堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるCEB SHL Talent Measurementがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は、2016年の人事の優先課題について、オーストラリアの人事専門誌Inside HRオンライン版に掲載された記事をご紹介します。

第192回 2016年、人事にとって人材分析がなぜ一番の優先課題なのか?

リポートは人事に影響を与えるいくつかのトレンドを分析し、人事は一歩下がってビジネスに最大のインパクトを与えるところに集中すべきだと提案しています。

「2016年は史上最も破壊的な1年になろうとしている」と、リポートを発表したCEBのHR施策担当シニア・ディレクター兼アドバイザリー・リーダーのアーロン・マックワン氏は述べます。

「業績レビューの終焉、今はやりのワークライフバランス施策、予測分析の台頭、人事担当役員の役割変化など、2016年に人事が直面する課題や検討すべき戦略について予測は尽きることがありません。」

リポートのタイトルは『2016年、人事にとっての次の課題は何か?人事リーダーからのトレンド』。世界各国の企業の人事350人に、2016年の優先事項と予想される課題を評価してもらいました。結果、人事リーダーにとって重要な注目すべき4つのトレンドが浮かびました。


  1. 人材の分析的変革

    利用可能なデータが増大することは明らかですが、リポートは、それが必ずしも効果的な分析の活用につながっていない、と述べます。

    「人材データを追跡してうまく分析している」と回答した企業はわずか5%。「人材に関する意思決定に予測分析を活用している」と回答した企業が12%、「近い将来、予測分析を活用する計画がある」が49%でした。

    さらに、3分の2の企業が「分析チームを設営、もしくは設営を検討中」、89%が「自社内の人事測定指標や情報を収集するために人事ビジネスパートナー(HRBP)の力を借りることが増えている、もしくは増やすことを検討中」と答えました。

    しかしながら、「HRBPがうまく人材やビジネスのデータを活用して意思決定をサポートしている」と思っているリーダーは半数以下でした。そして、優れた企業は、少人数の分析専門家に頼るのではなく、人事スタッフ全員の分析スキルと説明責任を深めています。

    また、人事リーダーの58%は「ハイポテンシャル者(HiPo)や将来リーダーの見極めに最も改善が必要」と回答しています。

    「グローバル市場ではかつてないほど競争が激しくなっています。今日のHiPoプログラム担当マネジャーは自社のHiPoについて、社内的な評価のみでなく、競合他社と比べてどうかを理解する必要があります。さもないと人材の開発がうまくいかず、直面する市場課題と異なる間違ったスキルに焦点を当てることになりかねません。」とリポートは述べています。


  2. 全社一丸

    仕事はますます水平的になってきていますが、人事のテクノロジーや能力、仕事の流れはいまだ垂直的組織をサポートするよう設計されたままです。このトレンドの中で人事が考えるべき重要な要素が3つある、とリポートは述べます。

    ひとつめは業績管理システムです。「社員のパフォーマンスをうまく正確に評価している」と思っている人事リーダーはわずか4%でした。

    しかしながら、簡素化が業績管理再設計の最終ゴールではない、とリポートは言います。人事は、過去の業績をただ記録するだけはない、実際に業績を推進するようなレビューのプロセスをどう改善できるかについて自問しなければなりません。

    同様に、多くの企業は、変化についていくために人材に関する会話をより増やすことを考えています。

    「人材についてのより頻繁な会話は、人事や組織が人材課題により能動的に対処し、変化するビジネスニーズや社員ニーズに柔軟に対応することに役立ちます。」とリポートは述べます。

    「しかし、そのメリットは業績レビューを増やすなどフォーマルな人事施策を追加することから来るのではありません。そうではなく、ビジネスプロセスや日々のやり取りの中で人材に関するより簡潔でインフォーマルな話し合いを導入する方法を見つけるのがよいでしょう。」


  3. 将来の労働力

    人事リーダーにとっての3つめの大きなトレンドは、より多様な将来の労働集団を作り、トップ人材のニーズにアピールするような様々なキャリアパスやその他社員特典を用意することです。

    リポートから、HiPoの60%以上が自分の能力開発経験に満足しておらず、3分の2の企業が今後3〜5年のうちに社内でスキル不足になることがわかりました。

    2016年、HiPo人材の開発策として挙げられたトップは「社内ローテーション」(76%)。「メンタリング」(76%)と「幹部によるリーダーシップとコーチング」(72%)が続きます。

    労働力の将来におけるもうひとつの要素は、組織の適応能力です。リポートによれば、「ニーズが起こるとすぐに変革を開始できる」企業は21%だけ、62%が「変革マネジメントの専門部署設立を実施もしくは検討中」です。

    しかし、変革専任チームの設立は変革成功の確率にあまり影響しない、とCEBは見ます。費用や専門性の狭さ、対応限度の固定のためです。

    「優れた企業はその代わりに、必要に応じて多様な変革チームを集め、時間の経過とともにその構成を変えて、適切なスキルがそれぞれの変革施策に配備されるようにします。そして、人事が複数の重なり合う変革プロジェクトをリードする力を持ちます。」とリポートは述べます。


  4. 次世代の人事職能

    伝統的な人事モデルは変化にもがいています。リポートによれば、人事トップが2016年に開発すべきスキルの1位は「ビジネス感覚」。

    「CHRO(最高人事責任者)の戦略立案プロセスがビジネス戦略を見極めて掘り下げ、それを人事戦略に転換できなければ、戦略的パートナーとしてのCHROの有効性は損なわれます。」とリポートは述べます。

    「効果的で持続的な人事戦略計画を作り出すために、CHROは他のリーダーともっとやり取りして関係を強めることによってビジネスニーズを理解しなければなりません。そして、ビジネスニーズを人事施策に転換するで、人事がいかに戦略的パートナーとなりうるかを示さなければなりません。」

    リポートはまた、CHROはもはや単なる人事リーダーではないことを記しています。人事リーダーの71%は人事や人材に関係しないビジネス案件により多くの時間を費やしており、また、70%が経営層でのビジネスプロジェクト参加により多くの時間を費やしています。

    リポートは次のように述べています。「CHROは経営幹部と二重の関係を持ちます。ひとつは同僚。取締役レベルの戦略的な優先事項に一緒に取り組みます。ふたつめはコーチです。困難な転換や業績課題について新任役員を導きます。ですから、CHROは企業リーダーとして優れ、同僚の業績を加速できるよう新しい考えやツール、プロセスを常に共有していなければなりません。」

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

冒頭の「2016年は(人事にとって)史上最も破壊的な一年になろうとしている」という指摘はややショッキングです。経営環境の変化が加速する中、世界の企業の人事はどう動こうとしているのか、この記事がご参考になれば幸いです。

なお、調査リポートの原題は「What’s next for HR in 2016? 11 Trends from HR Leaders」。下記URLからダウンロードできます(お名前、会社名などのご記入が必要です) 。
https://www.cebglobal.com/exbd/human-resources/corporate-leadership-council/year-in-preview/key-trends/index.page

文責:堀 博美

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