SHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はSHLグループHPに掲載されているブログの記事をご紹介します

第276回 Culture FitかCulure Addか

優秀、かつ、多様でマルチカルチャーな候補者の選抜においては、翻訳の問題以上に、アセスメントの慎重なローカライゼーションが重要です。

「Birds of a feather flock together(類は友を呼ぶ)」という古いことわざは疑いなく真実です。しかし、採用となると、これはいいことでしょうか?

Culture Fit(文化適合性)に努力を集中すると、多様性よりも考え方の類似性のほうを重視するというリスクを冒すことになり、結果、イノベーションや創造性の破壊的なパワーを逃す可能性があります。Culture Add(文化の付加)へ新たに移行するには、よりマルチカルチャーで多様な人材プールから候補者を調達することが必要です。これはビジネス的に意味がありますが、採用担当者にはさらなるプレッシャーがかかります。職務への適合度を正確に測定するツールを必要とするだけではありません。受検者によい経験だった思わせると同時に、選抜における公平性を保証するような文化的多様性をこれまで以上に確保しなければならないからです。

あらゆる文化からの候補者が、選抜プロセスで提示される質問やシナリオを同じに理解するようにすることが重要です。英語はビジネス界の共通言語とみなされていますが、実は、英語のネイティブスピーカーは英語を話す人口のわずか5.5%だけです。大多数の人たちにとって英語は第二、第三言語であり、読解スピードや言語的文化的ニュアンスの理解における差異につながりそうです。

これらのことから、マルチカルチャーの採用戦略の一部としてアセスメント・パートナーを選ぶ際、次のような検討すべき重要な質問が挙がります。

  • 機会均等を確保し、候補者が最善を尽くせるよう、候補者がアセスメント言語を選ぶことができるか?(特に制限時間付きのテスト)
  • 異なる言語のバージョンが存在する場合、それらのバージョンが等価であると、どう確かめられるのか?
  • 言語の等価性は、翻訳と同時に文化的な翻案もカバーしているのか?

翻訳の質の高さだけの問題ではありません。ローカライゼーションの質の高さについてです。徹底したローカライゼーションのプロセスは、宗教や性差など文化の影響を受けやすい話題や、言語によって意味合いが異なる「政治」や「倫理」などのあいまいな言葉、「till the cows come home『(牛がのろのろと牛舎に帰ってくる様子から)長い時間をかけて』」などの比喩的表現を避けます。その代わりに、重要なことが、システマチックな複数段階の翻訳と文化的翻案です。そのアプローチには、テスト開発者や翻訳者、社内のその言語のスピーカー、エンドユーザーが関わり、さらには、質問項目の等価性についての統計的確認が加わります。

旅行した時にぎこちない翻訳のおかしなフレーズをみかけて面白がった経験は誰にもあるでしょう。しかし、等価で文化的に適切なやり方で候補者を公平に測定する場合は、冗談で済みません。加えて、求職者に母国語で評価される機会を与えることは、彼らがその会社やブランド、採用プロセスをどう見るかに非常にいい影響を与えます。

つまり、今日のますますグローバル化するビジネス界において、あなたはどのアセスメント・パートナーが真にグローバルに考えて行動できるかを注意深く検討しなければなりません。そういうパートナーはテストのローカライズの成功経験を持ち、組織が質の高いグローバルな人材を選抜することを支援します。結局のところ、Culture Addはビジネスとして理にかなったものです。ますますグローバル化する世の中において、組織は多様でイノベーティブなアプローチや考え方を促すことを求めます。しかし、Culture Addが貴社で栄えるようにするには、まず、それらの多種多様な文化を等しく扱う採用プロセスを確保すべきです。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

実はCulture Addという言葉は初めて聞きました。ダイバーシティとほぼ同義ですが、Culture Fitに対応させての言葉なんですね。

この記事の筆者はSHLグループの商品ローカライズチームのベテランで、日本語版のローカライズについて私たちがたびたびコンタクトを取るコンサルタントの一人です。世界150カ国以上でビジネスを展開し、30以上の言語で等価なアセスメントを提供するSHLグループならでは主張です。

(文責:堀 博美)

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