堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループが季刊で配信している「SHL Global Newsletter」の中から記事をピックアップ、日本語に翻訳してご紹介するものです。

今回は特別に日本発のニュースとして、日本心理学会大会で当社が研究発表をした内容についてご報告いたします。
(お詫び:前回スタートした事例「イギリス国営くじ基金(Big Lottery Fund)における管理能力開発」の連載の続きは次回に繰り越させていただきました。ご了承ください。)

第10回 学会発表ご報告

本年度の日本心理学会第72回大会は、9月19日(金)〜21日(日)、北海道大学において開催されました。

日本心理学会とは

日本心理学会は1927年に創立された全国規模の心理学の総合学会で、会員数は7079名(2006年4月末)。日本には心理学関連で約40の学会がありますが、それらのリーダー的役割を果たしています。

当社からの研究発表

当社がこの学会で研究発表したのは今回で3回目になります。全て当社のパーソナリティ検査OPQの優位性についての研究で、一昨年は「営業職における妥当性検証研究」、昨年は「SE職における妥当性検証研究」について発表しました。

今年のテーマは検査形式と作為の関係に関するものです。以下に概要をご報告いたします。

主題 : パーソナリティ検査の尺度化方法に関する一考察
副題 : イプサティブ形式とノーマティブ形式の比較
発表者 : 堀 博美 水島奈都代

研究の背景

パーソナリティ検査の形式は次の2つに大別されます。

  1. ひとつひとつの質問項目に対して「はい・いいえ」もしくは5段階などの評定尺度上で答えさせる形式(ノーマティブ形式:以下N形式と略)
  2. いくつかの質問項目を組にしてその中から「最も自分にあてはまる(もしくは、あてはまらない)項目」を選ばせる形式(イプサティブ形式:以下 I 形式と略)

OPQの標準版は I 形式です。

研究の目的

  1. 両形式による測定結果の比較
  2. 両形式の作為に対する強度の比較

方法

  1. 当社テストモニター581名に、OPQの I 形式を実施。
  2. 1の結果得点がほぼ同質となるよう、統制群と実験群に分割。
  3. 統制群に、OPQのN形式を実施。
  4. 実験群には、ストレス耐性のある人として回答するよう作為の指示をした上で、I 形式とN形式の両方を実施。

結果と考察

  • 目的1について
    通常の受検状態における I 形式とN形式の得点の相関は概ね高く、類似性が認められた。
  • 目的2について
    OPQ30尺度のうちストレス耐性に関連する5尺度について、検査形式×受検状況の4つの得点結果を分散分析などで検定。「余裕」「心配性」「楽観的」の3尺度で、N形式の方が I 形式よりも、作為の有無によって得点が大きく変化していた。
  • 今後は、採用試験など意識的無意識的に作為が混入する可能性が高い場面で使用された場合の結果の妥当性に関して両形式を比較することが課題である。

日本心理学会の一般研究発表はテーマによって、「原理/方法」「人格」「社会/文化」「臨床/障害」「犯罪/非行」「数理/統計」「生理」「感覚/知覚」「認知」「学習」「記憶」「言語/思考」「情動/動機づけ」「行動」「発達」「教育」「産業/交通」「スポーツ/健康」「ジェンダー/フェミニズム」「環境」の20の分野に分けられます。当社の発表はこのうち「産業/交通」分野の研究として出されました。

この分野の専門学会としては、産業組織心理学会や経営行動学会、テスト学会などがあります。テーマが絞られている分、参加者同士の深い議論、意見交換が可能です。一方、日本心理学会からは視野の広さが得られます。当社としてはそれぞれのよい部分を取り入れながら今後も学会活動を継続し、その成果を持って、ユーザーの皆さまのニーズに合った質の高い専門的サービスを提供していきたいと考えております。

文責:堀 博美

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

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