人事部長からの質問

2006/06/07 763

いよいよオーストラリア戦ですね。

エス・エイチ・エルは多国籍企業です。他の拠点国のリーダーと情報交換ができます。それをしてきての感想ですが、日本法人は(他の国の法人と比較して)4つの点で顕著に優れています。1)グループへの報告がマメで正確、2)原テストのローカライズ(=日本語版開発)のスピードがとんでもなく速い、3)ローカライズ技術においてグループが要求するテクニカルスタンダード(信頼性の確保)を要求水準以上で満たす、4)じわじわと業務成績をあげてゆく。つくづく規律・スピード・技術・持久において優れた民族だと思うのですね。この4つの美質を封じ込められないようにすればオーストラリア戦に限らず勝てると思います。オーストラリアと聞くとすぐ思い出すことがある。アテネ五輪の野球です。(予選と決勝で)二度オーストラリアに負けています。阪神のジェフ・ウィリアムスのものすごい形相の投球が忘れられないですね。二度あることは三度あるといいます。それが心配です。

文責:清水 佑三

2006/06/06 762

社内を見渡すと顔色が悪い人が多くなった。

ある年次で入社したグループでこのところ欠勤が目立つようになった。嘱託医からも(健康診断の結果)「要精密検査」の割合が世間一般よりも多い気がすると相談された。そういう目で見るせいでしょうか、周囲を見ると寝不足か胃腸疾患のような冴えない顔色の人が多い。目の下の隈が目立つ管理職も多い。会社の業績は右肩あがりなのだが、と添えておられます。高橋由伸症候群といいます。一所懸命のあまりフェンスにぶつかったり、ドタっとした飛び込みをして戦線離脱を繰り返しています。チームに貢献しようとしてチームに迷惑をかけてしまう。ものごとをまじめにやろうとする人ばかりを採用するからそういうことになる。真面目なことを不真面目に、不真面目なことを真面目にやる人たちを採ってください。業績の保障はできないが、顔色のよい集団をつくれます。

文責:清水 佑三

2006/06/05 761

何をやらせても凄いが人望がない。上にもってきたくない。

人望のない人について描写しておきます。進んでその人とご飯を食べようと考える人が皆無、その人からお金を借りたいとは絶対に思わない。スキャンダルチックなことをこの人にだけは知らせてはならないと思う。トイレであっても挨拶したくない…あげてゆくとキリがありません。どうしてそういうことになるのか。土居健郎さんは名著『表と裏』の中で「人をして寛がせ懐かしめるものがない」からだと喝破しておられます。そういうことだと思います。上にもってくると目的的にその人を利用しようと謀るヤカラだけが昔の共産党がよく使った組織内細胞(フラクション)をつくってしまい、集団で組織の私物化に邁進してゆきます。体を張って阻止すべきです。それがよき人事マンの仕事ですね。

文責:清水 佑三

2006/06/02 760

退職金を給与に組み込もうと思うが問題は?

100年以上の歴史、伝統、蓄積をもつ企業などの場合は別にして、定年退職者の割合は減る一方だと思います。かつては勤続年数が少ない場合は雀の涙しか支給せず、勤続20年を超えたあたりからメリハリをつけるが退職金制度の常識でした。定年まで勤めることを奨励したからだと思います。また退職後の企業年金の厚さがイコールその企業の社会的地位とみなされていた観もありました。OBを大切にする価値意識の投影ですね。それも影を潜めつつあります。私の回答は選択式退職金制度です。短く太く貢献してくれた人にも、長く細く貢献してくれた人にも、相応の御礼を形であらわすのがよいという意見です。給与に組み込むのも一つの選択肢です。

文責:清水 佑三

2006/06/01 759

講演でいわれた「仕事だけが人を鍛える」は本当だろうか。

本当だろうか、という問いかけはとても大事ですね。小泉治世は格差を広げたというが本当だろうか、小泉治世とは具体的に何をさすのか、格差とはそも何をいうのか、考えてゆくとキリがないが、思考とはこうした自ら発した問いへの回答の営みを指します。私がよく講演等で口にする「仕事だけが人を鍛える」という言葉ですが、補足すれば、仕事上で致命的な失敗をしない限り人の仕事上の成長はありえない、です。早稲田ラグビー黄金時代を築いた清宮克幸さんは、サントリー入社3年目に立候補して(サントリーの)ラグビーチーム監督となり、大失敗したことが今の自分を作った、とある場所で語っています。それに尽きます。

文責:清水 佑三