人事部長からの質問

2006/06/21 773

次なる(ビジネスの)柱が育たない。何故だろうか。

どこの会社にもある悩みだと思います。10中9の会社は同じような閉塞的な状況に追い込まれているのではないでしょうか。残りの1の会社はどこが違うか。自分のアイデアに確信をもち、他人を巻き込んで、そのアイデアのビジネス化に命を賭けられる起業家的なリーダーをもっているかどうかが違うとみます。孫正義さんや堀江貴文さんをみると分かるとおり、このタイプの人は大学生時代にビジネスを立ち上ようとするものです。そういうタイプの人は「立派にできあがった会社」には興味がないのです。(度胸をきめて)新卒を募集するときにベンチャービジネスを共同所有する条件で10人選び、入社後、実際に投資をして事業をやらせてみてください。ほとんど全部失敗します。成功例が1あればラッキーです。その度胸が会社にあるかどうかです。サラリーマンに新事業を立ち上げろといっても無理です。

文責:清水 佑三

2006/06/20 772

すべてはやっぱり結果なのでしょうか。

「サッカーW杯ドイツ大会での日本代表チームですが、何年間もこの日のために努力してきた“結果”、第1戦では負けて、第2戦は引き分けてしまった。日本チームはだめ!の大合唱ですね。弊社は小売なのですが、面倒くさい事務仕事は全部他人にやらせ“売上をあげる人”に徹した人の評価が高く、“面倒な事務仕事をきちんとして周囲の評判のよい”売上の中ぐらいの人の評価は決して高くならない。何か空しさを感じます。この世のすべてはやっぱり結果なのでしょうか。」 というご質問です。日本チームダメ!の大合唱といいますが、それは違うと思います。日本サッカーの歴史を紐解けば、W杯で(自国開催を除けば)初めての引き分けです。よくここまで来た、というのが私の感想です。何事も一朝一夕にはゆかないものです。ご質問の販売スタッフの評価制度の問題ですが、「御社の考え方」に狭量、貧困なものがあるだけで、ブランドイメージを高めることを最終目的においてバランススコアシート的な複眼的、重層的な評価の仕組みにつくればそれで済む話だと思います。付言すれば、人生、すべてプロセスであります。

文責:清水 佑三

2006/06/19 771

「腐敗しない権力」はないのだろうか。

「当社のトップについて書きます。ある技術を開発し、それをもとに会社を立ち上げて10年余、株式公開も果たしました。会社の時価総額は着実にがあがってきています。100人にも満たない会社です。トップに惚れてここまでつきあってきての感想ですが、このごろこの人、(悪い方向に)変ったな、とよく思います。」 と添えておられました。アメリカの2期8年の大統領制が典型だと思いますが、最高権力者に在任期間の縛りを入れる国は少なくないです。一方で、イギリスを含めヨーロッパの多くの国は、最高権力者の任期を制限していません。救国の英雄、チャーチル、ドゴールは国民からの不信任によって退場を強いられました。英仏の国民はネコに鈴をつける力に自信をもっているのでしょう。さて、回答ですが、「腐敗しない権力はない」と思います。劣化しない機械はないのとまったく同じ意味です。小さな会社ですが、長期間トップにいる自分を見ていてつくづくそう思うのです。

文責:清水 佑三

2006/06/16 770

清水さんのサッカー観を知りたい。

ラグビー、サッカー、アメラグ(アメフト)の三つが私の中で一つの興味領域としてあります。WOWOWやスカパーで暇さえあればリモコンを動かして、この三つの「試合あさり」をしています。自分の性(しょう)に会っているなと思うのはラグビーですね。重量級のフォワードがスクラムやモールを押し込んでゆく姿をみると心の底から震えます。それとタックルがいい。小さい人が大きい人を倒すシーンをみると打たれます。条件反射でやっているのではない。一回ごとにスペシャルバージョンの勇気がいると思うのです。サッカーは南米のチーム同士の試合を好んでみます。テレビの音を消して、どのチームとどのチームがやっているかにも興味をもたず、正座をして、試合時間中は微動もせず、集中してみています。そこからの印象ですが、サッカーがいちばん原始的で子供の遊びに近く、野蛮、獰猛、残酷だということです。悪の制度化という言葉を思いつく。人気の秘密はこのあたりにあるとみています。

文責:清水 佑三

2006/06/15 769

運も実力のうち、という言葉をどう思いますか?

入社してから20年余、振り返って思うのは、自分の上司運のなさ、です。自分をかわいがってくれた人たちの運がここへ来て極端に悪くなった。上司は自分で選べない。しかし、上司によって仕事人生は大きく左右される、このあたり、酸いも甘いも知っているように見える回答者のホンネをききたい。ご質問は「運も実力のうちですか?」で結ばれていました。サラリーマンという稼業の本質、宿命をいい得ていますね。まさにサラリーマン人生は上司運で決まるかもしれない。かわいがってくれる人のヒキがあって展望がひらける。その人が日の目を見ている間はよいが、そうでなくなったら一緒に日陰にはいるしかない。それが「サラリーマン道」だと思うべきです。あわてて船を乗り換えようとすると悲惨な目にあいます。結論。日の目をみているうちにいいことをいっぱいする。

文責:清水 佑三