堀 博美のSHLグローバルニュース

このコーナーは、イギリスのSHLグループが季刊で配信している「SHL Global Newsletter」の中から記事をピックアップ、日本語に翻訳してご紹介するものです。

今回は、3回に分けて連載している事例「イギリス国営くじ基金(Big Lottery Fund; 以下BIGと略)」の第2回です。前回、当局からの監査や満足度調査の結果から、課題が明らかになったところまで紹介しました。

第11回 ケーススタディ:イギリス国営くじ基金(2)

解決策

BIG人事チームはHR3ヵ年戦略を策定した。第一段階は、組織内部の価値観を作り上げることである。スタッフがどんなタイプの組織で働きたいかを明らかにするために、ワークショップが全国で開催され、4つの価値が定義された。それらを基に組織全体をカバーする行動コンピテンシーと技術コンピテンシーを開発することがSHLに委託された。

これらのコンピテンシーは、BIGで高業績の風土を推進するために各役割に求められる行動を明らかにしたものになる。さらに、プロジェクトでは全ての役割を再定義し、職務グループの枠組みを確立した。この結果、職務プロファイルの数は3分の1減少した。

行動コンピテンシーは「分析力」「影響力」など役割に必要不可欠な行動を指し、一方、技術コンピテンシーは「メディア技術」「人の管理」などのスキルを指す。これらのコンピテンシーの記述が、管理職とスタッフの両方にとって、役割に求められるものを明らかにする共通言語となる。

コンピテンシー枠組みについての合意が得られたところで、既存の評価軸がコンピテンシーに位置づけられ、既存の職務記述書や能力開発アドバイス、面接質問項目の見直しが行われた。そして、それらの情報が「your HR」と呼ばれる社員のポータルサイトに掲示された。

「your HR」は、スタッフとその上司の両方に、能力開発に関する情報とアドバイス、サポートを提供するサイトである。最も重要な点は、サイト情報がライン管理職の部下教育を補助することである。

スタッフの能力開発を促進するために、BIGはオープン・ユニバーシティとパートナー契約を結び、リーダーシップとマネジメントに関する新しい能力開発プログラムを導入した。現在は、eラーニングシリーズの展開を計画中である。

パートナー契約によって、マネジメントについての修了証や学位をとることが可能となり、スタッフは自分の能力開発を専門的に継続できるようになった。現在、50人以上がプログラムに参加している。プログラムはBIGコンピテンシーの枠組みの中に組み込まれ、「学んだことを職場で応用できる」ようになっている。

オープン・ユニバーシティのプログラムが開設され、管理職は必要に応じてオンラインで能力開発トレーニングが受けられるようになった。プログラムの単位はSHLによって設計された。既存管理職は自分に必要な単位を選択できる一方、新任管理職は管理職としてのきっちりした教育を受けることができる。単位の例は次のとおりである。

  • リーダーシップモデル
  • 職務行動管理
  • 障害管理
  • 面談スキル
  • リソース管理
  • コーチング
  • 変革マネジメント
  • 継続的改善

社内でこれらの活動を率いるペリー・ティムス氏は、次のように述べている。「このプログラムを社内のリーダーシップ開発プログラムPathwayで補う提案が進行中です。幹部候補スタッフの育成施策と統合されています。BIGの価値観に結びついたコンピテンシーに基づいており、満足度調査の重要テーマに対応したもので、プログラムは11月に始まる1年コースです。このプロジェクトは固定的なものではなく、ビジネスニーズに従って常に進化しています。

(次回に続く)

(© SHL. Translated by the kind permission of SHL Group Ltd. All rights reserved)

訳者コメント

イギリス留学をサポートするBEO株式会社のHPは、イギリスのオープン・ユニバーシティを以下のように紹介しています。
http://www.beo.jp/program/schools/detail/20080924135648.html

  • イギリスで最も通信教育に力を入れた唯一の大学。30年以上の実績を持つ。
  • 総学生数は20万人弱と大規模。約70%の学生がフルタイムで働いている。
  • 18才以上であれば誰でも入学でき、障害をもつ学生も多く受け入れているなど「オープン」という名のとおり、学びたいと思う全ての人に教育の機会を与えることを使命としている。
  • 教育の質は高く、イギリス国内大学の上位にランクイン。

文責:堀 博美

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