SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はSHLグループHPのブログから、パーソナリティ変容に関する記事をご紹介します。

第365回 進化する職場で成功するために、自分のパーソナリティを変えるべきか?

変化し続ける職場環境に適応するには、より機敏に、積極的に、そして冷静であることが必要です。

カレン・マクローリン

2021年 3月 2日

パーソナリティ特性は、健康や幸福、教育、および仕事における様々な結果を予測します。だとすれば、自己の向上に向けて、自分のパーソナリティを「変える」ための措置を講じるべきなのでしょうか?

私たちは歴史的にユニークな時代を生きています。多くの人にとって、いつ、どこで、どのように仕事をするかが劇的に変化しました。新しい働き方に移行するにつれて、様々な程度の不安やいらいら、孤独を経験したことでしょう。

私たちの中には、他の人よりも簡単に適応し、落ち着いていてストレスを感じない人もいます。もちろん、それぞれの状況や環境はユニークで、あるものは他のものよりも困難であり、それが適応力に影響するでしょう。しかし、変化する状況に対する私たちの感じ方や反応に影響を与える重要なパーソナリティ特性もいくつかあります。

研究によると、パーソナリティのビッグ5モデルによって測定される「神経症的傾向」(課題や変化に直面したときに恐怖や不安をより強く感じる)、もしくはその逆の「情緒的安定性」(一般に落ち着いていてストレスを感じない)が、進化する働き方にどれだけうまく適応できる/できない、を予測できます。たとえば、「情緒的安定性」が高く「積極的なスタイル」を持っている人は、従業員として最もうまく適応できます (Huang. J.Lら, 2014)。

職業心理学者として、私は、SHLパーソナリティ検査(OPQ) を用い、人が自分の「生まれ持ってのポテンシャル」を理解して、それが職場における自分の行動にどのように影響するかを考えることを支援してきました。その際、よく聞かれる質問のひとつは、「パーソナリティは変えることができるか?どうすれば?」です。10年ほど前この分野で働き始めたとき、私はこれらの話は少し難しいと感じました。人のパーソナリティには「神聖な」何かがあります。その人に固有のものであり、それがその人をその人自身にするものです。なのに、私たちはそれを変えようと主張すべきなのでしょうか?パーソナリティの概念に対する私たちの理解は進化し、私の経験も進化してきました。私は、自己認識と、的を絞った努力、そして練習によって、私たちは特定のパーソナリティ特性とその発現を徐々に適応させることができる、と信じています。

親、教師、従業員として、私たちは暗黙のうちに、変わることで自分がより良くなるのであれば、それを達成するために努力すべきである、とわかっています。自分を「改善したい」という私たちの欲求をねらう「自助」本がたくさんあります。幸いなことに、パーソナリティは固定されているという広く信じられていることとは反対に、パーソナリティは変化します。特に、人生における大きな否定的な出来事は、最も大きな影響を与える可能性があります。

研究によると、遺伝的影響は重要で、パーソナリティ特性の発現を左右する一方、大人になるにつれて環境がより大きな役割を果たし始めます。たとえば、思春期を過ぎると、責任感が増し、情緒的に安定するよう変化します。が、劇的に変化するわけではありません。イリノイ大学心理学者ブレント・ロバーツは、私たちは人を丸ごと変えられるという希望を持ち続けるべきではない、と考えます。しかし、彼は続けて、「もし人が自分の1つの側面に焦点を当て、体系的に取り組む意思があるならば、その領域の変化に影響を与えることができる、という楽観主義が高まっている」と述べています。

コベントリー大学のダレン・スティーブンス博士は、先月のABP会議で「Constructed Development and Psychometrics」について発表しました。そこで彼は、パーソナリティがどのように構築されるか、そしてそれをどのように測定できるかというテーマに焦点を当てました。たとえば、彼は、私たちのパーソナリティ特性が時間の経過を超えてかなり安定している可能性が高いことについて話しました。しかし、その時点での自己構築、意図、意識、および選択も、私たちが状況にどのように対応するかを決定するそうです。したがって、個人のパーソナリティを理解する上で考慮すべき要素は多岐にわたります。このことが、パーソナリティの正確な測定を複雑にします。

組織の従業員のパーソナリティデータをレビューしてきた私の経験では、「rule following(律儀)」など特定次元の特性は、その人の職場環境によって時間の経過とともに形成されていくように思われることが時々あります。

面談でそのような特性を掘り下げるとき、多くの受検者が、自分はもともと常に「規則」に従う人だとは思わない、ただ、職場環境が厳格な手順を遵守することを求めるのだ、と言います。規則を遵守するには意図的な意識が必要であり、それが時間の経過とともに習慣になります。

自己認識、意図的かつ持続的な努力、練習を通じて、私たちは思考、信念、行動パターンを意識的に適応させ、そうやって特定のパーソナリティ特性を形成することができる、と私は信じています。臨床的、非臨床的、および社会的な場での研究例は、このことを支持しています。認知行動療法(CBT)、心理療法、ソーシャルスキルトレーニング、さらにはマインドフルネスなどのさまざまな中長期的な介入は、神経症傾向の減少、外向性の増加、情緒安定など、特性の持続的な変化につながる可能性があります。

しかし、議論は白熱します。私たちは実際に自分の根底にあるパーソナリティ特性を変えているのでしょうか、それとも単にそれらの発現を変えているのでしょうか?

それでは、「自己改善」、たとえば、もっと外向的になって職場で他の人々と気軽に接し、神経症的な傾向をあまり示さず、打たれ強く余裕があるようになりたい、とあなたが決断した場合、どうしたらいいのでしょうか?

  1. 自己認識が最初のステップです。自分の「パーソナリティ」を知りましょう。職場で自分が自然に楽しんでいる/いないのは何でしょうか?内省することでこれを行うことができます。ただし、より良い方法は、OPQなど信頼できるパーソナリティ検査に回答することです。OPQはあなたが職場における自分の傾向を理解するのに役立ちます。
    人事やビジネスリーダーにとって、OPQは、特定のグループ、職種、階層の「人材レビュー」の一部ともなります。個人レベルとグループレベルでの、持って生まれた全般的な強みと、能力開発の必要な領域を理解することができます。そこでは、結果を正しく解釈して個人の自己概念と文脈に関連させて議論できるよう、訓練を受けた経験豊かな実践者との双方向の会話が重要です。
  2. 達成したい結果を明確にします。 「成長マインドセット」をもっと取り入れることが重要です。変わりたいと思い、変えられると信じなければなりません。そこに到達するための「方法」は、特定のパーソナリティ特性に関連する思考、感情、行動の比較的安定したパターンを変更、中断、方向転換する明確な行動で定義され、目的的でなければなりません。この分野を研究しているアメリカの心理学者キャロル・ドウェックは、幅広いパーソナリティ特性の根底にあるこれらのパターンを変えることが変化の鍵である、と述べています。
  3. プロセスに集中し、努力を続ける。 Henneckeら(2014)は、意図的なパーソナリティ特性の変化は3つの条件の下でのみ発生する、と提案しました。そのうちの1つは、望ましいパーソナリティ状態に頻繁に携わり、その結果それらの状態が習慣に変わらなければならない、ということです。状態の変化が自己概念の変化につながり、それがパーソナリティ状態の変化を確認するようなアイデンティティを促進します。
    たとえば、もしあなたがより「几帳面」に仕事をしたいならば、やることリストを定期的にチェックし、中期目標に対する進捗状況をモニターすることによって、自分がしていることにもっと細心の注意を払うことに集中したいと思うかもしれません。時間をかけて努力と練習を重ねるうちに、変化した習慣があなたの一般的な自己概念を変え始め、あなたは自分をより「几帳面」だと見始めるでしょう。管理職やリーダー、人事は、従業員が必要な練習をできるようなスペースと機会を提供し、その一方で学習と変化に時には必要な間違いを受け入れることによって、個人やグループをサポートすることができます。

「変わること」は簡単でも快適でもありません。しかし、職場において、自分の根底にあるパーソナリティ特性やその発現を適応させたいと思う理由はたくさんあります。私たちがこれまで学んできたことは、単に行動レベルでの変化に焦点を当てるだけだと、(短期的な適応にはつながるかもしれませんが、)長期的な変化にはつながらないということです。それとは対照的に、自己認識を高め、パーソナリティ特性と、外に現れる行動の根底にある信念、思考、感情のパターンを適応させることに集中することが、長期的な変化の鍵となる可能性があります。

私自身、コーチおよびメンターとして、自己認識、および、仕事でより成功するために「あまり望ましくない」パーソナリティ特性を修正する集中的かつ継続的な努力の利点を目の当たりにしてきました。

仕事の世界が急速に変化し続ける中、おそらく成功を可能にする重要な要因のひとつは、多くの場面でプラスの結果につながるという研究結果がある「経験への開放性」や「情緒的安定性」などのパーソナリティ特性の開発に取り組むことでしょう。それが、私たちが将来の職場に適応し、そこで成功するために必要な能力を開発できるという自信を築くことに役立ちます。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2021/should-we-try-to-adapt-our-personalities-to-succeed-in-an-evolving-workplace/

1年ほど前のブログ記事ですが、テーマがちょうど私が先日直面したケースに近く、取り上げました。「自分のパーソナリティを変えなければならないのか?それはできるのか?どうやって?」――OPQを受検者にフィードバックする時、よく聞かれる質問です。

このブログの筆者の答えは「できる」です。記事の中頃で、それは根底にあるパーソナリティ自体が変わったのか、その発現が変わったのか、という根本的な疑問が呈されていますが、そこは、パーソナリティとは何ぞやという深い問題に絡んでくるからか、それ以上明言されていません。パーソナリティとは行動スタイルである、という見方をすれば、長期的な行動変容=パーソナリティの変化、と言っていいでしょう。

(文責:堀 博美)

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