堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループが季刊で配信している「SHL Global Newsletter」の中から記事をピックアップ、日本語に翻訳してご紹介するものです。

今回は2007年夏号「Objective recruitment and development is key for European organisations」を取り上げました。前回の記事に引き続いて、今回も調査結果に関するご報告です。

第7回 客観テストに関するヨーロッパ企業調査結果

客観的な採用と能力開発がヨーロッパ企業の鍵
SHLが実施した国際調査によると、今や、ヨーロッパ企業の4分の3が採用や能力開発に客観ツールを使用している。この数字は、心理測定による洞察のメリットが認められ重視されていることを反映している。

調査はイタリア、ドイツ、オランダ、スイス、ベルギー、スウェーデンの企業を対象に実施された。これらの国で心理測定ツールがどれくらい受け入れられているかを調べ、どの業界がどんな目的で客観テストを使用しているかを理解することが目的である。

調査によると、採用や能力開発で客観ツールを使用しているヨーロッパ企業は75%。ただし、70%は妥当性と信頼性のあるツールのみを信頼すると回答した。ヨーロッパの人事担当者は、直感ではなく科学を基に人材に関する意思決定を下すことを重視している。

客観テストにおける成熟市場は、コンサルタント、金融専門サービス業界。平均で10年間、使用している。比較的最近に心理測定ツールに目を向けるようになったのは、製造、病院、教育、官公庁。おそらく、様々な業界のニーズに応えられるツールが増加したことを反映しているのだろう。

企業は客観テストの活用方法を進化させている。将来のビジネス・ニーズを満たすために、経営ボードは人事専門家の意見に耳を傾け、どうすれば最もうまく人材の能力とビジネスの目的を一致させることができるかに知恵を絞っている。

調査結果から、客観テストが上級管理職以上の選抜だけに使われるのではなく、全ての階層の社員の採用に使われ始めたことがわかる。ベルギーがこの点で進んでいる。ブルーカラー(約40%)から上級管理職(70%)まで、社員の全ての階層で比較的一貫してテストを使用している。

優秀な人材をひきつけたいというニーズに引っ張られ、ヨーロッパの人事の中で、科学的に頑健な客観テストのメリットはますます理解されていくだろうと考えられる。ただし、社員の能力開発における活用にはまだ発展の余地があり、その点が課題である。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

心理測定検査をはじめとする客観評価ツールの使用実態に関する調査結果の紹介記事でした。ヨーロッパ企業の4社に3社が何らかの形で使用しているそうです。

日本ではどのくらいの企業が活用しているのでしょうか。いくつかの調査があり、対象企業の規模や特性によって結果は様々ですが、おおむね6割〜8割という数字をよくみかけます。この記事でも調査の対象や方法などがまったくわからないため何とも比較できませんが、日本では新卒定期採用などの場面でかなり広く使用されており、筆者の感覚では使用率はヨーロッパよりも日本のほうが高いのではないか、と思います。

ただし、活用の深さという点ではこの順位は逆転しているかもしれません。海外のSHLグループ各社からの活用事例をきくと、評価の仕組みとしてかなり綿密に設計されており、人事制度の中に組み込まれている印象を受けます。評価ツール自体もそれに合わせてとにかく細かく分析的なものが好まれているようです。

個人的には、質問紙検査にしてもシミュレーション演習にしても、ある切り取られた場面でのその人の反応を、統計数字をバックに得点に置き換えたものだと考えており、これが人事評価の主役になるのはいかがなものか、などと、海外事例に対して感じることが時々あります。その人に関するさまざまな情報のうちのひとつとして、他の情報とうまく組み合わせる、という意味での深い活用を追求したいものです。

文責:堀 博美

バックナンバー

2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年

学会発表論文