SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループがお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主にグループの広報誌やユーザー向けネット配信、HPプレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回はSHLグループのブログより、ハイポテンシャル人材の識別に関する物語形式の記事をご紹介します。

第360回 ハイポテンシャル人材の識別

ハイポテンシャル人材の識別が、海賊の地図や神話、伝説をもとにした宝探しのようになっていませんか?あなたのハイポテンシャル人材のリストは、組織内の正確なハイポテンシャル人材の状況を反映できていないかもしれません。

ヘレン・ファレル

注:以下の物語の登場人物は架空のものです。

私がナディアとテーブルを挟んで座っていると、人事マネジャーのマークが慌てて入ってきた。彼は髪に手をやり、きちんとした髪型を崩した。
「遅れて申し訳ありません、ナディア。ジャックと電話で話したところです。」マークは息を切らせながら言った。ナディアはまばたきをして、眉をひそめた。「それで?」
「ええ、彼はちょうど辞表を提出したところです。」マークは息をつき、ナディアに視線を送った。ナディアはもう片方の眉毛を上げた。「金曜日に彼と一対一の面談があったのよ」。

ナディアはマニキュアを塗った手で眼鏡を調節した。「これで3人目よ。ジャックはリストにいたわ」「分かっています。リストにいました。」 マークは唇を噛み締めながら、下を向いて繰り返した。

私の耳は、そのリストに釘付けになった。この手のリストというのは常にある。企業がそれを形式化し、組織内の共通認識としているかどうかにかかわらず、常にリストがあるのだ。ハイポテンシャル、つまり優秀な社員、成功する可能性のある社員のリストだ。そして、このリストは、後継者育成の戦略、トレーニングや能力開発の予算、そして会社全体の変革に反映される。

つまり、優秀な人材をこのリストに載せることは、事業にとって非常に重要なことなのだ。現在、どのようにリストを作っているのかを尋ねた。

「管理職が、自分のチームの中で、特に優秀な人材を指名するんです」とマークは説明した。

なるほど、業績か。新たなスターを見つけるための一つの要素だ。ハイポテンシャル人材の73%は、主観的な推薦によって選ばれている。しかし、その推薦には、さまざまなバイアスがかかっている。つまり、このリストは、ごく一部の多忙な管理職の意見に基づいた、人材の状況についての大まかなスケッチである。

それだけでは十分ではない。意欲とエンゲージメントも重要だ。ジャックは本当に組織内で活躍することを望んでいるのだろうか?そのことで、彼はよい気分になるのか?良い給料や報奨、昇進など、組織が提供するものによって、彼はやる気を出しているのか?彼は組織にコミットしているか?彼は友人や家族に仕事の話をしているか?彼は新しいアイデアを持っているか?彼は何かを完成させるために組織にいるか?夜、目を閉じても仕事のことを考えているか?

もし、彼が辞表を出したばかりなら、そうでないことは明らかだ。ナディアは唇をとがらせた。マークは寂しそうに床を見た。

これが問題だ。従業員についてこのようなことを知るのは難しい。しかし、測定することはできる。走り書きの地図だけを頼りに埋もれた宝を探しに行く必要はない。客観的で有効なアセスメントを使い、社員のエンゲージメント、能力、アスピレーションをまとめて、より包括的な地図を作ることができる。今、組織で育成すべき人材は誰か、もっと上を目指せる人材は誰か、今後に向けて育成すべき人材は誰かを把握する。それらを5つのボックスでマッピングすることで、真の人材配置・異動の計画ができるようになる。ハイポテンシャル人材が誰で、どのポジションにいるのか、どのような職務を担っているのか、オンラインのプラットフォーム上で確認することができる。それにより、ハイポテンシャル人材のリストはダイナミックで、生き生きとした、希望と野心に満ちたものとなり、人材パイプラインごとに異なるリストになる。単なるリストではなく、組織の未来を示す地図であり、等高線や凡例など、必要なものがすべて揃う。

私は「すべてが失われたわけではない」と言う。ジャックが辞めることを心配する必要はない。それよりも、フルールから目を離さないことだ。彼女こそ、真の秘宝だ。「フルールですか?」マークが眉をひそめて言う。「フルールのことは良く知りません。ジャックの最初の3ヶ月の成功は伝説的でしたが…。」と。

ジャックの業績は印象的だったかもしれないが、フルールは組織内で活躍することを望んでいる。高業績者のうちハイポテンシャル人材は15%にとどまる。フルールは意欲に燃えている。彼女は、組織内で活躍することでとても良い気分になっている。そして、自分の銀行口座にボーナスが振り込まれるのを見たときの快感がたまらないのだ。他のチームと話をし、耳を傾け、タイトな納期をこなす。そして、どうすれば他のやり方ができるかについてアイデアを持っている。ジャックはどうだろうか?変化し続ける世界や仕事についていくために必要な変化の中を、彼は進んでいくことができるだろうか?

ジャックは辞職したばかりで、答えはノーだ。

もし、明日CEOが「損益にインパクトを与えるために変えるべきこと」「毎日起きて出社する理由」を尋ねたら、ジャックは何と言うだろう?

フルールなら、きっと言いたいことが沢山あるはずだ。ジャックではなく、フルールがリストに載るべきだ。このような人材は、発掘され、育成されれば、大きな成果を上げることができる。管理職は、誰が高業績者かについて自分なりの考えや感じ方をもっているだろう。しかし、パフォーマンスとポテンシャルは別物だ。管理職は、ただ沢山見たり聞いたりしているだけだ。エンゲージメント、意欲、重要な行動の全てが違いをもたらす。管理職が、自分たちの仕事の優先順位を見極めながらも、ハイポテンシャル人材を識別するためには、特別な手助けが必要かもしれない。

ジャックに予算を浪費せず、手遅れになる前にフルールに投資すべきだ。彼女は競合他社に転職し、5年後にはチームを率いていて、あなたの組織を凌駕しているかもしれない。

組織の中で、能力、モチベーション、粘り強さを持っている人を見つけるべきだ。できる人、そして長期的に組織に留まることを約束できる人。仕事以外の活動や、組織の提供する報酬に喜びを感じる人、人を導き、創造的に考え、誠実に集中することができる人を。そして、組織を前進させるビジョンを持っている人を見つけるべきだ。

客観的なアセスメントを使えば、地図をもとにゴールに向かう際に、人による解釈を取り除くことができる。ハイポテンシャル人材を特定するためにSHLのアセスメントを使用することで、エンゲージメント、定着率、将来の業績が向上することが分かっている。また、Mobilizeプラットフォームでは、社員がどのような職務に最も適しているかを確認することができ、上級職で12倍、経営幹部職で11倍も活躍できる可能性をもつハイポテンシャル人材を識別することができる。

埋もれた宝物を探すのに、急いで走り書きした印象的な場所と、コンパスと凡例を備えた包括的で客観的な地図と、どちらが良いだろうか?

どんな会社にも有望な人材のリストがある。重要なのは、そのリストの作り方だ。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

原文はこちら。
https://www.shl.com/resources/by-type/blog/2022/treasure-hunting-for-high-potentials-more-than-just-pirate-maps-myths-and-legends/
皆様の有望な人材の「リスト」には、業績だけでなく意欲とエンゲージメントの要素が加味されているでしょうか。

(文責:廣島晶子)

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