SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は、CEBブログからリーダーシップに関するインタビュー記事をご紹介します。

第181回 リーダーシップに関する5つの質問:ビッキー・ハンプソン(ピアソンplc. Sales and Customer Excellence SVP)

このブログの新しいシリーズとして、世界的大企業の様々なシニアリーダーにインタビューし、同じ5つの質問をします。

初回はビッキー・ハンプソンさん(ピアソンplc. Sales and Customer Excellence SVP)です。

Q1.リーダーに不可欠な要素を3つ挙げてください。

まず、インスピレーショナルでなければなりません。賢く戦略的であることは当たり前ですが、ロックスターのようにインスピレーショナルでなければなりません。それが平均的なリーダーと優秀なリーダーを分けるものです。

2点目に謙虚であることが必要です。これまで何人かの素晴らしいリーダーと一緒に仕事をしてきましたが、最もできる人たちが最も謙虚でした。「自分より頭のいい人たちを採用して周囲においたから成功しただけだ」と言うのです。また、前途有望な若手人材を見つけ、そして、その人が充分以上に成熟するのを待つのではなく、早い段階でその人にチャンスを与えることができなければなりません。足りないところは優れたリーダーと優れたコーチが導きます。

で、3点目です。優れたリーダーは優れたコーチでなければなりません。自分のリーダーシップは自分だけのものではなく、お返しをしなければなりません。リーダーは究極的なコーチでなければならないと思います。つまり、インスピレーションと謙虚さがミックスされてコーチができ、自信を持って自分の能力を活用して周囲の人の成功を助けることができます。

Q2.ただ自部署の中だけではない、会社全体にとってのリーダーであることの最も難しい点は何ですか?

複数の事業部がある大企業で会社全体を見るには、ほぼ経営幹部並のゼネラリストでなければならないと思います。あらゆることに並はずれた知識を持っていなければなりません。同時に、ある部署のリーダーならばその分野のソート・リーダーであるべきです。

会社全体を見渡すには、膨大な量の知識と、またそれをやりとおす生真面目さを持っていなければなりません。そして、知識にギャップがある時はそのギャップを埋めてくれる他者の経験に頼るだけの率直さを持っていなければなりません。

Q3.多くのリーダーは自分たちのチームや部署が組織全体のことを考えずに自分の部門のことだけ考え、充分に協力し合わない、と心配しています。この点をどう克服しますか?

行動で示すしかありません。それが仕事をする唯一のやり方だと周囲の人々に常に思い起こさせるよう行動することです。部門間の協力や統合について話すこともひとつですが、それを示すような行動によって見える化しなければなりません。ビジネスではマトリクス組織の重要性についてとても頻繁に話されますが、リーダーが自部門中心的な行動に陥っているのもよくあることです。

それを乗り越えなければなりません。優れたリーダーはマトリクス行動を積極的に有言実行しなければなりません。それだけでなく、そうした行動に積極的に報いなければなりません。それは、メンバーに少し型破りになる権限を与えることを意味することもあります。つまり、自分の職務以外の案件についても声を挙げることを奨励します。自分の分野を超えて物事を見る力や視野を持つ人には拍手が送られるべきです。

Q4.あなたの会社はあなたのリーダーシップスキルの開発にどのような支援をしてくれますか?

ピアソンは「常に学習している会社」なので、リーダーシップについていろいろなことが語られます。最近もシニアリーダー向けの新しいリーダーシップ・ラーニング導入に向けていろいろやりました。これが素晴らしいのは、「分散型リーダーシップ(decentralized leadership)」という考えに基づき、様々なビジネスや地域に様々な文化的要件が必要なことを認めていることです。

世界がロンドンやニューヨークからだけで動いているのではないし、リーダーはトップダウンではなくボトムアップの仕事の進め方を知る必要がある、ということにピアソンが気づいたのを見ることは非常に刺激的です。

Q5.あなたが他のリーダーから学んだ最も重要なことは何ですか?

私にとっては、自分の周りの人材を元気づけることです。私のキャリアでリーダーとしての心構えに常にあったのは、他者を元気づけ、そうするようコーチすることでした。私はかなり早い段階で、一緒に働いたリーダーたちからそれを体験したと思います。

そのリーダーたちは私の準備状態が7割方の時に大きなステップアップのチャンスを与えてくれ、コーチングを通して残り3割を助けてくれました。繰り返しになりますが、優れたリーダーは優れたコーチなのです。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

ピアソンはロンドンに本部を置く、世界最大の教育サービス会社です。人材開発、トレーニングを生業とする会社ならではのリーダーシップの捉え方にうなづく点も多いのではないでしょうか。

文責:堀 博美

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