人事部長からの質問

2006/05/31 758

社内に危機感がありません。どうすればいいか。

「カンムリ企業ゆえなのでしょうか。業界内で当社製品が突出しているからでしょうか。およそ社内のどこをとっても危機感が感じられません。今はよいと思いますが、将来、とても心配です。」 と書かれておられます。よくわかります。確かにご心配向きはあるでしょうが、太平を享受できるときに目いっぱいしておく、というのも大事なように思います。北欧人が夏の日差しを大切にするような感じです。製品が突出しているといっても明日のことはわかりません。カンムリカンパニーだって、いつまでつづく満月か、ということもあります。人生と同じで謳歌できるうちに謳歌しておくべきだと思うのですね。

文責:清水 佑三

2006/05/30 757

昨日の続き、コーポレート・ガバナンスとコンプライアンスの関係は?

「カタカタばかりが流行る世の中になりました。トップの口から出る言葉は英語ばかり、何が何だかさっぱりわかりません。」 と添えられておられました。同感ですね。私製のカタカナ語辞典から、二つを抜粋して紹介しましょう。コーポレート・ガバナンスは、野球チームでいえば「球団、監督・コーチ、選手」がめざしている「勝ち方」がだれにでもわかるように定義され、マニュアル化されていることです。コンプライアンスは、その定義やマニュアルが社会の期待から背いていない、顰蹙を買うようなものではない、ということです。その昔、「明徳義塾」の馬淵史郎監督が甲子園大会で「星稜」の松井秀喜選手に対して全打席敬遠を指示しました。結果は3−2で「明徳義塾」が勝ちました。全打席敬遠しても勝つ、がガバナンスの例であり、全打席敬遠策は好ましくないのではないか、という指摘がコンプライアンス問題です。

文責:清水 佑三

2006/05/29 756

トップがダイバシティを連呼しはじめた。女性活用のこと?

“diverse”という言葉を最初に聞いたのはイギリスの友人、ビル・メイビーからでした。18年くらい前のことです。何かの話題から“democracy”の次にくる政治概念は何か、といった話しをしていたときに、メイビーがその言葉を使いました。なんで“democracy”の時代がおわり次に「潜水夫たちの町」がくるのか、怪訝な顔をしていたのだと思います。彼の説明から何となくわかったことは、多数決という“or”の論理では収拾がつかなくなり、ヘーゲルのいう相克の止揚(Aufheben)という意味での“and”の論理が、政治制度化される時代がいつかくるのでは、とビル・メイビーが考えているようだ、でした。それじゃあ、オレがいつもいっている最後の最後は、幾何学の作図だよ、と同じじゃねえかが感想でした。女性活用とは関係ない概念だと思います。

文責:清水 佑三

2006/05/26 755

現地採用した社員をうまく統率できる人とは?

たとえば韓国拠点の支配人を日本から赴任させるとしましょう。多くの韓国人従業員を預かって彼ら一人ひとりをインスパイアする(働く意味と価値に開眼させる)のが現地支配人の重要な仕事です。結果として韓国拠点の実績があがります。ポイントは異質な人をインスパイアする資質です。わずかな数の(同胞)金太郎飴社員をインスパイアできなかった人がどうして韓国人をインスパイアできるでしょうか。できっこないですよね。ここにヒントが隠されていると思います。(年齢、職種、性別が多様である)チームを預かって、そのチームの業績を向上させることに成功した人を(赴任の)候補者にされるとよいと思います。

文責:清水 佑三

2006/05/25 754

名古屋の学生の地元就職意識が強いのはどうしてか?

強固で固有な文化、文明をもっているからだと思います。いいかえると「価値観」において譲れないものをもっているからです。「名古屋」を「日本人」とおきかえてみるとその意味がわかると思います。たとえばオーストラリアやシンガポールの学生は、地元就職意識は弱いです。学窓を巣立つと同時に世界にでようとする人が多い。ところが、日本人学生をランダムサンプリングして就職地の希望を質問してみてください。日本地図の範囲に限られると思います。我々が他の国の言語に強い興味をもたないのも、必要性を意識しないからです。閉じこもり型とも精神の自給自足型ともいえます。日本地図内でさらに名古屋にその傾向が強いということだと思います。尾張、三河人の矜持の表れではないでしょうか。

文責:清水 佑三