堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回もSHLグループHPに掲載されている事例をご紹介します。

第273回 リーダーシップ見極めの事例:カンパリ

間違った任命のリスク低減、現在および将来のリーダーの能力開発、そして、成長を推進する起業家精神の保持のために、カンパリはSHLのディベロップメントセンターとワークショップを活用しています。

カンパリ

  • プレミアムスピリッツ業界世界第6位
  • 主なブランドはグラン・マルニエ、カンパリ、ワイルドターキー、アペロールなど
  • 190カ国以上で取引

課題
  • 起業家精神を保ち続けること
  • 新しい任命の失敗のリスクを低減すること
  • 事実に基づいた、リーダーの任命と能力開発の意思決定を定着させること

結果
  • 任命の意思決定が改善し、失敗がゼロになった。
  • わずか3年で、このやり方が受け入れられ、カンパリの風土に組み込まれた。
  • 現在は全ての任命の60%が社内からで、目標としていた50%を上回った。

顧客の課題

カンパリは、戦略的に重要な買収と本業の急拡大の両方により、この十年間で急成長してきました。グループが成功している理由のひとつは、ローカルの説明責任と意思決定を重視していることです。しかし、それらの決定を現地リーダーが下せるようにすることが継続的な課題である、とVijay Kashyap氏(カンパリ グローバル人事&商品サプライチェーン シニアディレクター)は述べます。「起業家的な性質を持っていることがわかっている人を雇用して能力開発するようにしなければなりません。それは簡単なことではありません。」

カンパリのシニアレベルの任命全てが成功だと証明されたわけではありません。「社長職で2〜3の失敗がありました。それらは非常に高くつきました。明らかに、我々は主観ベースで直感的に人材決定を下すことが多すぎたのです。変えなければならない、とわかっていました。」(Kashyap)

Kashyap氏は、承継計画に、カンパリのニーズに合わせたより客観的なアプローチを−素早くかつコスト効率よく−導入することを支援できるパートナーを求めました。

「我々は、我々に他社の経験から学ばせ、しかも我々のバリューにしっかりつながったソリューションをもたらしてくれるパートナーを必要としていました。我々はまた、強力な「グローバルな」会社を求めました。グローバルな知見を持ちながら強いローカル展開能力を持つ会社です。我々はSHLを選びました。」

解決策

SHLと一緒にカンパリは9つの重要コンピテンシーを定義し、それらを単一の共通言語であるSHLユニバーサル・コンピテンシー・フレームワーク(UCF)に紐づけ、会社全体でその測定を制度化して、ギャップを発見して能力開発の進捗を追うようにしました。

この作業によって、リーダー職における成功につながる可能性が最も高い資質が浮かび上がりました。「成功するリー

ダーであることはテクニカルなコンピテンシー以上のものである、と我々が理解することをSHLは助けてくれました。戦略的な思考と実行の両方に等しく強く、曖昧さに対応できる能力を持っていることなのです。」(Kashyap)

SHLの支援で、カンパリは現職リーダーとリーダー候補者に「Lead to Succeed」と名付けられたディベロップメントセンターを導入しました。今後の2年間で重要部門の本部長となれるポテンシャルを持つ人々を見つけることにフォーカスしたものです。

ディベロップメントセンターからのアセスメント結果を含む客観的な人材データが、毎年のカンパリ人材委員会にフィードバックされ、承継や昇進の意思決定の情報として活用されます。カンパリはまた、一連のコーチング施策も導入しました。ディベロップメントセンターのフォローアップとしてのワークショップや1対1のエグゼキュティブ・コーチングなどです。

「ディベロップメントセンターと人材委員会の議論の結果、シニアリーダーのコーチング力を向上させる必要があることがわかりました。当社マネジャーのトップ100人がSHLのコーチングカルチャー・ワークショップを受け、資格が授与されました。今度はその100人が別の100人をコーチします。そうやって、会社中に学びを広げていきます。」(Kashyap)

ディベロップメントセンターの成功はまた、カンパリが社外からの採用方法を見直すことにもつながった、とKashyapは付け加えます。「上級リーダーとの話し合いのツールとして、また世界中のシニアレベルの社外採用では、我々のニーズに合わせてカスタマイズされたリーダーシップ・リポートを使っています。」このツールは最近、カンパリ初のインターナショナルな新卒採用プログラムの立ち上げをサポートしています。

結果

カンパリのリーダーシップ開発施策は社内で広く受け入れられ、成功するポテンシャルを持ったリーダーのパイプラインが強化されています。「3年で我々は、直感や個人的好き嫌いに基づいた承継計画から、より良い意思決定と狙いを絞った能力開発を可能にするような本格的な人事システムへと移行しました。」(Kashyap)

「現在、ディベロップメントセンターでアセスメントを受けて我々のリーダーシップ・コンピテンシーに照らした位置づけをされることなく社長職に昇進する人はいません。そして、我々はその考え方を拡大し、今ではCFOなど全てのシニアリーダー職がこのプロセスを踏みます。」

カンパリのマネジャーはよく、ディベロップメントセンターで使う用語を考課やレビューで使います。そして、この新しいやり方が、会社が昇進や異動などで適切な人事決定を下すことを助けている証拠がすでにあります。

「ディベロップメントセンターの立ち上げ以降に下された全ての任命において、その人が役割に不適切だったという以前のような問題は一切ありません。全員が成功しています。」さらに重要な点として、このやり方はまたグループの重要指標である社内昇進の割合を増加させることに役立っている、とKashyapは付け加えます。「少なくとも空席の半分を社内人材で埋めることを目標としています。すでに60%ですからはるかに超えられるでしょう。」

Kashyapは、CEOが彼に与えた指令の遂行にSHLとのパートナーシップが役立ったと言います。「現在のリーダーたちもよくなっています。リーダーシップの質に関する社員調査の得点も上がりました。当社のリーダーは全員、どうすれば現在の役割でよりよくなれるか、どうすれば次の職務の準備ができるのか、わかっています。」

「そして、マネジャーだけでなく、全ての重要職務に機能的なコンピテンシー・マッピングを導入したことによって、組織の能力も上がっています。まだまだやるべきことはたくさん残っていますが、私はここまでの成果にかなり満足しています。」

Kashyapはカンパリ・チームの延長としてSHLを見ています。「クラス最高のパートナーシップ経験です。プロフェッショナリズム、顧客へのフォーカス、共感、柔軟性、全ての点をSHLの人々は満たしています。全員がそうなのですから驚きです。」

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

本コラムの第187回でもカンパリが取り上げられています。360度フィードバックの導入事例でした。それを受けての今回のディベロップメントセンター導入ということで、流れが見えます。

(文責:堀 博美)

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