人事部長からの質問

2006/03/24 713

WBCでのイチローの活躍はすごかったですね。彼の「リーダーシップ」を論じてください。

「マイペース、クールという印象の強い同選手が、今回のWBC大会で見違えるようなリーダーシップを発揮できたのは、短期決戦だったからでしょうか?YAKYU好きの清水社長、お答えください。」というご質問です。質問にケチをつけるようで悪いのですが、イチローが見せたオールジャパン(チーム)への貢献の種類は、リーダーシップというよりもキャプテンシーと呼ぶべきものです。今回は、王貞治がもてる「リーダーシップ」を遺憾なく発揮して、チームを世界一の栄冠まで導いたのです。その証拠に、イチローを男にしたいと思って頑張った選手は誰一人いなかった。王さんに恥をかかせてはいけない、という松中信彦に代表される気持ちが一つになって大きなうねりとなったのです。その音頭をとったのがイチローでした。これは正真正銘のキャプテンシーであります。

文責:清水 佑三

2006/03/23 712

多様な価値観をもつ人材集団をうまく活用するコツを。

アメリカがそうですね。たった一つの国旗と憲法のもとに結集する、その二つだけは譲れないが、そのほかは多様であったほうがよい、がアメリカの立国精神です。世界で唯一の覇権国家になったのはこの原理原則をアメリカが貫きとおしているからでしょう。異質のものの葛藤から生み出される所産のほうが、同質のものの相乗から生み出される所産よりも、競争力を持つのです。ご質問に戻れば「創業の精神」に賛同し、結集する人であれば、そのほかの価値観は多様であってよい、むしろ多様でなければならない、という組織構成の運営原則をもてばよいと思います。具体的にいえば、要所、要所に配する人の価値観をあえてばらばらにすることだと思います。多様な人が自然にのびのびとやるようになります。井深大さんのカオスの経営学です。

文責:清水 佑三

2006/03/22 711

私もホリエモンファンです。彼はどうなると思いますか。

『きっこのブログ』は、イノシシ社長(ホリエモンのこと)周辺がホニャラ団のマネーロンダリングにからんでいるとか、裏金が武部ブタ周辺に行っていると書かれていますが、検察サイドからの(記者たちへの)不規則リークをスポーツ紙や夕刊紙から類推する限り、(国家権力は)その線では動いていないという印象です。ホリエモンの将来も心配ですが、『きっこのブログ』の将来も心配です。“きっこ”さんが何らかの罪名で逮捕、拘束されて、あのブログが読めなくなるとこの世がつまらなくなる。マジでそれが心配です。ご質問の件ですが、実刑は免れないとみます。その後はジェフリー・アーチャーのように自分の経験をおもしろおかしく小説に書いて「百万ドルを取り返す」かもしれません。そうしてほしいですね。

文責:清水 佑三

2006/03/20 710

管理職の資格認定試験ですが、全職種共通であるべきですか?

「弊社は営業、SE、開発、研究、管理などの職種があります。職種を跨がるローテーションはあまり行われておりません。」 と付記されておられます。管理職への期待によって回答が異なると考えます。過去、階層別教育を熱心に行ってきているタイプの会社である場合、階層間の人物、識見のレベル差が問題になるので、(階層別に)全職種一律でよいと思います。一方、管理職という肩書きはもらうが、部下を管理、監督するという側面よりも、プレーイングマネジャー兼プロジェクトリーダー的な立場にたたれることが多い会社の場合、経験の多寡、専門性のレベルが一つの判断ポイントとなるので、全職種共通の基準に加えて職種別基準をプラスしてもたれたほうがよいと考えます。付記事項を勘案すると御社の場合は、後者にあたるような気がいたします。

文責:清水 佑三

2006/03/17 709

レベルを揃えよ、タイプを散らせ、は清水先生の言葉ですか?

そうですね。もう10年以上前になりますが、「人の見分け方勉強会」でよく使ったコピーです。会社とオーケストラとはとてもよく似ていて、楽器別の演奏者レベルがバラバラだとどうしようもありません。これがレベルを揃えよ、の意味です。一方で、多様な楽器パートをもつほど、演奏する楽曲(経営シナリオ)を自由に選ぶことが可能になります。これがタイプを散らせの意味です。その逆が、金太郎飴、レベルはばらばらという会社です。これではどうしようもないと思います。レベルが違う投手経験者だけからなる野球チームを想像すると、わけのわからなさが理解できるかもしれません。

文責:清水 佑三