堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループのネット配信「SHL Newsletter」や広報誌「Newsline」、HPから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は事例をご紹介します。私も朝食でよくお世話になっているケロッグの幹部育成プログラムの事例です。

第53回 事例:ケロッグの人材マネジメントプログラムにSHLがパリン、パチパチ、ポンを追加

「SHLは優れたアドバイスと専門性を提供し、真のパートナーとして、我々が包括的なプロセスを確立する手助けをしてくれました。SHLのコンサルタントは、我々が社内の様々な部門に渡る人材を評価できるような非常に革新的なプログラムを実施してくれました。このことが我々にヨーロッパ全土に存在している人材プールへのユニークな洞察を与えてくれ、現在と将来の成功に向かって我々の最高の資産である人材に投資できるようになりました。」(ケロッグ ヨーロッパ組織効率担当人事部長Cath Bailey)

背景

サンディ・タイムズ紙の「働き甲斐のある会社」トップ100にも選ばれた世界トップのシリアル・メーカーであるケロッグは、社員が新しいスキルを開発し、新しい経験をして長期的なキャリア・パスを形成できるような多様な人事体系を構築しようとしています。その鍵は、社内の人材を能力開発し、高業績者の将来のキャリア志望をサポートするような適切な経験をできるようにすることです。

チャレンジ

将来のリーダーである高業績者の強みと開発ニーズを明らかにするために、ケロッグは、シニア・マネジャーのポテンシャルを測定するビジネス・シミュレーション・アセスメントを設計・運用できないか、とSHLに問い合わせました。

解決策

最初のビジネス・シミュレーション・アセスメントは2008年に行われました。イギリス、アイルランド、フランス、ベルギー、イタリア、スペイン、ドイツ、ノルウェーのヨーロッパ8ヶ国から、営業部門とマーケティング部門のトップが2日間のプログラムに参加しました。参加者は全員、事前にオンラインでパーソナリティ検査を実施し、目標や自分の仕事の専門性について上司と面談しました。さらに、事前に読んでくるようにと冊子が配布されました。冊子はプログラムで実施されるシミュレーションの概要を説明するもので、参加者がプログラムから最大限の成果が得られるよう準備するためのものです。

1日目は純粋なアセスメントに焦点が絞られます。ケロッグの現実にかなり近い架空の会社で参加者がシニア・マネジャーとして3ヶ月間仕事をするという設定です。課題には以下のようなものが含まれます。

  • 経営会議への出席
  • 事業計画の作成
  • ある販売促進策が失敗してしまったという事態への対応
  • 部下の能力開発に焦点を置いた、メンバーとのロールプレイ
  • 新商品の利点を説得し交渉する、顧客とのロールプレイ
  • ネットワーキング・ディナー

さらに業績数字や即時対応の必要なメモについて検討させるような、一連の筆記課題も実施されました。

2日目はリーダーシップ・スキルの開発とキャリア・プランニングに当てられました。ロールプレイの録画を見たり、パーソナリティ・プロファイルについて議論したりして、参加者が前日の成果について振り返ります。そして、それらの情報が仕事やキャリア希望にどのように関連するかを吟味します。プログラムの最後には、参加者は観察者から詳細なフィードバックを受け、自分の専門性やリーダーシップ・スキルについての理解を深めることができます。

2日間のプログラムに続いて、適切な能力開発活動を明らかにし、それがきちんと実行されるよう支援する機会が何度かあります。各参加者は受け取ったレポートを元に、能力開発計画を作成します。また、会社側にはSHLからプログラムで明らかになった重要テーマを要約したものが提出され、営業とマーケティング部門のグループとしての強みと弱みに基づいた能力開発戦略が立案されました。

結果

プログラムは大成功を収め、参加者にも好評だったため、ケロッグは現在、このアセスメントを他部門に展開しています。HR、IT、サプライチェーン、財務、コミュニケーション、研究開発などヨーロッパのサポート部門で、部門を越えたプログラムが設定されています。

ヨーロッパ組織効率担当人事部長のCath Bailey氏は次のように述べています。「ビジネス・シミュレーション演習は、高業績者とポテンシャルの高い社員を見分けることに役立つよう設計されています。これによって我々は現在と将来のトップの人材をすべて視野に入れることができます。ケロッグは常に、後継プロセスをマネジメントすることに比重を置いてきました。SHLとの仕事で、我々は自社の最高の人材をより構造的な方法で能力開発することができ、社員のステップアップに伴うスムーズな移行が可能になりました。特に、幹部がもっと経験を積まなければならない分野を明らかにすることができ、それをじかに経験させて重要な後継者が用意できた状態になるスピードを加速することができました。また、部門を越えてシミュレーションを実施したことによって、営業とマーケティングのトップレベルに緊密な関係が築かれました。ケロッグは人間関係をベースにした会社であることに誇りを持っていますので、ネットワークを築いて協力して仕事をすることが社風の非常に重要な側面なのです。」

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

評価と育成の両方を視野に入れたプログラムは非常に参考になるのではないでしょうか。

文責:堀 博美

バックナンバー

2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年

学会発表論文