SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループHPのプレスリリースやブログなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はSHLグループHPブログの記事をご紹介します。

第325回 ニューロダイバーシティ採用:受検者の体験を理解するための研究

我々R&Dチームの2020年優先課題のひとつは、SHL Directで新しい登録フォームを作成することでした。それが、ニューロダイバースな受検者のアセスメント体験を我々が理解することにどう役立つか、ご覧ください。

2021年4月21日 クリスティン・アレン

今月初旬、私は、産業組織心理学会の2021年年次大会で「既存の枠にとらわれず考える:ニューロダイバースな人々の雇用を改善する産業組織心理学」というタイトルのセッションの共同議長を務めました。このセッションは、さまざまな視点を持つ産業組織心理学者のグループが集まり、ニューロダイバースな人々の雇用に関連する応用研究に焦点を当て、産業組織心理学者が障害者雇用の様相を変えるために何ができるかについての意識を高めるものでした。

この分野の研究に専念する同僚に(バーチャルで)囲まれて座っていて、明らかになったことがひとつあります。業界をリードするアセスメントプロバイダーとして、SHLにはこの分野の応用研究を促進するまたとない機会があることです。 セッションにはSHLの研究リーダーであるサラ・グティエレスも参加し、インクルーシィブな採用がSHLビジネスの優先事項である理由について詳しく説明し、私たちの現在の研究プロジェクトのいくつかの例を示し、研究アジェンダの概要を述べました。

私たちには、私たちの顧客、その受検者、および仲間の産業組織心理学者に対して、この研究を優先課題とする責任があり、私たちはその責任を決して軽視していません。 私たちが2019年にニューロダイバーシティ研究プログラムを開始して以来、ダイバーシティとインクルージョンというこの重要分野でSHLが何をしているのかについてもっと知りたい、と興味を持った同僚(SHL社内外の両方)や顧客、研究者から定期的に連絡があります。4月は自閉症受容月間です。そこで、この機会に、SHLのニューロダイバーシティ研究プログラムの現在のプロジェクトのいくつかに焦点を当てたいと思います。

2020年の私たちの研究優先事項の1つは、SHL Directで新しい登録フォームを作成することでした。SHL Directは、求職者が採用プロセスの一部として自分が受けることになるテストの種類に慣れるための、模擬テストのサイトです。新しい登録フォームは、模擬テストを開始する前に、受検者がオプションで、自分の障害について開示することができます。この情報を収集することで、私たちは、本人が開示した障害の状態とさまざまなタイプのアセスメント体験との関係についてさらに学ぶことができます。 2020年には何千人もの参加者がこの登録フォームを使って、Verify(知的能力テスト)を受検しました。

まだサンプルの数が少ないため予備的な分析ではありますが、結果は、模擬テスト受検に際して自閉症であると自己開示した受検者は、そうでない受検者と比べて、同様な得点を獲得し、知的能力テスト3科目全体で「自分の能力を最大限に発揮できた」と同様な感想を述べています。これらは、Verifyテストがこの人材プールの公正なアセスメントである、という証拠を示す有望な初期結果です。もちろん、さらなる研究が必要です。

この研究は現在も進行中であり、2021年には他のさまざまな種類のアセスメントで実施されます。十分な自己開示データが利用可能になり次第、他の障害(失読症、統合運動障害など)を含むよう拡大する予定です。また、関心のある顧客は、この登録フォームを使用して、採用アセスメントプロセスの一部として、研究目的で障害を開示するオプションを候補者に提供することができます。

次のプロジェクトでは、自閉症の診断を受けた職業人(現職者および求職者)の受検体験と反応をよりよく理解できるように、その人たちと連携することを目指しています。この調査研究計画の目的は次のとおりです。

  1. ニューロダイバースな人材プールによって、様々な特定アセスメントに対する受検者の反応を掘り下げる。
  2. アセスメントの種類や、受検に関して特別な措置が必要かどうかとの関連で、受検者が自分の障害を自ら開示したいと思うかどうかを掘り下げる。
  3. さまざまなアセスメントタイプの嗜好を掘り下げる

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

原文はこちら。
https://www.shl.com/en/blog/neurodiverse-recruitment-research-to-understand-the-candidate-experience/

女性や外国人などを積極的に社員集団に加えることがビジネスメリットになるというダイバーシティの概念は、日本でもかなり浸透してきました。「ニューロダイバーシティ」という言葉はいかがでしょうか?

日本語にすると「神経学的な多様性」。自閉症や多動性、失語症などの神経疾患を、病気や障害ではなく、脳の違い、すなわち個性であり才能であると見る考え方です。海外の、特にIT企業では、そういう人たちの才能を積極的に生かそうという取り組みが進んでいます。ご興味のある方は、公表されているSAPやHPEなどの成功事例をぜひご確認ください。

(文責:堀 博美)

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