堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は、オンラインの人事専門サイトINSIDE HRに掲載された記事をご紹介します。

第232回 Z世代人材の採用戦線で勝つために人事は何ができるか?

CEBによれば、企業はZ世代社員を採用するアプローチの変更に何百万ドルもの無駄な費用を費やしています。人員計画や人材獲得に、よりホリスティックなアプローチをとるとよいとCEBは述べます。

「ミレニアル世代にユニークな就職志向だと思い込んでいるものに訴えかけるため、世界中の企業は何百万ドルも費やして採用プロセスや社風を変えようとしてきました。実はミレニアル世代全体で見れば、ミレニアル世代とベビーブーム世代の間の差よりも、ミレニアル世代の中での差のほうが大きいのです。」(CEB HRアドバイザリー・リーダー Aaron McEwan)

Z世代が大学を卒業して就職するという第一の波が来た時、『Z世代を惹きつけたい会社は採用プロセスを開始する前にリソースや仕掛けを見直すべきだ』とCEBは述べました。これがZ世代社員を求める経営者の頭にあるようだ、とMcEwanは付け加えます。

「若い人材にアピールしようと企業がとってきた活動はうまくいっていますが、長期的な目標は現在および将来の全ての世代の要件に応えるような採用プロセスを持つことのはずです。」

企業は人員計画の手法や、将来の推進力となる人材とスキルに集中すべきだ、と彼は説明しました。

「まず言いたいのは、世代の問題では全くない、ということです。これまでの採用プロセスは、特定世代の人にとってだけでなく関係者全員にとって厄介なものでした。採用担当者は数年前の3倍の数の応募書類を寄り分けなければなりません。採用が決定するまでの時間は2010年よりも26日長くなっています。」

それにもかかわらず、採用の質はほとんど改善していない、とMcEwanは述べます。

「年齢や世代に関わらず、候補者はプロセスにそれぞれ疑問を持っています。その職務の日常業務に求められるものが何かをほとんど知らないまま全精力を傾けて就職活動に臨んだり、応募書類提出後に会社から何の反応もなかったり。それらが結果としてネガティブな経験になります。」

「これらの経験は優れた人材を失うことにつながるだけでなく、ブランドイメージを損ないます。ネガティブな就職経験をした5人に1人はその会社の商品を買わないようになったと報告していますから、会社の業績に直接の影響を与え得るのです。」

Z世代が他の世代と違う経験を求めていると示唆する証拠はない、とMcEwanは言います。

仕事を見つける、適性を評価される、面接を受ける、など採用プロセスのどの段階においても、Z世代はその上の世代と同様な会社との関わりを求めています。より具体的には、就職口を見つける際に使う情報源の上位3つは全ての世代で同じです(求人掲示板、会社のウェブサイト、家族・友人)さらに、採用プロセスで経験したいアセスメントのタイプについてもZ世代は似た傾向を示しています:パーソナリティ検査(Z世代67.7%、他世代61.9%)、ワークサンプル(Z世代45.8%、他世代50.4%)、職務知識テスト(Z世代53.7%、他世代59.2%)。

「一般に思われているように、若い世代(Z世代とY世代)がゲーミフィケーションの要素のある凝った選抜手法を好む、という証拠はありません。」

事実、全ての世代の候補者が、電話やビデオによるバーチャルな面接よりも、対面しての面接を好む、と彼は言います。人材獲得戦線において勝利する企業は、採用決定にかかる時間を短縮し、候補者に素晴らしい経験を提供すると同時に候補者の質を改善できる企業です。

「人材を獲得する最も効果的なやり方は、採用プロセスを、トップ人材との双方向の関係に帰結するようなワンセットの経験として見るものです。尊重と透明性を特徴とする関係を築き、同じニーズをもつひとりの人間として、社員候補者および顧客として求職者を扱うことです。」

この点でZ世代は他世代の求職者と変わらない、とMcEwanは述べます。特に、どんなタイプの面接か、面接の各段階にどれくらいの時間がかかるか、面接官の背景情報など、就職活動上の決定を下すために必要な情報を与えてくれる会社を求職者は求めます。さらに、アセスメントを採用プロセスの最初に持ってきて、求職者に自分の興味やスキルがその職務に合っているかを判断させれば、資格を満たさなかったり興味がない求職者はプロセスから手を引くことができ、会社のブランドが損なわれる可能性は低くなります。

「ポジティブな就職経験を経て社員になった人は、15%多く自発的な努力をし、会社に定着する可能性が38%高まります。」

彼らはまた、報酬(給与、福利厚生など)や仕事(職務と興味の一致度、ワークライフバランスなど)、機会(昇進、能力開発など)について価値ある提案をしてくれる会社を求めます。彼らが望む価値提案の最も重要な要素は、Z世代で報酬(35%)、仕事(31%)、機会(23%)であり、他の世代で報酬(36%)、仕事(34%)、機会(19%)です。

今日のますますグローバル化、複雑化した人材状況で競うために、企業にとっては戦略的な人員計画が不可欠です。しかし、McEwanによれば、非常に優れた戦略計画でさえも、もしそれを支援し実行する有能な人材がいなければ、成功しません。

「残念なことに、戦略実行に必要な人員をうまく計画・配置できる人事の幹部は10人中3人以下です。効果的な戦略的人員計画には、事業戦略によって決まる戦略人材のギャップを見つけて対応するプロセスを継続することが含まれます。戦略実行に必要な人材を計画し、配備することが、人事にとって最重要のミッションです。企業の長期戦略に最も必要不可欠な人材ニーズに対処できないと、成長は危険にさらされます。」

効果的な戦略的人員計画とは次のようなものです。

  • 戦略主導:短期の人員ニーズではなく、長期の戦略的人材ニーズによって主導される。
  • 供給に敏感:短期の人員ギャップの発見にとどまらず、戦略実行にとっての組織や労働市場のリスクを表面に浮かび上がらせる。
  • 単にソーシング対応ではない:単に短期の受け身的な採用に基づく解決策を提示するだけではない。戦略な人材に関する制約を最も効果的に軽減できるよう、より幅広い活動(組織や職務の再設計、アウトソーシング、人材マネジメント戦略など)を掘り下げる能動的な解決策を見出す。

効果的な戦略的人員計画を作成するために、人事チームは他部門の同僚と人材ニーズについて双方向の対話をしっかり行わなければならない、とMcEwanは言います。

「人材ニーズの分析が、特定部門の現在および将来の人の問題を理解するために必要不可欠です。人材ニーズ分析の対話から得られた情報をもとにその部門の戦略的人員計画が作られ、それらの情報がその部門の事業計画ならびに人事の事業計画に影響を与えます。」

人事チームは、様々な部門の同僚と一緒に人材ニーズ分析を話し合う仕組みを作り、それぞれ異なるが等しく重要なマネジメントやオペレーションの側面を明らかにすべきです。

「戦略、今現在の人材マネジメントの問題、最優先事項を遂行するための、戦略、構造、人員要件について質問してください。これをきちんとすれば見返りは大きいです。戦略的な人材ニーズの変化をより理解でき、ギャップの変化に人事がより素早く対応でき、採用の質や決定までの時間、転職率などの重要指標が改善します。さらに、効果的な人員計画は、会社に対する人事の戦略的な貢献に最大のインパクトを与えます。エンゲージメント戦略や承継計画、パフォーマンスマネジメント、その他重要な人事活動よりも。」と彼は述べます。

(© CEB. Translated by the kind permission of CEB SHL Talent Measurement Solutions. All rights reserved)

訳者コメント

採用や人員計画に全体的・長期的なアプローチを、という主張です。これからの企業活動において、人事の役割はますます重要なものになっていきます。

(文責:堀 博美)

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