人事部長からの質問

2006/06/14 768

最近見た映画で印象に残ったのは?

“GOAL!”です。映画が始まったときからどういうわけか涙が出てきて困りました。ほとんど全部の時間、涙腺の失禁状態でした。「これはサンティアゴと言う名前を借りた、あらゆる選手の物語。」 というモンテディオ山形のサポーターの方の書き込みがネットにありましたがまさにそのとおりです。自分の人生を振り返って、映画で描かれているのとはスケールがまるで違うが、まさにこういうことの連続だった、と感じました。身につまされて泣くんだと思いました。祖母を演じた人がうまかったな。サンティアゴ(主人公)にイギリス行きの旅費を渡す場面です。何も言わないのですね。表情がよかった。シアラーやジェラードなど本物の選手がプレーしているシーンや次回予告編みたいにしてレアル・マドリの選手たちが顔を出すシーンもありました。これはFIFAの宣伝映画としてのご愛嬌。乾いたわが心に久しぶりに水を注いでくれました。

文責:清水 佑三

2006/06/13 767

人事評価がない会社にゆきたい。

昨日と同じ方からの質問。「退職する人がどうしようもない人ならいいのですが、この人がこの会社を支えていると実感できる人が退職をしてゆくのを見聞きするのは辛い。直属の上司とソリがあわず、評価面談のときに激しい言い合いがあったと人づてに聞きました。いっそ人事評価なんかないほうがいいのでは。」 という添え書きがありました。ご指摘の点ですが、良質の評価面談(フィードバック)ができない人に評価を委ねるがゆえに起こる現象だとみます。家庭教師の仕事を考えればよくわかります。テストで悪い点をとった生徒に「どうしてここをこんなふうに間違えるんだ、アホ。」 と問いただすタイプの人は家庭教師に向きませんよね。生徒に向かってひそひそ声で「テストでよい点をとると親が喜ぶ、親を喜ばす共同作戦に参加しないか。」 ともちかける人がいい。そこから参加者2人の冒険旅行が始まる。人事評価を個々人の仕事ぶりについてのR&Dの契機とすればよいのです。

文責:清水 佑三

2006/06/12 766

懐が深い、の意味を教えてください。

産経新聞の清水満さん(編集委員)がコラム「スポーツ放談」でジャイアンツの原辰徳監督に対してこの言葉を使っていたのを覚えています。今年、ソフトバンクから移籍した尾花高夫投手コーチが「ボクは初めて年下の監督に仕えるけど、原監督は懐が深い。話をしっかり聞いてくれる。理解して任せてくれるんだ。」 といって高橋尚、上原、桑田らが戦列離脱しても若い3年目の内海、西村らを一本立ちさせたことなどの例をあげていました。昨日(6月10日)の対千葉ロッテマリーンズ戦でも、8回に自軍のセンターがタイムリーファンブルをして同点とされたときに原監督は、怒りの表情とは全く反対の「笑み」を浮かべていました。修羅場で自ら抜擢した新人のミスをあのような表情で受け止められる。あれが「懐が深い」だと思います。ノー天気と紙一重ですね。

文責:清水 佑三

2006/06/09 765

人前で叱り、褒めるときは人を介して、と言われましたね。

清水オリジナルではないです。サントリー(ラグビー部)の清宮克幸さんの言葉です。私も経験上、このやりかたがもっともよいと思ってきたので長いこと実践していました。人前で叱る、の効用ですが、今のような過保護環境で育った人にとって何が辛いかといえば、人前で叱られること、だからです。二度とやられたくない。人によっては目の色を変えて真剣に自分と向き合うようになります。ただ、人前で叱られることでトラウマ(尾をひいてしまう心の痛手)をつくるタイプの人にはこの手は使えない。その見極めが監督、コーチのセンスそのものです。褒めるときは人を介して、は単純にそのほうがダイレクトに言われるよりも二倍、三倍うれしいからです。こういう芸当がさらっとできる人が「人をして事をなさしめる=采配者」だと思います。

文責:清水 佑三

2006/06/08 764

中期経営計画の策定に預かっている。何となく乗れない。

「数字あわせのような気がしてならない。作っている人が信じられないものにどういう意味があるのでしょうか。」 かつて人事におられた方からのご質問です。現職部署名が書かれていましたが、カタカナの羅列でよくわかりませんでした。お尋ねの中期経営計画の意味あいですが、人工衛星の軌道の定義と理解したらいかがでしょうか。会社の位置を現在、未来と明確に定義し、その位置のとおりに会社を運航させるのです。そうは問屋が卸さないとなります。予定した軌道から人工衛星をそらせてしまう要素、要因をつきとめます。ここが一番肝心ですね。この過程をファクト・ファインディング(事実の把握と原因の究明)といいます。中期経営計画は、ファクト・ファインディング能力を組織として高めるためにあると思えば精神衛生は必ずしも悪くなりません。この能力は計画策定の「匠」を培養するからです。

文責:清水 佑三