人事部長からの質問

2006/04/21 733

眠くならない座学研修のやり方はありますか?

おっしゃるように教室型の座学研修は眠くなりますね。特に、昼食のあとの時間帯は最悪です。出席者の半分くらいが居眠りしている場合があります。研修を設営する側としてつらいと思います。やっている講師側としても結構つらいものがあります。次のような工夫をされたらどうでしょうか。(1)出席者名簿を用意して参加者全員に配布する(あとで回収)、(2)この名簿をみながらランダムに指名して、理解度チェックをさせていただく。指名されたら、所属部署名とお名前をいった上で、適切に対応してほしい、(3)申し訳ないが、自分の研鑽のために、やりとりを録音させていただく、よろしいでしょうか、と最初にアナウンスし了承をとりつけてスタートするのです。居眠りをしていることがばれてしまう、部署の名誉を汚す可能性がある、話した内容がトンチンカンだと歴史に残ってしまう。こういう恐怖を意識すると、睡魔がいつのまにか消えてしまいます。

文責:清水 佑三

2006/04/20 732

どうすれば「一冊の本」に出会えるのでしょうか。

「比較的本をたくさん読むほうだと思うのですが、(自分にとっての)座右の本を特定できません。寂しいと思う反面、そういうのってほんとにあるのかな、といぶかる気持ちがあります。」 とお書きになっておられます。おっしゃることは理解できます。座右の本については同感ですが、座右の機械(名機)というのはあると思いますね。手になじみ、手元においてながく愛用、愛玩する機器、機械のことです。私の場合、松下のDVD-LS50というポータブルDVDプレーヤーがそれにあたります。この機械は、何から何までよくできていてほんとにいとほしい有難いといつも思っています。それにあたるような本ってなかなかないですよね。話しが飛びますが、河上徹太郎さんは、ある時期から書斎にこもって自分の本だけを読み続けたそうです。奥さんのそういう証言があります。彼にとって、晩年、座右の本は自著だったのですね。質問者の方もそうなる可能性があります。

文責:清水 佑三

2006/04/19 731

昨日の続き、清水さんは記憶が弱いそうですが…。

「楽しいことはよく覚えているが、嫌なことは全部忘れてしまうという人がいますが、私は逆で、嫌なことはいつまでたっても忘れません。私の方が多数派だと思うのですが、いかがでしょうか。健忘症の清水さんの意見を。」 というご質問です。多分、私の周囲の人からの質問だと思います。最近、この手の質問が増えていますよね。からかわれているうちが花です。喜んで回答します。事実をいえば、嫌なことを忘れる名手は楽しいこともパックで忘れてしまうものです。同じように嫌なことをいつまでも覚えている人もパックで楽しいことをいつまでも覚えているものです。ただ、注意したいのは、何を見聞きしても楽しい、面白いと感じる人と、その逆に嫌だ、つまらないと感じる人の違いは厳然としてある、ということです。前者は楽しいことの記憶が豊かで、後者は嫌なことの記憶が豊かになります。そういう話だと思います。

文責:清水 佑三

2006/04/18 730

時間の感じ方を左右するものは何だとお考えになりますか?

「堀紘一さんが講演で、密度が濃いときほど時間は長く感じ、逆なときほど短く感じる、という意味のことを言われていました。私の場合、ひまな一年ほど長く感じ、忙しい一年ほど短く感じるように思えます。」 と質問者の方は添えておられました。ご質問についての私の考えは単純明快で、時間の感じ方を左右するのは「鮮烈な記憶」の量だとみています。谷崎潤一郎の随筆を読むと、日本橋蛎殻町に住んでいた幼少期の記憶が異常に鮮明かつ緻密であることに驚かされます。井上靖の天城湯ケ島町湯ヶ島時代を描いた『しろばんば』もそうです。極め付きはわずか数時間で書かれたといわれる吉田満の『戦艦大和の最期』です。いずれも「鮮烈な記憶」が膨大だったゆえにああいう細密画のような文章が短い時間で書けたのです。彼らの文章を読む限り、それぞれの人にとってそこにはとても長い時間があったと思うのです。

文責:清水 佑三

2006/04/17 729

巨人が強くなった理由を教えてください。

私はタツノリという男の生き様に主な理由がある、とみています。ジャイアンツに限らず、業界の内側にいるコーチ、選手たちは、3年前の第一次原内閣の屈辱的総辞職のことをよく見聞きし分かり、そして忘れていません。タツノリにほとんど全部のコーチがついていって辞めた。滅多にみられない風景だった。それほど理不尽な解任劇だったのです。それを受けてのタツノリの言動は、口にしていた「チーム愛」をそのまま実践したようなもので「仇を恩で返した」。プロ野球の明日のことを考えて我慢した。そういう人間に二度、同じ屈辱を味わわせてはいけない、業界全体にバチがあたる。今回縁あって集まった選手、コーチたちは本気でそう考えたのだろう。残りの5球団の選手、コーチもこの仇討ちドラマに友情出演しているように見える。プロ野球がプロレスと同じ「興業」であると考えればこの絵解きは自然です。

文責:清水 佑三