堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を、日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループのネット配信「SHL Newsletter」や広報誌「Newsline」、HPから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はNewsletter4月号でSHL Viewと題されたコーナーから、グループCEOによるコラムを取り上げます。

第49回 「いい気にならずに適合度を」SHL CEO ディビッド・リー

大卒採用担当者にとって挑戦の時

現在は間違いなく大卒採用担当者にとって挑戦の時です。メディアが連日報道しているように、ただでさえ大卒者に充分な数の職務がないのに、社会に出て働くことへの希望と情熱にあふれた2010年卒業生が大学を卒業しようとしています。このことは、大卒採用担当者にとって、大卒者の中でも最高の人材を獲得できる最大のチャンスが訪れていることを意味します。しかしながら、問題は、大卒採用担当者が必ずしも常に「最も自社に合った人」を探しているわけではない、ということです。

組織適合の重要性

採用担当者の中には、これまで非大卒者のポジションであった仕事に大卒者をつけられると考えて、喜んでいる人がいるかもしれません。しかし、長い目で見ると、その人たちは自ら墓穴を掘っている可能性があります。なぜならば、それらの新人たちは大学で勉強してきたことにふさわしいと思える仕事に出会うとすぐに会社から逃げてしまうからです。一流の学歴を持った学生たちがこれまでは何の学位も必要でなかった職務で働きたいと言ってきても、いい気になってはいけません。彼らがあなたの会社に入社したいしかるべき理由があるのかどうか、たとえ職場が工場の作業現場であろうと重役会議室であろうと、よい仕事をしようという充分な情熱があるのかどうか、を確かめることが何よりも重要です。

通常、大卒者はこれまで長期間働いたことはありませんから、彼らの履歴書は学校の成績や興味が散りばめられた歴史のひとかけらです。しかし、彼らの「適合度」を判断することは不可能ではありません。まずは自社で成功するには何が必要かを検討することから始めるとよいでしょう。

新卒で入社してCEOに

実際、採用担当者は、自分たちが新たなアンドリュー・ウィッティやトニー・ヘイワードを探しているのだと考えるとよいでしょう。両名とも新卒で入社した会社でCEOになった人物です。アンドリュー・ウィッティは大手医薬品会社GSKに1985年に入社しました。トニー・ヘイワードは博士課程を卒業し、最初の仕事は1982年、石油エネルギー会社BPグループで石油掘削装置を担当する地質学者としてでした。両名ともその業界への情熱を持ち、より重要なことに自分たちが働く会社への情熱を持っています。自分が選んだ会社に文化的に適合していなかったら、トップに上り詰めることはもちろん、仕事に対して距離を置いたままでいたことでしょう。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

英語のタイトルは「Fit not flattery」。Fの韻を踏んだタイトルです。買い手市場の採用だからこそ「組織適性」をしっかり確かめるべきだ、という主張です。

組織適性・職場適性を重視する視点は日本のほうが格段に優れています。欧米が職務採用であることに対し、日本は多くが総合職としての一括採用です。また、記事の中で「新卒で入社してCEOになった人物」を取り上げていますが、日本ではかなり当たり前のことではないでしょうか。

能力だけでなく、その会社の理念や企業風土に合うかどうか、は採用面接官が見極めるべき第一のポイントでしょう。この点、欧米の採用慣習も日本に近づいてきていると言えます。一方、組織適性を捉える時、組織の側の求める要件や風土・価値観なども具体化・数値化してデータベースでマッチングしようという試みは、分析的な欧米の得意とするところで、面接官の主観に頼ってしまいがちな日本が学べるところは大きいと思います。

ゴールデンウィークが終わりました。今年は厳選採用ということで、決着までのプロセスは例年よりも遅めであると聞いています。人事ご担当者の皆様はまだまだご多忙なことでしょう。ぜひ企業と学生の双方にとって幸せな採用活動をお願いいたします。

ところで本連載も次は50回を迎えます。区切りにふさわしいニュースがないか、とアンテナを張っています。

文責:堀 博美

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