堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、当社がライセンス契約を結んでいるSHL Group Ltd. がお客様に向けて発信している様々な情報を日本語に翻訳してご紹介するものです。主に広報誌やユーザー向けネット配信、HP、プレスリリースなどから記事をピックアップしています。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回は「アセスメント・トレンドに関する調査」結果報告書を取り上げました。この調査はSHLグループが定期的に実施してきたものです。

第255回 2018年グローバル・アセスメント・トレンド調査――エグゼキュティブ・サマリー

本調査は人材マネジメントとアセスメント施策について示すものです。世界中の企業がどのように人材や人事施策の優先順位をつけ、測定し、評価しているかについての総合的な像を人事担当者に提供します。

このリポートは2017年後半に実施されたオンライン調査の結果です。世界中の企業の人事担当者3135名のデータが集まりました。前回の調査は2014年に実施されました。リポートの中で適宜、経年比較として今回と前回の結果を比べています。さらに、地域や会社規模別の比較も適宜なされています。

このリポートの焦点は次の3点です。

  1. 仕事の性質の変化と、それが組織戦略や人材マネジメントに意味するもの
  2. 人材データの重要性が将来ますます増していること
  3. 人材アセスメントツールの現在および予定されている活用

リポートの重要結果を以下に列挙します。

回答者は概ね、職務のオートメーションが職務の遂行のし方によい影響を与えていると答えていますが、オートメーションには職務や人事プロセスに劇的な影響を与える可能性もあります。

  • ほとんどの回答者(90%)が「オートメーションには自社社員の生産性を向上させる可能性がある」と回答し、4分の3以上の回答者(79%)が「オートメーションは職務がどのように遂行されるかに肯定的な影響を与えている」に賛成しています。
  • しかしながら、27%が「オートメーションは人員解雇につながってきた」と指摘し、23%が「部分的に自動化されてきた職務への応募者の数が増えた」に賛成しています。

仕事の将来は回答者の注目を集めるテーマですが、「自社は現在の労働力のポテンシャルを明確に理解している」と指摘した回答者は半分以下(40%)でした。

  • このギャップを埋めるために、ほとんどの回答者(81%)はビジネスリーダーと協力して「どの職務が将来重要になるかを理解」しようとしており、半分近い回答者(42%)が「将来は職務の数よりも候補者の数が増える」と予測しています。
  • さらに、77%が「将来、人材データに頼る必要性が大きくなる」と報告し、66%が「現在および将来の職務にデジタル化が与える影響」を検討しており、61%が「仕事の将来と、それをサポートするために人事プロセスをどのように再設計するか」の検討に時間を費やしていると報告しています。

2018年の優先順位のトップ5は、「リーダーシップ開発」「ハイポテンシャル人材の識別」「キャリア開発」「パフォーマンス・マネジメント」「承継計画」です。2014年のトップ5にあった「エンゲージメント/定着」は6位に落ちました。この優先順位は地域を超えてかなり一貫しており、世界中の社内人材プログラムの焦点であることを示しています。

「採用場面でアセスメントを活用」(93%)に比べると、「能力開発場面でアセスメントを活用」(60%)と答えた回答者は少ないですが、「アセスメントが能力開発プログラムにどのように価値を付加するかを判断するために指標を出している」(62%)とした回答者は採用プログラム(49%)よりも多かったです。

  • 能力開発場面でのアセスメントを評価するための指標の活用は、2014年(37%)以来、劇的に伸びてきました
  • 指標活用が最も高いのはアジアの回答者でした。
  • Global Fortune 500社は、他の企業よりも、能力開発場面でのアセスメント活用の結果を追っている確率がはるかに高いです。

「現在選抜でビッグデータを有効活用している」と答えた人(38%)と、「有効活用は数年先である」と答えた人(38%)は同数で、17%が「選抜場面でのビッグデータはほとんど誇大広告である」と考えています。このことから、このやり方の有効性、人事プロセスを推進するために社内外の人材データをどのように活用するかの知識、このデータをどのように分析してユニークな洞察を導くかの知識については、見解が混在していることがうかがわれます。

人事情報システムを使っての人材データ管理について、企業は引き続き苦心しています。2014年の結果と同様、「人事システムの人材データ管理能力に満足している」と回答したのはわずか(27%)でした。また、人材データのより良い活用を妨げている単一で最大のものは「システム間の統合の欠如」(利用している回答者の72%)です。この結果は企業規模に関わらず同じです。

アルゴリズム的アセスメント(経歴や背景などの大量デモグラフィック情報を分析して将来のパフォーマンスを予測するソフトウェア)を使っている人は少ない(14%)ですが、それが狙うビジネス成果は、心理測定的アセスメントと異なります。アルゴリズム的アセスメントの狙うビジネス成果の上位は、「特になし」「生産性」「プロセスの効率化」「定着」「パフォーマンス評定」でした。一方、心理測定的アセスメントの狙うビジネス成果の上位は、「エンゲージメント」「定着」「生産性」「パフォーマンス評定」「トレーニング有効性」でした。これらの結果は、ツールの活用について異なる像を描いており、相互補完的ではありますが異なる意図で進められています。ほとんどの回答者はアルゴリズム的アセスメントを使う具体的なビジネス成果を示しておらず、理論的根拠が薄い、もしくは探索的であることを示しています。

現在アセスメントを使っている、もしくは近い将来使う計画である企業は、「ハイポテンシャル識別」(82%)、「リーダーシップ開発」(82%)、「社外採用」(79%)、「キャリア開発」(79%)、「社内選抜」(72%)であり、核となる人事プロセスにアセスメントがあまねく使われていることを再確認しています。

一般的なアセスメント(スキル/知識、状況判断、パーソナリティ、知的能力など)は優先度の高い様々な領域で非常によく使われていますが、2014年と比べるとその使用は減少しています。計画中のアセスメントのタイプの上位は職務や企業に特有のもので、「文化適合アセスメント」(26%)、「職務シミュレーション」(23%)、「職務特有ソリューション」(21%)、「職務適合アセスメント」(20%)が含まれます。「ゲーム/パズル」「興味検査」「バイオデータ」については、それぞれ70%、66%、64%の回答者が、将来使う計画はないと回答しました。

伝統的な構造面接が広く使われています(76%)が、リアルタイムのビデオ面接がより普通に使われるようになってきました(54%)。

  • 現在、非同期面接を使っているのはわずか13%で、72%が「この技術を使う計画はない」と答えました。
  • 我々の受検者経験調査の結果は、受検者は対面面接を最も好むことを示しています。デジタル面接については、リアルタイム面接が非同期面接よりもはるかに好まれています。

回答者の大多数(64%)は「自社は採用ブランド改善に追加投資をしている」と答えていますが、「受検者の好みを基に採用プロセスをアップデートしている」のはわずか26%でした。受検者経験の一部として肯定的な採用ブランドを導入して強化するチャンスがあることを示しています。

本調査と先日の受検者経験調査の結果を比べると、どんなツールが採用場面で使われるかについての期待や好みの方向は、人事担当者と受検者の間で一致しています。しかし、人事担当者が「受検者は短く、新奇で、テクノロジーによって可能になった採用ツールを好む」と考える程度は、実際の受検者の程度に比べ、極端な傾向があります。

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

本リポートは以下のリンクから入手できます(ダウンロードにはお名前やご社名などの入力が必要です)。

リポートのダウンロードページへ

リポート本文には詳細データが記述されています。ご参考までに、図の目次を下に載せておきます。また、サマリーの12個のポイントについて背景や根拠など詳しくお知りになりたい場合、本文に該当するページが明記されていますので確認できます。

(参考)図の目次
図1:オートメーションの役割に対する反応
図2:人事に関連するオートメーションの影響
図3:仕事の変化に企業はどう準備しているか
図4:人材マネジメントのトレンドとプロセス
図5:人事優先事項(全体)
図6:人事優先事項(地域別)
図7:人事におけるトレンド:指標の収集とアセスメントの価値評価
図8:採用と能力開発におけるアセスメント活用が狙うビジネス成果
図9:心理測定的アセスメントとアルゴリズム的アセスメントが狙うビジネス成果
図10:アルゴリズム的アセスメントが狙うビジネス成果:F500社とそれ以外の比較
図11:人事領域別アセスメント使用
図12:採用アセスメントの使用
図13:面接の使用:現在の使用と近い将来に使用する計画
図14:その他の採用アセスメントの使用:現在の使用と近い将来に使用する計画
図15:雇用主としてのブランディングと受検者の好み
図16:受検者へのフィードバック提供(地域別)
図17:採用アセスメントの使用(地域別)
図18:採用アセスメント使用のタイプ(地域別)
図19:採用アセスメント(レベル別、地域別)
図20:アセスメントタイプの好み認知(レベル別)

(文責:堀 博美)

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