人事部長からの質問

2006/03/31 718

いよいよ4月から面接が始まる。対策十分派への対抗策は?

自分の言葉でしか話せない話題を選ぶ、という原則で対応できます。たとえば「当社の採用ホームページを読みましたか?当社がみなさんに一番伝えたいと思ったメッセージって何だと思いますか?」というような質問をぶつけて掘り下げてください。この手の課題型の質問への回答は、『面接の達人』の類の本のどこを探してもヒントはありません。一人ひとりに個別の認知・判断を求めているからです。自分の言葉で話せる人は、こういう話題になると生き生きとして自分の考えを話し始めます。聞いていて、表現の巧緻は別にして、よくわかる話をしているな、と思う人を優先して採ればよろしい。エントリーシートに書いてある話題を掘り下げようと思うと相手の術中にはまります。人物の真贋鑑定はできません。

文責:清水 佑三

2006/03/30 717

昨日の続き。社員が辞めない会社がいい会社ですか?

そうだと思いますね。それで存続できる会社がいい会社です。会社を組織とおきかえるとよくわかります。官庁、自治体、外郭団体、特殊法人の構成員はほとんどやめません。それは組織が永遠に存続できるという保証があるからです。しかも、来年の今ごろも今と同じ仕事をしていてよいのです。チャレンジして失敗して詰め腹を切らされることもない。おひな祭りに端午の節句、灯篭流しに月見だんごというぐあいで和気藹々と年中行事をつつがなくしていればお給金も少しづつあがります。年金も民間よりもよい。割り増し退職金までつきます。やめたらバチがあたります。悪態はもうやめましょう。

文責:清水 佑三

2006/03/29 716

昨日の続き。職種変更辞令を拒否して今の職種を続けるための転職ならOKですか?

「NHKのドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』で左官の挟土秀平さんが、転機のつかみ方として、”ひとつのことをずっと続ける”ことと仰っていました。それが転機のつかみ方である、という主張にひかれました。」 と添え書きがありました。そうですね。私の父方の先祖は新橋の染物職人だそうです。私の中にはどうしようもない職人のDNAがあって、後生大事に「継続は力なり」といい続けているのだと思います。どこかで、仕事とは事に仕えることであって、一つの神様に仕えつづけるほうが、神様のハシゴをするよりご利益があると信じているのだと思います。

文責:清水 佑三

2006/03/28 715

清水さんは転職が嫌いなようですが許せる転職は?

転職には“from”と“ to”のふたつの型があります。“from”型は、ともかく今の場所が耐えられない、脱出したいという強い動機をもっている場合です。極端にいえば緊急非難のかけこみ寺のようにして、次の場所にゆく転職です。“ to”型は、現状に十分に満足しているが、はるか向こうの峰の上に突然「金精」が立つのが見えてしまった場合です。その「金精」が自分をしきりに呼ぶのです。(江戸時代、各地の金山はこのようにして発見されたそうです。)前者の転職についてはノー、後者の転職についてはイエスだと思っています。この答えでは多分ダメでしょうね。

文責:清水 佑三

2006/03/27 714

いい上司とはどういう上司をいうのでしょう。

三つの角度があると思います。一つはその上司のもとにいると自分にとって得になる、二には言動が理にかなっていて精神衛生を乱さない、三には一緒にいると文句なく楽しい、だと思います。もうひとつ付け加えれば、挙措がカッコヨイでしょうか。そんな上司いねえよ、という声が聞こえそうですが、昔の米テレビ映画『ローハイド』のフェイバーさんはそんなイメージでした。クリント・イーストウッドが演じたローディがボスに魅かれたのがとてもよくわかります。私にとって、いい上司とはエリック・フレミングが演じたフェイバーさんです。

文責:清水 佑三