SHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループが配信している「SHL Global Newsletter」やHPから記事をピックアップ、日本語に翻訳してご紹介するものです。海外の人事の現場でどんなことが話題になっているのか、人材マネジメントに関して海外企業はどんな取り組みをしているのかをお伝えすることで、皆さまのお役に立てればと願っております。

今回もSHLのプレス・リリースから調査の結果をご報告します。

第24回 求職者の4分の1が仕事を得るためにうそをつく

SHLグループの調査によれば、求職者の24%が「仕事を確保するために事実を大げさに言う」と回答。また、15%が「自分のスキルや資格、経験を誇張する」と認めている。(2009年4月15日 SHLプレス・リリース)

SHLが委託した調査研究で、現在の経済環境とその結果としての仕事を求める競争が、受検者に自分の都合のよいほうに事実を曲げさせることがわかった。23%の人が「不況であり、他の受検者は誇張しているという事実があるため、求職競争の際は選択の余地がない」と回答している。

また、男性のほうが女性よりもうそをつきやすいようである(男性26%、女性22%)。

受検者となる可能性のある者の大半は正直(「仕事を得るためでもうそをついたり誇張したりしない」54%)だが、3人に1人は「もし給与がよかったり理想の仕事だったりしたらうそをつくかもしれない」と答えている。

SHLグループ主席心理学者ジェイムズ・バイウォーターは次のように述べている。
「現在の求職マーケットを考えると、我々の調査結果はさほど驚くことでもありません。人員削減が進んで求職者のプールが大きくなるにつれ、採用担当者はこの姿勢が履歴書や面接に表れることを予期しなければなりません。」

「ひとつの仕事に対して10人以上が競争する場合、会社は履歴書に書かれたスキルや資格、経験が正直なものであると考えてはいけません。面接についても同じです。現在の経済環境はいちかばちかのアセスメント環境を作り出しています。受検者は仕事を確保するために必死です。それゆえ、その仕事に求められるコンピテンシーに照らして受検者が評価されること、そして、評価と職務要件の関係を後で確認できるような明確な記録が存在することが重要です。」

「採用担当者は大量の応募書類に埋もれ、選考はほとんど不可能なほど時間のかかる仕事になっています。これに対処するひとつの方法は、SHLのVerifyのような実績のあるしっかりしたオンラインテストを導入して、全受検者に同じ土俵を与えることです。選考プロセスの時間を節約でき、求職者全員が公平な機会をもつことができます。」

バイウォーターはまた、採用担当者は採用にもっと「顧客中心のアプローチ」をすべきだと提案している。

「応募者プールを潜在的顧客と見ることが、評価プロセスのダイナミクスを変えます。人事は小売企業や顧客サービス企業からビジネスモデルを取り入れ始めるべきです。苦情や訴訟沙汰になることが増えつつある状況に、数秒で数十万人にメッセージを伝えられるテクノロジーが組み合わされています。このことは、優れた、バランスの取れた、正当化できて説明可能な評価が重要である、ということを意味します。」

その他、調査から明らかになったことは以下のとおり。

  • 若い労働者のほうが、より年配の労働者よりも、「仕事のために事実を誇張する」ことが多い(18〜24才で37%、35〜44才で26%)。
  • ロンドンとスコットランドの受検者予備軍は、求職競争において他の人がそうしているからという理由で、自分のスキルを上めに申告する(ロンドン20%、スコットランド21%)。
  • フルタイムの学生が最も採用担当者をだまそうとする(「現在の経済環境と求職競争のためにうそをつかざるを得ない」39%)

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

記事の中に調査の概要が記述されていませんでしたので、別途問合せました。この調査はSHLグループがYouGov というイギリスのマーケットリサーチ会社に委託して、3月20日〜23日、インターネット上で実施されたものです。サンプル数は1953人。18才以上のイギリス人全体をよく代表するよう調整されている、とのことです。

仕事を得るために「事実を誇張する」と「うそをつく」では回答内容に微妙なニュアンスの違いがあるような気がしますが、調査の正確な質問項目までは発表されていないため、残念ながらそのあたりは若干あいまいなままです。それでも、「4分の1」という数字からは仕事を得るための切実さが伝わってきます。同様の調査をもし日本で行ったらどういう結果になるでしょうか。

タレントマネジメ
ントコラム 日本エス・エイチ・エルの人事コンサルタントの視点

バックナンバー

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年

学会発表論文