SHLグローバルニュース

このコーナーは、SHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、SHLが属するCEBブログやメディア発信などから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回から2回に分けて、CEB白書「Making Change Management Work」をご紹介します。風土改革やM&Aなど大きな組織変革を成功させるためのCEBからの提言です。

第214回 変革マネジメントを機能させる(1/2)

マネジメント変革に伝統的なアプローチが通用しなくなっています。CEBの調査から、変革の成功要因の66%が人材に関連することがわかりました。トップダウンのアプローチから離れ、人材に焦点を当てることで、成功確率が飛躍的にアップします。

平均的な企業は過去3年間で5つの組織変革を経てきました。リストラからリーダー交代やM&Aまで、これらの変革はどんな企業にとっても顕著で複雑なものです。

73%の企業が

今後数年間で実行する大きな変革策が増えると予測

さらに、73%の企業が今後数年間にさらなる変革を予定しており、変革スピードが減速すると予測する企業はわずかです。

これまで、企業は変革を始めた時点で望んだほどの成功を達成していません。事実、我々が調べた400件以上の変革策のうち、「明らかに成功」と自己評価されたものはわずか3分の1でした。

さらに、変革が成功する確率は世界のどこでも同じくらい小さいことをデータは示しています。

変革のスピードに対する不満足度も人事部長とCEOの両方で高いです。

変革が成功しないと聞いて最初に思い浮かべるのは、社員が変革を素早くうまく推進できるだけの意欲や能力に欠けているのではないか、との疑いです。
しかしながら、社員の 64%は、変革にうまく関わるために必要な5つのスキルのうちの3つで、少なくともベースラインのレベルにあります。

さらに驚くことには、社員の74%が「組織変革を進んで支持し、適応するつもりである」と答えました。それでは、問題は何なのでしょう?

基礎的な能力があり、意欲が高いにもかかわらず、「変革をサポートするために働き方をうまく変えることができる」と答えた社員はわずか26%でした。そして、働き方を変える場合にも、17%の社員は「充分に素早く行動を変えられない」と認めています。

これらの結果は、意図と、企業が経験する現実との間のギャップを示しています。企業が変革をマネジメントするやり方にとって、これはどういう意味を持っているのでしょうか?

CEBは、世界中のほとんどの企業(70%以上)が変革をトップダウン・アプローチでマネジメントしていることを発見しました。これらの企業では、リーダーが実施計画を作成し、社員全体に変革を埋め込み支えるよう設計されたコミュニケーションプランを展開します。その意図は、より一貫した効果的な変革にすることと、実施をできるだけスピードアップすることです。
かつてこのアプローチは意味がありました。組織がほぼ垂直で、リーダーが全ての重要情報をもち上下関係がはっきりしているという特徴を持っていたからです。さらに、マーケットはより予測可能であり、組織は今ほど複雑ではありませんでした。そういう環境では、トップダウンの変革戦略は、組織の構造や仕事の流れに合っていました。
その状況を、今日の以下のような特徴を持つ組織と比べてください。

  • 組織構造がよりフラット
  • 報告ラインが複雑でマトリクスになっており、横の相互依存関係がたくさんある
  • 数十年前よりも、社員が自分の仕事やマーケット、競合についてはるかによく知っている

結論は?トップダウンの変革アプローチは、今日の仕事のやり方と根本的に分断されているのです。


※調査に回答した6600名の内訳は、ヨーロッパ40%、北米35%、アジア18%、南米4%、アフリカ 2%、オーストラリア・オセアニア2%です(四捨五入のため合計は100%になりません)。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

様々なデータから、組織変革の多くが成功に至っていないことを示し、その原因について探りました。ここまでの結論は、従来のトップダウンのやり方が現在の職場環境に合っていない、ということです。では、新しいやり方はどんなものなのか。次回、お伝えします。どうぞお楽しみに。

<2週間待てない方へ>
この白書の原文は以下のボタンからダウンロードできます。どうぞご利用ください(お名前や所属などの情報入力が必要です)。

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(文責:堀 博美)

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