SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は、SHLグループのブログより、少し前に話題になった韓国ドラマ『イカゲーム』を取り上げた記事をご紹介します。

第345回 組織のリーダーは『イカゲーム』から何を学べるか?

『イカゲーム』がデジタル界を席巻しています。この神経をすり減らすようなNetflixシリーズには組織リーダーが学ぶことのできる、いくつかのマネジメントの教訓があります。

2021年11月11日 サブリナ・ウィジャヤ

最近、『イカゲーム』が世界を席巻しています。ダークで反ユートピア的な韓国ドラマです。見たことがない人のために説明しますと(まだネタバレを気にしなくてかまいません)、主人公のギフン(プレイヤー#456)は離婚者でギャンブル狂、借金を抱えた運転手です。借金を清算するためにゲームへの参加招待を受け入れました。(その時、彼は知らなかったのですが、)そのゲームは「ゲームオーバー」が死を意味する危険なゲームです。ゲーム中、彼はイルナム(プレイヤー#1)、サンウ(プレイヤー#218)、アリ(プレイヤー#276)、セビョク(プレイヤー#67)とチームを組んで、一緒に死と隣り合わせのトーナメントを進んでいきます。

目を引くビジュアル、心を動かされる俳優や女優のパフォーマンス、そして力強いプロットに加えて、このハラハラドキドキするシリーズで私が気に入っているのは、多面的な社会的メッセージと人生のレッスンが含まれていることです。お金が多すぎても少なすぎても、それがいかに人生を台無しにするかについて警告を発する話ですが、組織のリーダーが学ぶことができる、いくつかの重要なマネジメントの教訓もあります。

ビジネスの世界では、組織のリーダーがプレイヤーであり、市場がゲームマスターです。マーケットがプレイする課題を決定し、それに十分に反応して最高の戦略を持った人がチャンピオンとして抜け出ます。パンデミックの間、私たちはすでにその証拠を見てきました。変化に迅速に適応して将来の需要を予測できる組織が、混乱の中で生き残る組織です。
概ね、組織には4つの重要な側面があります。『デザイン』、『文化と従業員エクスペリエンス』、『学習と成長のマインドセット』、そして『リーダーシップ』です。絶え間なく変化する世界でゲームの先を行くには、現在だけでなく将来も変化に耐えられる内的エコシステムを構築する必要があります。

このブログでは、『イカゲーム』を分析して、上記4側面のそれぞれと並べて比較し、組織の将来を保証するためにあなたが何をできるかを説明します。それでは、ポップコーンを片手に準備してください!

目標が行動を規定する
最初のゲーム『だるまさんが転んだ』で、サンウは、それを征服するための鍵は、他のプレイヤーの後ろに隠れながら素早く動くことであると考えました。他のほとんどの人はまだパニック状態にあり排除されましたが、彼はフィニッシュラインに到達しました。私たちは実生活において、様々なレベルの複雑さを伴う様々な課題に直面しています。問題にぶつかった瞬間、最初は恐怖と混乱を経験するのは正常です。この最初のショックを乗り越えるには、目標に焦点を合わせ、課題にどのように取り組みたいか、そしてそれらの目標を達成するために何をする必要があるかを考えてください。

共感的なリーダーシップ
共感的なリーダーシップとは、周囲の人々とつながり、彼らの気持ちや考えを理解することです。思いやりを示し、挫折や過ちに直面した時に味方になります。また、明確で親切なフィードバックと説明責任を果たすことによって、人々への気遣いを示します。重要なことは、他者の目標と欲求を理解し、ゆとりをもたせ、彼らを本質的に動機づけるものに向けて努力するように促すことです。共感的なリーダーシップとは、他者との有意義な関係を育むことです。そうすることで、苦労を学習に、もめ事を成長に変えることができます。

アジャイルな構造が効率に帰結する
消灯時間中、プレイヤー全員が互いに滅ぼし合おうとしました。各プレイヤーの死が貯金箱により多くのお金が追加されることを意味するからです。その時、ギフン、アリ、セビョク、イルナム、サンウは同盟を結びました。彼らは騒乱に参加することに関心がなかったので、その代わり、お互いを守るためにペアで夜警当番をすることにしました。チームのネットワークを構築することで、特に危機の際に、問題を迅速に解決し、次の問題に取り組むことができます。さらに、チームメンバーの1人が制圧された場合に備えて、迅速に助け合うこともできます。

インクルーシビティ(包括性)が勝利に役立つ
『ビー玉ゲーム』で、プレイヤーはペアを作るよう求められました。しかし、ハン・ミニョ(プレイヤー#212)は誰にも選ばれませんでした。皆が驚いたことに、彼女は自動的に次のゲームに進んでいました。ビー玉ゲームでの冷酷な裏切りを経験せずにすんだのです。韓国の文化で、彼女は『カクトゥギ』と見なされます。これは、子供たちの遊びで使われる言葉で、グループ内のつながりが最も弱い子供が、免除など特別なスキルを獲得することを指します。その考え方は、子供たちに、思いやりをもってすべての人を含めるよう教えることです。誰かがどんなに弱くても異なっていても、全員が遊びを楽しんで一緒に何かを得られるようにしよう、と。職場ではインクルーシビティ(包括性)を真剣に受け止める文化を構築する必要があります。いったん全員が団結し、誰も取り残されないようにすれば、成功に向けて同じ方向に進むことができるからです。社会によって弱点と見なされるものが、全員が一緒にさらに進むことを助ける特別なスキルをもたらすかもしれません。最終的に、インクルーシビティのメリットを享受できるでしょう。

チームワーク、チームワーク、チームワーク!
全体を通して、個人主義というテーマが際立っていました。しかし、私の注意を引いたのは、プレイヤーの多くが生き残るのにチームワークが実際にどう役立ったか、ということです。記憶に残る例の1つは、『綱引きゲーム』です。ギフンのチームは、様々な背景、民族、年齢の人々で構成されていました。彼らは肉体的に最強のチームではなく、ほとんど勝ち目がないと見られていたのに、勝ちました。トーナメント全体で最弱の人物のように思われたイルナムの戦略に耳を傾けたからです。さらに、ギフンのリーダーシップとサンウのギリギリの戦術の組み合わせも勝利を確定するのに役立ちました。成功への真の鍵は、違いを克服し、お互いに耳を傾け、一緒に深く掘り下げていくことです。

目的が行動を推進する
一見すると、プレイヤーは皆お金に飢えていたようです。しかし、彼らの動機はお金を超えていました。ギフンは娘の親権を得て、母親に適切な医療を提供したいと考えていました。セビョクは母親が北朝鮮から国境を越えるのを助けたい、アリは家族がより良い生活を送れるようにしたい、サンウは自分が失敗した投資の担保として使用した母親の店が奪われることを防ぎたいと考えていました。単なるお金や利益よりも上位にある目的は、組織のエンジン、つまり人々に油を注ぎます。それゆえ、あなたが組織として一緒に何を達成したいのかを正確に知ることが重要です。

価値観の共有 VS スキルの整合性
イカゲームはまた、成功とは、スキルの整合性に関係するだけでなく、原理原則と価値観の共有に関係する、と教えてくれました。主人公たちの友情は、彼ら全員のゲーム進行を助けました。共有された価値観に基づいてつながりを育むことは、単なるスキルの整合性に基づく場合よりも、先に進むことができ、はるかに持続可能です。

ギャンビット(チェスで序盤に相手にポーンを取らせる定跡)がゲームを変える
『綱引きゲーム』で、サンウの戦術は、ロープを数秒間放し、相手チームのバランスを崩すことでした。それはとても危険な動きであるため、効果的だと証明されるまで、誰もが彼は狂っていると思いました。前進するためには、恐れを知らず、リスクを冒し、進んで学ぼうとする意欲が必要です。特に今のように時代が不安定な時は、大胆だが戦略的な行動をとることでチャンスが開かれます。

間違いから学ぶことが重要
最も衝撃的なゲームの1つである『ガラス橋』は、間違いから学ぶことの重要性を示しています。場合によっては、正解するチャンスが1回しかないことがあります。過去のデータから学び、自分と他者の両方の経験を基に次の動きを決定しなければなりません。他者から学び、他者の意見に積極的に耳を傾けようとすれば、あなたが勝つ確率は徐々に高まります。

知恵をもってリードする
先に述べたように、『綱引きゲーム』で、イルナムは彼の子供の頃の経験に基づいて、命を救うためのいくつかのヒントを与え、各人にゲームでの役割を割り当てました。優れたリーダーは、人々を適切な役割に配置して、経験とノウハウを基に戦略を構築する方法を知っています。

創造性が成功への鍵
『カタヌキ』ゲームでは、プレイヤーに、真ん中に図形を型押ししたカルメ焼きと、その図形にそってカルメ焼きを切り取るための針が与えられました。ギフンは砂糖が水と接触すると溶けたことを思い出し、針で複雑な図形を切り取る危険の代わりに、図形の周りを舐めました。リーダーには、一般的な規範に挑戦し、既存の枠組みにとらわれずに考える心構えが必要です。別の角度から物事を見て、創造的であることは、不確実性に対処する際に役立ちます。

思いやりが重要
優勝者のギフンは、友情と人命の価値を気にかけた唯一のプレイヤーでした。彼は常に、はみ出し者から成る彼の小さなチームが一緒にいて、互いに守り合っているようにしました。彼は最も強くも最も賢くもないかもしれませんが、最後のゲーム(イルナムとの賭け)でさえ、人々の善を信じることによって勝つことができることを証明しました。私たちは彼から何を学ぶことができるでしょうか?あなたは、思いやりを持って、自分の周りの人々を信じる必要があります。人道的で共感的なリーダーであることが、不確実な未来を舵取りするための鍵です。

『イカゲーム』は、強いプレイヤーが素晴らしいチームを作るのではないことを私たちに思い出させます。チームや組織を素晴らしいものにするのは、明確なビジョンと目的を持ち、人々が素早く学び、成長し、働くように刺激し、組織の内外にインクルーシビティを組み込み、部下の間に真の人間関係を育むことのできる、戦略的で思いやりのあるリーダーです。最終的に、それらの特徴が、組織を回復力のあるものにし、将来の課題に備えることができるようにするのです。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

原文はこちらです。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2021/what-organizational-leaders-can-learn-from-squid-game/

『イカゲーム』はご覧になりましたか?私はやっとこのお正月休みに見ることができ、その縁で今回このブログを取り上げました。ドラマの内容自体はけっこうグロテスクできついなあと感じたのですが、このブログの筆者の視点に立ってもう一度見直してみようかな、と思っています。

(文責:堀 博美)

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