績を挙げている人に3つのフィルターをかける必要があります。それらは彼らの「志」「能力」「エンゲージメント」です。簡単に言うと、より上位職に昇りたいという志、上位職で結果を出せる能力、長期に渡って会社にいたいというコミットメントの3つをもった高業績者がHIPOです。

高業績者が適切な志・能力・エンゲージメントを持っているかどうかを見つける際、CEB分析は、幹部職に昇る人とそうでない人を区別する意欲的要素と行動的要素があることを示しています。

高いレベルの活動によって意欲づけられる人は:

  • 権限を行使し、人に影響を与えることを好む
  • 通常以上の努力とコミットメントが求められる仕事を楽しむ
  • 変化や刺激のある仕事を好む
  • 固定化されておらず、自分に最大限の自律性が与えられる仕事環境を好む

彼らはまた、主導権と責任を取る能力を示し、結果を達成するための推進力を持ち、自己啓発に投資していました。

結果を出し、上級レベルで成功できるためには、トランスフォーメーショナル能力とトランザクショナル能力の両方を示す必要があります。これらは「長期的ビジョンを作る」「組織全体にうまく伝える」「チーム全体を動かしてサポートを得る」「結果を出す」というコンピテンシーで構成されます。

これらのコンピテンシーを持つ人は、パーソナリティ検査や知的能力テストを通してキャリアの早い段階で見分けることができます。

HIPOがバーンアウトしたりスキルや経験を他社に持っていくのではなく、意欲を保って社内で昇進に向けて働いてもらうためには、エンゲージさせることも重要です。

エンゲージメントの高いHIPOが社内にとどまる可能性は低いHIPOの2倍です。理性的レベル(給与、職位、日常業務の内容など)と感情的レベル(上司やチームメンバーとうまくやれているかどうか、会社の価値観やビジョンに共感しているかなど)の両方でのコミットメントが必要です。

エンゲージメントの評価は上司やその上の上司によってなされなければならず、この評価は理性的と感情的の両方のコミットメントレベルを含むべきです。この目的のために組み立てられた質問紙を使うことができます。

HIPOプログラムに適切な社員を選んでいないこと以外に、失敗の原因として大きなもう一つの点はプログラムの設計不良です。CEBデータによれば、93%の会社が効果的なHIPO能力開発プログラムを持っていないという事実があります。

HIPOの能力開発プログラムは、彼らのやる気を高めるような機会を与えるものでなければなりません。つまり、高いレベルの活動を含み、通常以上の努力やコミットメントが求められ、変化や刺激のある任務です。HIPOを本当に能力開発して会社に残ってもらうためには、これら自分の力を目一杯伸ばさなければできないような任務が会社に大きく役立つものでならず、かつまた、高いリスクをもつものでなければなりません。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

将来の幹部社員の発見・育成は大きな人事課題です。高業績者からその可能性を持つ者を見極めるプロセスに適性テストが大きな役割を果たすことができます。しかし、意欲やパーソナリティの特徴以外の要素も見逃すことはできず、また、選抜後の育成方法に全社的なサポートが必要です。

(文責:堀 博美)

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