SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループのネット配信「SHL Newsletter」や広報誌「SHL News」、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はSHLのホームページに関連ニュースとして掲載されている情報の中から、Workforce Management Online の記事をご紹介します。事例としてアメリカ・コロラド州のヴェイル・リゾート社を取り上げながら、近年、パーソナリティ検査の人気が高まっていることをレポートしています。

第89回 パーフェクトなパーソナリティを採る――アセスメント・テストの人気高騰

この10年間、パーソナリティ検査の人気が高まっています。2011年5月の調査では、回答企業の80%以上が採用もしくは社内人事決定の際に何らかのアセスメント・テストを行っていることがわかりました。

コロラド州本社の高級山岳リゾート運営会社ヴェイル・リゾートが昨年ウェブサイトにオンライン応募機能を付加すると、世界中から2万人以上が応募しました。採用プロセスの改革が必要です。

同社は毎年、シーズン用に1万人以上を採用します。人材を『選ぶ』ことができると喜ぶ一方、少人数の人事スタッフが応募者一人ひとりを吟味するには数が多すぎます。詳しい検討に値する候補者を人事スタッフが素早く簡単に見つけられるようなツールが必要となりました。同社は捜索の幅を狭めるためにパーソナリティ検査を選択しました。

「我々のビジネスに真に重要なコンピテンシーと価値観の測定を支援するものが欲しかったのです。」ヴェイル・リゾート採用部長レベッカ・ボーデン氏は言います。「我々の仕事のほとんどはカスタマー・サービスです。プロセスの早い段階で明確な情報を得る方法が必要でした。」

昨年、第一次選抜にパーソナリティ検査を導入して以降、リゾートでの顧客満足度は改善しました。新たに採用された従業員がかなり高いレベルのパフォーマンスを上げている、とボーデン氏は指摘しています。

パーソナリティ検査はこの10年間で大きく普及してきました。コンサルティング会社アバディーン・グループによる2011年5月の調査では、回答企業の80%以上が採用場面や社内人事決定場面で何らかのテストや検査を実施していることがわかりました。

アバディーン人材マネジメント研究部長であり、この調査の分析責任者であるモーリィ・ロンバルディ氏は、急速にテストがオンラインで実施できるようになりコストが手頃になってきたことが使用を広げている、と述べています。

しかし、ロンバルディ氏のレポート『アセスメント2011』によれば、パーソナリティ検査普及の背景には、起伏の激しい経済環境下で成長するために慎重でなければならないという企業のプレッシャーがあります。

多くの企業は成長のためにスタッフを大きく増やすことはできません。つまり、新しく採用される人はこれまでと同じであってはならず、素早く結果を出すことができなければなりません。

自分のパーソナリティとかみ合わない企業にどう溶け込むかを教えることはかなり難しい、とロンバルディ氏は言います。

「企業がパーソナリティ検査を使う最大の理由は、採用の成功が合う/合わないにあるからです。スキルは重要です。しかし、スキルは教えることができるものです。機械を使うことができるかどうかをテストすることはできます。しかし、もしその人が使い方を知らなければ教えることもできます。」

ヴェイル・リゾートは、イギリス本社の人材マネジメント会社SHLグループのパーソナリティ検査DSI(Dependability and Safety Instrument)が自社のニーズに合うと判断しました。

SHL商品開発改善担当副社長ケン・ラーティ氏は、エントリーレベルの採用に適したテストもあればマネジャー職の採用に適したテストもあるため、SHLは複数のパーソナリティ検査を提供している、と述べています。

「仕事に関連する全てのコンピテンシーを網羅的に見るテストがあれば、非常に簡単にパーソナリティの2、3の側面のみに焦点を当てるテストもあり、また、通常の採用プロセスの中で他の種類のテストと組み合わせて簡単に使えるモジュラータイプのテストもあります。

「パーソナリティ検査は候補者のソフト・スキルについての情報を企業に提供し、採用決定を支援します。妥当性の高いパーソナリティ検査を採用で用いることで、信頼性や規則遵守、安全志向、カスタマー・サービス、意欲や自主性、他者への影響力、チームワーク、関係構築、コーチングやリーダーシップなどで候補者がとりそうな行動について、事前の洞察を得ることができます。さらには、企業風土や企業価値観との適合度についての感触をつかむこともできます。」

(後略)

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

記事の原題は、『Picking the Perfect Personality: Assessment Tests Grow in Popularity』です。長い記事なので前半のみ抜粋しました。後半には、カリフォルニアに本拠を置くCPP社のCPI検査やMBTI検査についての記述、活用例が書かれています。

アメリカでは人事決定における差別や不公平が法的係争に持ち込まれることがよくあり、よって、パーソナリティ検査など、職務との関連性が比較的正当化しにくい手法は避けられる傾向にある、というのが訳者の理解でした。そのアメリカでパーソナリティ検査の人気が急速に高まっているというこのニュースは、少し驚きです。テスティング技術が進み、法的な場に持ち込まれても耐えられるだけの妥当性の証拠データが整備されてきた、とも考えられるのではないでしょうか。

文責:堀 博美

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