人事部長からの質問

2006/07/20 793

中途でいい人が採れない。やりかたの問題か。

「職歴に魅力があり現場のマネジャーと一緒に面接をしました。プレゼンがうまくてこれならと期待して採用しましたがどうも評判がよくない。職歴・プレゼンをみる以外に中途でよい手がありますか?」というご質問です。最近、当社が少数の顧客に対して行っているアセスメント・センターのインディビ(個人)版という評価代行サービスがあります。一日かけて一人の被験者に対して4つの科目で模擬演習形式のテストを行うのです。詳しい説明は略しますが、面接ではノーだった人がイエスに、面接でイエスだった人がノーにかわることがとても多いです。スポーツのセレクションでいえば栄光の選手史をその人からきくのではなくてグランドでプレーさせて観察するやりかたです。採用基準が絞られている場合、判定誤差は少ないですね。

文責:清水 佑三

2006/07/19 792

保守業務のなり手がない。ワリが合わないと感じているようだ。

「24時間体制でしかも原状回復して当たり前、それが遅れると批判される、保守の仕事はワリが合わないという社内評価がある。新卒組に配属希望をきいてもなり手がでてこない。かといって他部署からの異動も仕事の内容面でむずかしい。保守のような仕事についてどう考えるべきか。」 というお尋ねです。消防士の仕事がそれに近いと思って拝読しました。火事がない時は待機、訓練で地味そのものです。しかし、映画『炎のメモリアル』のような劇的な活躍シーンも時にある。消防士ジャック(ホアキン・フェニックス)も消防署長(ジョン・トラボルタ)も、他の映画にひけをとらないいい本(役)を貰っています。自社版『炎のメモリアル』をつくって社員に見せる。その結果、不人気部署を社内媒体を使って人気部署に変える、は人事部門だけがなしうるとても意味のある大テーマです。

文責:清水 佑三

2006/07/18 791

残業を減らすために有効な手は?

裁量労働的な仕事についておられる人における「残業時間軽減法」について書きたいと思います。仕事をする上で「デザイン」的なプロセスと「オペレーション」的なプロセスに分ける習慣を持ち、後者を優先させればよいと思います。例として、このQ&Aを時間内にしあげるという課題があるとしましょう。どの質問をとりあげ、どのような角度からどういうふうに書こうか思案するが「デザイン」部分です。実際にパソコン画面を前にして書き出すのが「オペレーション」部分です。私の流儀を申し上げると、回答の質はともかくとして、ひとつの回答を書く時間を15分ときめて、15分で書ける内容を書いてしまうのです。御託を並べるような拙劣な文章になりますが、それはそれで仕方がない。それがお答えです。「デザイン」中心主義をとると時間がどんどん過ぎてゆき歯止めがかかりません。

文責:清水 佑三

2006/07/14 790

現場がダメな場合でも人事はサポートに徹するべきか?

「弊社はリテール中心の会社です。リテール部門のトップが役割を果たしていないので、リテール部門のトップの入れ替えをすべきだと上司に意見具申しました。上司の返事は人事はサポート部隊であってそういう力を持つべきではない。それは人事の仕事ではない、でした。聡明なる清水様のお考えをお聞かせください。」 が質問に補足されていた内容です。半分からかわれているような気持ちがしますが真面目に答えます。御社のような多国籍企業の場合、拠点人事と本社人事は緊密な連携をとりあうものだと思います。本社の人事担当の責任者に日本拠点のリテール部門のトップが役割を果たしていないこと、この人に代えたらこのようによくなるというアイデアをそれぞれ裏づけとなる証拠を添えて、上司を飛び越えてアピールしたらどうでしょうか。上司は職掌ではないと言っている、ということも言い添えるべきです。職掌でない筈はないので、上司の方にどうなっているかの問い合わせが入るでしょう。さあ、戦闘開始です。負けたら出ちゃえばよろしい。

文責:清水 佑三

2006/07/13 789

性的不祥事のニュースが多すぎる気がしますが…。

このご質問をとりあげるかどうか、正直、とても迷いました。質問者は意識しておられないと思いますが、ご質問がこのようにあっけらかんとできる背景に「自分はこの手のことと無縁である」という暗黙の仮定、前提が潜んでいるのですね。それが私にはどうしてもひっかかるのです。「すべて汝がことなれ」をその通りだと思うと、ヤフーニュースに頻繁に登場するその手のスキャンダルは「明日は我が身」になるのですね。ゆえに、冷静に淡々と論評する心理になれないのです。金銭的不祥事もまた同じです。魔がさす、ということは誰にでも起こりうる。他山の石とするしか手がないですよね。みつからないようにしよう、という意味ではないです。

文責:清水 佑三