SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

新年最初のコラムは、リスクに関するSHLグローバル調査結果をご紹介します。リスクを起こしやすい行動傾向に焦点を絞った調査です。

第116回 貴社のビジネスにとって最もリスキーな人は誰ですか?

SHLは「行動リスク」に関する国際調査結果を発表しました。この調査はリスクの人間的要素と行動を分析するもので、リスクへの意欲とリスクからの回復力のバランスをうまくとれるよう企業を支援することが目的です。

200カ国、経営幹部から第一線スタッフまで130万人以上のサンプルを分析した結果、平均で8人に1人が企業に高レベルの行動リスクをもたらすことが明らかになりました。

SHLチーフ・サイエンス&アナリティックス・オフィサーEugene Burkeは次のようにコメントしています。『金融業界やメディア業界における最近の出来事を考えると、社員の行動が、株価に影響を与え、法を破り、業界再編を触媒するような企業リスクをもたらすことがうかがえます。多くのビジネスは方針や手順に焦点を当てるだけで、行動リスクの評価は死角になっています。リスクを取り除くことはできませんが、リスクには表裏があります。リスクを建設的な方向にマネジメントできるよう、企業は自身のリスクに対する意欲を意識しなければなりません。』

SHLの調査では、管理専門職の8人に1人が企業に高いリスクをもたらします。主に質の低い意思決定やまずいコミュニケーションによるものです。興味深いことに、行動リスクは役職が高いほど減少し、経営幹部で高リスクをもたらすのは15人に1人だけです。下に行くと、チームリーダーや一般社員は最もリスクが高く、経営幹部のリスクの倍(7人に1人)です。

『これは中級管理職レベルにおけるエクセキューション・ギャップでしょう。中級管理職は戦略と業務遂行を結び付ける重要な役割です。前線スタッフのコンプライアンスやコミットメントをマネジメントする一方、彼らがやる気になるようリーダーからの決定事項を適切に伝達する必要があります。リスクを適切にマネジメントし、取締役会議のビジョンを前線にもたらすべく、中級管理職レベルに適切な人材を置いているかどうかを企業は自問しなければなりません。』(Burke)

職場で逆効果な行動を示すことによって企業に高いリスクをもたらす前線スタッフは8人に1人です。逆効果な行動とは、コンプライアンスや詳細への注意不足(エラーや事故の増加につながる)と、コミットメントやチームワークの低さ(顧客サービスに影響を与え、かつ、常習欠勤や業績管理に関するコスト増を引き起こす)です。

全体のトレンドに反し、「石油・ガス」「旅行・レジャー」など、組織の上のほうがリスクが大きい業界もあります。

『近年、多数の企業事故・事件で前線スタッフが批判されてきました。しかし、業界によっては、組織にリスクを創り出すのは実は上級管理職であることが調査から明らかになりました。意思決定やコミュニケーションのスキルが不足しています。通報者を無視したり様々な部署からの意見を考慮に入れなかったりすることによって、リーダーはリスクをマネジメントする重要な手がかりを見逃し、それが悲惨な結果になることもあるのです。』(Burke)

CEB社長Ronnie Kannは次のように述べています。『大きな行動リスクを低減するために、上級管理職が取り込むべき要素が2つあります。ひとつめは倫理基準徹底へのコミットメント、ふたつめは社員が安心して違反を伝えられる経路です。共に上級管理職が前線管理職と緊密に連携して動くかどうか次第です。それが、リスクへの意識の高い風土を作り上げ、倫理的な行動を奨励することにつながります。』

業界による差異もあります。しかし、同じ業界内でも企業によってリスク・プロファイルは大きく異なることに注意しなければなりません。

『リスクに関連する法的、社会的、経済的、政治的、財務的要素を見た同様の調査はありました。しかし、これまで見逃されていたのは、職場においてリスクを推進する人々の行動予測です。最近、特に銀行業界において、リスクをうまくマネジメントしないことによるマイナスの結果が注目されています。リスクには良い点もあります。要は、新しい市場やビジネスチャンスをつかむべくリスクを冒すことと、組織が危機を回避して競争優位を達成できるようリスクへの耐性をつけることの、バランスです。』(Burke)

SHLリスク調査は、ビジネスリーダーや人事担当者、リスク担当マネジャーが人材マネジメントプログラムへの情報源として用いることができます。リスクマネジメント戦略立案の有効な材料となるでしょう。また、部下のリスク・プロファイルを理解し、人に関するリスクを最小限に抑えて対処するために、中級管理職が活用することもできます。

「行動リスク」についてのSHLの定義

SHLは8つの要素を用いてリスク耐性と意欲を見ます。

リスク意欲は「イニシアティブを取る」「自信を持って厳しい決断をする」「目標達成に向けて粘り強く取り組む」などの特徴によって測定されます。

リスク耐性には、「意思決定の質(決定が効果的かどうか)」「コミュニケーションの質(決定がうまく伝えられているかどうか)」「決定を最後までやり切り、組織が社員に期待する行動基準を定める」などの要素が含まれます。前線スタッフレベルでは、追加要素として「コンプライアンスと質」「コミットメントとチームワーク」が加わります。

Source: SHL -behavioural risk components

Source: SHL – Aggregated data showing overall behavioural risk for all job levels by industry sector globally

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

このデータはSHLが2006年〜2011年に全世界で実施した130万件のOPQ検査結果をもとにしたものです。この「リスク研究」パートが含まれる「SHLタレント・リポート」は、www.shl.com/talent-report-uk からダウンロードすることができます。

新年早々「リスク」の話題で、「暗い」とお叱りを受けそうな気もします。しかし、記事にも触れられているとおり、リスクにはよい面もあります。「リスク・テイキング」というと起業家に求められるコンピテンシーとして、チャレンジングで積極的、攻めのイメージがあります。逆に「リスク・マネジメント」というとなんだかリスクは回避すべきもののように私には思えます。皆様方の会社や組織にとってのリスクのイメージはどちらですか?

文責:堀 博美

タレントマネジメ
ントコラム 日本エス・エイチ・エルの人事コンサルタントの視点

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