堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はイギリス大手小売事業者のフロア店員採用事例をご紹介します。

第139回 事例:マークス&スペンサー

マークス&スペンサーはイギリスで誰でも知っているお店で、最も愛されている衣・食・住の小売ブランドです。1884年に創立されました。イギリスに300店舗、海外に150店舗あり、従業員は6万9000人。世界30ヶ国で操業しており売上は80億ポンドを超えます。

優れた顧客サービスがマークス&スペンサーブランドの核であり、そのためには、適切な人材を適切なタイミングで適切な場所に配置することが必要不可欠です。マークス&スペンサーの店長は、「顧客を喜ばせる」ポテンシャルを持ちチームの中でうまく仕事ができる人材を素早く見極めることのできる、より効果的な採用プロセスを望んでいました。

マーク・トーマス(マークス&スペンサー 組織開発コンサルタント)は次のようにコメントしています。「解決すべき問題が2つありました。まず、採用プロセスが非常に高価で非効率的でした。コストがかかりすぎていました。次に、採用する人材の能力をより高めたいと思っていました。競争力をつけるためには、真に優れた人材を組織に入れる必要がありました。」

会社は、才能とはトレーニングや経験によって説明しきれない、もって生まれた資質である、という考え方を持っています。それらは一貫したパターンの考えや感情、行動であり、予想可能な(有益な)行動につながります。彼らがそういう行動をとるのは、彼らがそういう人だからです。それらの資質はサイコメトリックスを使うことで、見極められ測定されることができます。

この考え方に基づいて、マークス&スペンサーは、強みを基にした組織へ移行しようとしています。適切な人材を適切なタイミングで適切な場所につけることです。プロセスの観点で言えば、各職務に関連する適切な才能を見極め、それらの才能を持つ人を採用し、具体的なスキルや知識をトレーニングして、彼らの長所に従って配属する、ということになります。

会社はこの信条を採用プロセスの初期段階に、時間と資金を節約するような方法で組み込みました。最初に注目したのが店舗スタッフの選抜です。これまで、面接から採用に結びつく割合が非常に低いと見られていたプロセスでした。面接された応募者の多くが職務に向いていなかったり、かなりの割合の人が定められた時間に面接に来なかったりで、多くの費用と時間が無駄になっていました。

そのため、面接に呼ばれる人が成功に適切なスキルと態度を持っていることを確認できるような一次選考のツールが必要でした。面接から採用に結びつく割合が顕著に高まり、プロセスの早い段階で適切な人材を見つけることができるツールです。

マークス&スペンサーはトライアル計画を組み、4つの別々の会社から提案された4つの方法を吟味しました。SHLのトライアルが他の3社よりも明らかによい結果を出し、その方法を全社に広げることになりました。SHLがマーケット・リーダーとしての評判をもち、客観的アセスメントの権威として認められていることもまた、社内の上級レベル幹部の賛同を得ることに重要でした。

SHLはマークス&スペンサーと協力して、オリジナルなタレント・スクリーナーを開発しました。その職務の成功に重要であるとされた内的資質を測定できるような、職務に関連した、シナリオベースの検査です。

SHLは、鍵となる関係者と、その職務で業績の高い人、平均的な人、低い人の代表グループを明らかにし、フォーカスグループやインタビューに参加してもらいました。その職務に典型的な状況や問題に対して、望ましい『マークス&スペンサーのやり方』で対処するために必要な資質を、そのツールが確かに測定できているようにするために、この段階は重要です。

「検査項目が適切で、心理測定的にしっかりしていて、同時に公平で、パフォーマンス・ポテンシャルの妥当な指標を提供しているようにするため、我々はSHLと緊密に連携しました。マークス&スペンサーの社風やイギリスの小売環境に関する我々の深い知識と、SHLのアセスメントにおける経験とのコンビネーションが、このプロジェクトの成功に重要でした。」(マーク・トーマス)

現在では、応募者全員が、面接の前にこのタレント・スクリーナーを使って電話で一次選考されます。検査にはいくつかのバージョンがあり、それぞれSHLが設計した12個の質問が含まれます。応募者は採用担当者の1人と電話で話し、バージョンの一つに回答します。これらの質問は候補者が発揮しそうな行動特徴を明らかにする役に立っています。

このステップによって、より多くの応募者が費用対効果の高い方法で評価されるだけでなく、全員が一貫した枠組みに照らして評価されることが可能となりました。さらにより効率的なやり方を検討中ではありますが、このプロセスはすでに節減効果を上げています。プロセスの早い段階で不採用となった応募者は33%増え、面接を受ける人数は減りますが、それらは高い資質を持った人々です。面接の合格率は45%増えました。面接に来ない応募者の数も18%減りました。これらの改善によってトータルで採用者一人当たりの費用は61%低減し、会社全体の採用コストはこれまでで1500万ポンド以上節減できました。

タレント・スクリーナーの活用はまた、採用者の質に影響を与えています。社内レビューの結果、ラインマネジャーの75%が、新しいプロセスを使って選抜された社員のパフォーマンスが「よりよく」なっていると評定しました。タレント・スクリーナーは職務の成功の強力な予測指標でもあります。一次選抜で得点の高かった人の76%が、入社6ヶ月後の人事考課で「優れている」「顕著に優れている」と評定されました。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

ここで紹介されているタレント・スクリーナーとは、面接の前の予備調査的な検査です。実際の職務で遭遇しがちな状況に対してどう行動するかを答えてもらいます。日本エス・エイチ・エルが提供しているCCSQ(カスタマーコンタクト適性検査:接客・販売サービス職向け)にもこういったシナリオベースの検査が含まれています。具体的な接客場面のシミュレーション演習を通して、受検者の接客タイプを測定します。

ご興味のある方は、お気軽に弊社までお問い合わせください。

文責:堀 博美

バックナンバー

2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年

学会発表論文