人事部長からの質問

2006/08/31 823

フラット型の組織に切り替えた。部下の教育面で不安がでてきた。どうしたらよい?

「売り手市場という環境もあり、辞めていってもまた採用すればよいという時代は終わったように思う。厳選して採ってちゃんと育てていくという日本企業の伝統をもう一度みなおしたい。ただ、当社が狙っている組織のフラット化が根付くと、1人の上司が多くの部下を持ち、個別教育は難しいように思う。」 と添えておられます。私はフラット化と同時に小集団制をとりいれるとよいと思います。小集団を評価する尺度に相互研鑽度を入れるといいと思います。それが観察可能でわかりやすいものであると、結果的にお互いがお互いを鍛える風土醸成につながります。一方通行型の教育の時代が終わったということではないでしょうか。

文責:清水 佑三

2006/08/30 822

採用時は女性の方が優秀という印象。入社後20年たつと男性が上位に来る。Why?

「採用時点では女性の方が能力において高い。現実をみると役職者の10%が女性。採用時点での男女比を考えても少ないと思う。採用時の評価と比べて人事考課が公平でないため、それに幻滅するということでしょうか。」 流通、小売業界のトップ企業の女性からのご質問です。ストレス障害などにおいて顕著ですが、人間関係を主因とする早期退職が女性において増えている傾向は確かにあると思います。もう一つは、出産、夫の転勤などの事情による古くから言われている早期退職でしょうか。私は人事考課が公平性を欠くというよりも、感性と価値観の男女差に大きな理由があるとみています。ゼロサムゲームが好きな男性性と嫌いな女性性の差が退職現象の男女差の背後にあるとみますがどうでしょうか。

文責:清水 佑三

2006/08/29 821

ハイパフォーマー予備群だけを採る考え方に違和感を感じる。

「社員のハイパフォーマーを分析し、採用基準に反映させるという理屈は分かるが、組織のもつ余裕のようなものを考えると、応募した人の中から一緒にやれそうな人を選ぶ従来型のやりかたのほうがよいように思う。どうお考えですか?」というご質問です。まったく同感ですね。ある職務において業績差を説明できる「適性尺度」をつきとめる問題と、原石である大学生を採用する問題は本質が違います。ハイパフォーマーに近い「意欲、行動、知能」スタイルを優先するのは、キャリア採用の課題です。

文責:清水 佑三

2006/08/28 820

チームへの貢献で評価をしたいがあまり聞きません。ご教示のほどを。

当社がやっている(アセスメント演習に)グループ討議というのがあります。その評価基準がまさにご指摘の「チーム貢献」だと思います。グループ討議の過程をよく観察し、それぞれのメンバーがどの角度から「チームとしての成果形成」に寄与、貢献したかを、訓練された専門官であるアセッサーが見分けるのです。ある人は雰囲気をなごやかにする言動で貢献し、ある人は時計をいつもみて「残り時間」を告げることで貢献する。またある人は議論が混乱すると、上手にそれをほぐすことで貢献する、それぞれがプラス評価されるわけです。自説にこだわって全体の進行を遅らせてしまった人、人の話をまじめに聞こうとしないで会議全体をしらけさせた人などはマイナス貢献として記録、集計されます。このやりかたをそのまま人事評価に応用すればよいと思います。

文責:清水 佑三

2006/08/25 819

そのときは興奮して気づかなかったが、面接で説教してしまった。

「男子学生から、御社では女性は優遇されていいですよねといった、嫌味のような、ひとりよがりの言い方をされて、カチンときて、その学生に説教してしまった。つい興奮してしまったのだが、面接で学生に説教するのはやっぱりまずいですか?」というご質問です。カッとするのはありで、無理にカットしてはいけない。人間的でとてもよろしいと思います。ハリウッド映画の面白さはカッとして暴れるからです。どんどんおやりになるとよいです。面接を広義の人間教育の場と勝手に考えればいいのです。甘え、曖昧、阿諛の3「あ」主義で生きてきた青年たちを一喝してください。その手の輩からの書き込みなどは誰も読まない。心配しないでどんどんやってください。

文責:清水 佑三