SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はManagement TodayのLeadership Lessonsコーナーに掲載されたCEB CEO トム・モナハン氏へのインタビュー記事をご紹介します。

第217回 CEB CEO トム・モナハン

CEBという会社についてあなたはご存じないかもしれません。特に小さな会社ではないし(米国本拠の会社で2015年の売上高は932百万ドル)、目立たない仕事をしているわけでもありません(フォーチュン100の99%、FTSE100の89%が顧客)。ただ、そもそもCEBが実際に何をしているのかわかりにくいのです。

会社のHPでは「CEBはベストプラクティスのインサイトとテクノロジーの会社です」と述べています。「我々は企業の業績推進に何が重要か、そして何が機能するか、についてユニークな見解を持っています。」要を得た簡潔な会社説明ですが、なんともわかりにくいです。

CEBの最高経営責任者兼会長であるトム・モナハンはもっと創意に富んだ説明をします。「CEBについて映画を製作するならば、おそらくジェームズ・ボンド映画のようになるでしょう。ただし、CEBは主人公のジェームズ・ボンドではなく、MI6研究開発部のキャラクターQです。主人公の活躍を助けるすごいツールやテクノロジーを担当します。」

主人公はより良い経営を模索するCEO達。ツールは、ベストプラクティス、すなわち、トップ企業がどのように事業を進め、そこからあなたが何を学ぶことができるかを明らかにすることによって、事業経営に科学性を注入するよう設計された見識(インサイト)や分析です。

「我々の商品の価値のかなりの部分は、まずいプラクティスを実証することでもあります。」俳優デズモント・ルウェリンが演じた怒りんぼの校長のような前シリーズのQではなく、その後のベン・ウィショーによる静かで皮肉屋のQのような雰囲気に近いモナハンは付け加えます。

CEBは会員制で運営されています。つまり、CEBは何が機能して何が機能しないかについて、会員である顧客からの膨大なデータの宝庫にアクセスできるのです。モナハンはまた、世界中の大企業のトップとの対話に多くの時間をかけます。

「すごいです。多くの会社から集めたマネジメントアドバイスから例を取ることができます。しかしこれはまた脅威でもあります。顧客はより良いやり方を見つけるために我々にお金を払っているのですから、我々は言い訳できません。そして、私には、自分がどう仕事を進めるべきかを示す独自の優れた備えのあるチームに対する責任があります。」

彼は2005年から現職(最高経営責任者、2008年から会長を兼ねる)についており、急速な拡大を統括してきました。買収と組織成長の結果、CEBの売上高は2005年から157%アップしました。

入社して20年たった今、モナハンは退任を発表しました。(「この事業が大好きですが、毎日24時間トップスピードで動く民間企業のCEOであるのは大変なことです。どこかで少しリセットしなければ。」)

後任者を見つけることにはさほど心配していません。彼は多くの顧客のトップ交代の成功と失敗を見てきたのですから。

「我々が学んできたのは、「パイプライン」という言葉が使われすぎているということです。CEOのポジションに向けて止めどなく順番に進んでくる人材の安定した流れがあるかのような言葉です。候補者の吟味で間違うのはそこです。その組織に何がほしいのかを考えない。」

「トップレベルの後継者計画は大部分が戦略演習です。役割の背景や必要なものの先々を見て、それに合った人を当てます。「ベストなリーダーは誰か」というような馬鹿げた問題ではありません。」

  1. 人材については話ではなく行動が必要
    CEBは人事よりの傾向がありますが、それはモナハンや彼の前任者がそうしようと思ってのことではありません。企業戦略を手掛ける中、総体的に人材が主な盲点であると気付いた後、人事にたどり着いたのです。
    「優れた業績について説明する際、人材のことが何度も出てきます。CEO達は人材についてよく口にしますが、これほど重要でありながらもほぼ分析的な厳密さなしマネジメントされるものは社内に他にありません。」
  2. ビジネスがより迅速になっていない
    街角の小さな店から大規模企業まで、皆、より機敏でありたいと思っています。しかし、それは意思決定を素早く下すことに置き換えられてはいないようです。
    「ビジネスはより迅速になっていない、とはっきり言えます。会社のプロセスは全部、より時間がかかっています。人の採用、ものの購入や販売にどれだけの時間がかかっているでしょうか」

    モナハンは、停滞が増した原因として3つ考えられると言います。ひとつは単純に「規模」です。会社は大きくなっており、大きな会社はより官僚的になりがちです。

    二つめは何層にも重なったリスクマネジメントです。「平均的な大企業の社内で、統制機能の数は倍以上に増えています。銀行であれば、金融リスクマネジメント、データ機密性と保護、内部監査、サイバーセキュリティなど。これらは全てよいことですが、ものすごく気をつけなければこれらの機能が互いに競争を始め、ビジネスのスピードを落とします。」

    迅速さを落とす三つめの原因は、直観的には逆なのですが、テクノロジーです。「テクノロジーは素晴らしい資産ですが、誤用されることも多いです。生産性の敵としてEメールのCCを考えてみてください。あなたと私がメールであることについて話し合っていて、意見をもらおうとブリュッセルにいるレスリーをCCに入れ、彼女が面白いと思ってアジアのサイモンをCCに入れたとしましょう。広がりますが、スピードは落ちます。Eメールがなかったらあなたと私が話し合ったことをねじこんで、どうなるかを見る、と。」
  3. データが全てではない
    経営を科学に変えようとする企業のCEOとしてはおそらく驚くことですが、モナハンはビッグデータの熱狂者ではありません。
    「ビッグデータや人工知能はまだ初期の段階です。せいぜい人間の判断力を増強するものではありますが、取って代わるものではありません。はるか昔、90年代後半から2000年代始め、高度な分析の最大の消費者は金融業界でした。そこで判断にかなり恐ろしい間違いが起ったのは、データがなかったからではありません。」
    データであふれた意思決定プロセスのどこに人間の判断を入れるかを明らかにすることがポイントになるでしょう。「人々のその能力は成熟してきていると思います。」とモナハンは言います。
  4. マネジャーは教師ではない
    我々は皆、マネジャーがチームのベストを引き出すやり方の一つがメンバーの強みと弱みを認識し、それに合った課題を割り当てることである、と知っています。

    しかし、優れた上司はあらゆる問題を解決できる教師として動くのではない、とモナハンは言います。そうではなく、彼らはチーム自体のリーダーシップの強みと弱みを認識し、その中で、必ずしも自分自身が質問を受けるのにベストな人ではないということを認めるべきです。

    「リーダーができる最もタフなことの一つは、あらゆる問題の答えになることではなく、周囲の人々を結びつける人になることです。我々がエンタープライズリーダーと呼ぶ人々は、チームのリーダーシップスキルを理解し、様々なやり方でそれらを組み合わせます。」

    つまり、Xさんに盲点があり、Yさんがその分野で強いならば、モナハンはただ二人を結びつけます。その後は自分自身を実質的に迂回してやりとりさせます。「自分のところにこの種の決定が現れる度に、電話してください。その人たちの直観のほうがあなたよりも優れているからです。」

    結局のところ、皆が皆、土壇場で勝利を勝ち取るジェームズ・ボンドになれるわけではありません。少なくとも、常に、とはいきません。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

当社がライセンス契約を結んでいるCEBという会社。実はCEBについて説明するたびに、私もどう表現するのが一番わかりやすいか、悩んでいました。ジェームズ・ボンド映画の登場人物Qのような役割、という表現を私も使ってみましょうか。イギリス人相手には使えても、日本人の我々には少しピンとこないでしょうか?

(文責:堀 博美)

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