人事部長からの質問

2006/08/03 803

OPQで「うつ」傾向はでますか?

「楽観的」とか「心配性」というOPQ尺度はうつ傾向性に近い尺度ですね。「楽観的ネガティブ」「心配性ポジティブ」のゾーンに同時に入る人の自己理解は「将来のことが気になる。悪い方に向かっているのではないか(楽観的ネガティブ)」であり、「今の準備のままだと大きな失敗をしてしまうのではないか(心配性ポジティブ)」です。物事を否定的に不安げに捉えていますよね。OPQは10点法ですので、1とか10とかまで振れている場合、ご指摘の傾向性はあるとみてよいと思います。こういうタイプはえてして実務がしっかりしていて抜けがないものです。

文責:清水 佑三

2006/08/02 802

相対評価、絶対評価についてよく議論します。どうお考えですか?

「絶対評価をやめて相対評価にしたところ自己主張の強い人が○、コツコツ型の人が×という傾向が出始めた。本意とは違うのでまた絶対評価に戻した。他社ではどうなのか。清水さんはどっち論者ですか。」 というご質問です。正直に申し上げると、私はこういう議論に興味がないのです。野球やサッカーのMVPを選ぶ基準には絶対も相対もないですよね。二分的あるいは二値的思考法というのですが、この思考スタイルは、問題のための問題を作って一利なしです。よいプレーをした人を評価できる観察、記録、分類、集計のメカニズムだけが大事です。

文責:清水 佑三

2006/08/01 801

東京と大阪とで(応募者の)レベルが違う。何でやろ?

「東京、大阪の両方の拠点で新卒採用を行っている。最終面接に出ているので、東京大阪の比較ができるのだが人物的に大阪のほうが面白みがありレベルも高い。うちだけのことか。」 というご質問です。来年から大阪6、東京4に採用枠を変えたいとも添えておられます。阪神タイガースと読売ジャイアンツのグランドでのここ数年の仕事ぶりを比較すると「納得!」ですよね。御社だけで起こっていることではないように思います。東京人と大阪人を比較して大阪人に軍配をあげた先人に谷崎潤一郎さんがおられます。彼の随筆『私の見た大阪及び大阪人』『東京をおもふ』『上方の食ひもの』『関西の女を語る』をよく読まれると一部回答らしいものがあります。考える糸口にされたらどうでしょうか。昭和57年刊行、中央公論版全集の20、21、22巻にあります。

文責:清水 佑三

2006/07/31 800

会社が成長して創業期メンバーが浮いてしまいました。

「まったく新しい視点で始めた事業が大あたりしました。株式公開後も毎年、大幅な増収増益路線を続けています。そういう当社ならではの質問です。創業期メンバーの扱いです。職人としての経験や技能は評価できるのですが、マネージャーとしては全然ダメだと思います。どういう扱いをするのがよいでしょうか。」 さっぱりとした回答をしましょう。役員を名誉職として定義し、その方たち全員を役員に登用するのです。村のオサのような感じでしょうか。創業期メンバーだけに許される扱いです。部署を預けることをせず、入社式や株主総会のような場でひな段上に並んでいただくのです。役員定年まで20年あろうとなかろうと面倒をみてあげてください。それが人の道です。たかだか数名ではないですか。

文責:清水 佑三

2006/07/28 799

よい層から辞めてゆくように思う。妙手を求む。

「当社はIT系です。社員への教育投資では業界でも指折りだと自負しています。そのためでしょうか。ヘッドハンティングされて辞めてゆく人が目立ちます。成長を喜びたい半面、実際はとても困っています。人材をひきとめる名案はありますか。」 こういうご質問はおノロケのようなもので人材育成力を誇示しているようにもとれますよね。ところで、映画演劇の世界では、成長する役者ほど、むずかしい大役を待ちのぞんでいるものです。よりよい台本(プロジェクト)、よりよいメガホン(リーダー)をピンポイントで与え続けることしかないとみます。ともかく他社が目をつける人材にマークをして、その他大勢とつねに分けて扱うべきでしょうね。逆差別をすればよいと思います。

文責:清水 佑三