SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は、オンライン版ワシントン・ポスト2015年1月25日号にCEBのJean Martin(タレント・ソリューション・アーキテクト)とEugene Burke(チーフ科学分析オフィサー)が寄稿した記事をご紹介します。

第177回 ミレニアル世代のマネジメント――虚構と現実を分ける

世界中の会社がミレニアル世代の採用に目を向けています。1980年から2000年代初期に生まれたこれらの人々が急速に労働力に加わり、リーダーの役割に上りつつあります。会社が将来の労働力を計画する際、ミレニアル世代は重要層です。

この世代を呼び込んで採用する競争は厳しいものです。ミレニアル世代は他の世代と同じくらいの数の就職面接を受けますが、合格をもらう数は12.5%多いです。会社はミレニアル世代を誘致・採用し、つなぎとめようと様々な策を用いますが、この世代について広まっている多くの虚構が混乱を生み出しています。どうすれば虚構と現実を見分けることができるのでしょうか?

パフォーマンスとエンゲージメントをマネジメントする鍵は、ミレニアル世代と彼らの嗜好を理解することです。我々は10,000人以上のミレニアル世代の習慣と仕事への期待を研究し、いくつかの驚くべきことを明らかにしました。

虚構1:ミレニアル世代はソーシャル・メディアを重視する
現実1:ミレニアル世代はソーシャル・メディアを使うが、他の情報源ほどそれを信頼していない

ミレニアル世代はその前のどの世代よりも会社について知るためにソーシャル・メディアを使いますが、そこからの情報を信頼する人は3分の1以下です。会社は候補者に働きかけるためにソーシャル・メディアを使うべきですが、それを過大評価してはいけません。求職者はすべての世代に渡って、職探しの際に友人や家族を最も信頼します。ですから、推薦プログラムなどの伝統的な経路は今でも決定的な要素です。

虚構2:ミレニアル世代は給与で動機づけられる
現実2:給与は重要だが、機会ほどではない

実際、我々のデータは、ミレニアル世代はその上の世代ほど給与によって動機づけられないことを示しています。その代わり彼らが最も重視するのは、能力開発と成長の機会、自分の持てる才能を発揮して会社で昇進していくチャンスです。新しい職務に求める特徴のトップに「将来のキャリア機会」を挙げる率は他の世代の1.5倍です。素早く学びインパクトを残せる可能性を強調することによって、会社はより多くのミレニアル世代にアピールできます。

虚構3:ミレニアル世代は競争よりも協力
現実3:ミレニアル世代は最も競争心の強い世代である

「自分のパフォーマンスを同僚と比較する」と認めたミレニアル世代は58%、他の世代では48%です。ミレニアル世代の競争心に訴えるためには、会社は成果主義的報酬体系の構築を検討するだけでなく、ミレニアル世代のインパクトをより見える化して自分を周囲から際立たせることができるような機会を作るべきです。

虚構4:ミレニアル世代は仕事で同僚を頼る
現実4:ミレニアル世代はあまり同僚を信頼しておらず、「独力でやる」ことを好む人が多い

驚くことにミレニアル世代は仕事で同僚のインプットを信頼していません。割り当てられた仕事を自分が正確に完了できると信じているのは37%ですが、ミレニアル世代以外の世代ではわずか26%です。しかし、同僚とのつながりはミレニアル世代も他の世代も同じくらいです。同僚と緊密な個人的関係を持っていると答えたのはどちらも3分の1以上でした。社員の関係構築を支援してパートナーシップを促すため、会社は同僚のインプットの価値を強調し、全社員に協力の十分な効果が見えるようにすべきです。

虚構5:ミレニアル世代は会社を次々と変わりたいと思っている
現実5:ミレニアル世代はいろいろな経験をしたいと思っているが、必ずしもいろいろな会社を経験したいわけではない

ミレニアル世代は「organization hop(会社を次々移ること)」ではなく「experience hop(次々経験すること)」をしたい、というのが現実です。ミレニアル世代は他の世代よりも仕事を探している人が多いというのは真実です。半分以上が社外でのキャリアチャンスを探しています。X世代では37%、ブーマー世代では18%です。しかしながら、ミレニアル世代の53%が社内での仕事機会が望ましいと考えており、この数字は他世代とほぼ同じです。会社は、多様なキャリアチャンスを提供し、社内で様々に異動することのメリットを明らかにすることによって、ミレニアル世代をよりうまくつなぎとめることができます。

ミレニアル世代についてはいろいろな情報が出回り、虚構と現実を見分けることが難しいものです。しかしながら、ミレニアル世代が−そして他の世代についても−、仕事についてどのように考え、自分のキャリアに対してどのような期待を持っているかをより理解することによって、会社はこの才能豊かな世代からより多くのものを得ることができるでしょう。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

日本では新卒採用選抜シーズンが具体的に迫ってきました。有望なミレニアル世代をどのように惹きつけて戦力化していくか、この記事が参考になれば幸いです。

文責:堀 博美

タレントマネジメ
ントコラム 日本エス・エイチ・エルの人事コンサルタントの視点

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