人事部長からの質問

2006/09/07 828

学校教育に興味をお持ちでないのはどうしてですか?

学校教育に限らないです。およそ、教育と名がつくものは嫌いです。教え、育てる、という視点、言い方がいやなのですね。人のうちには、おのずからなるものがある、と思っているだけです。そのことと、私をかわいがってくれてリスクをとって機会を与えてくれた人たちへの感謝の気持ちはまったく別です。私を育ててくれた人たちにはほんとに頭が下がるのです。亡くなってしまった人たちばかりですが、私が死んだら、すぐ会いにゆきます。教育を口にする人って、リスクをとることは思いもよらないでしょう。多分、そういうのが嫌いなのです。

文責:清水 佑三

2006/09/06 827

『数字と人情』は落語みたいな本でした。落語では誰がお好きですか?

私を育ててくれたもの、それは野球です、とある本で書いたら、先輩にお前まだ未熟だよ、育ってねえよといって叱られました。いいかたが悪かったと反省しました。私の笑いのツボを育ててくれたもの、それは落語です。今は亡き、志ん生師匠の高座は忘れられないです。イイノホールの東京落語会で彼の「艶笑落語」をききました。40年前です。下ネタばかり、ほんとにくだらないことをいっていました。もう一人あげれば円生師匠です。特に『掛取万歳』は秀逸ですね。昭和天皇が園遊会で円生に「どうまだあれやってるの?」ときかれ、「へいっ、年取ってほかにやることがねえもんで、へいっ」と言ったのはおかしかった。ふたりでからかいっこをしていましたね。

文責:清水 佑三

2006/09/05 826

CSRやコンプラが重視され「高い志」が蒸発。帰結やいかに?

「CSRやらコンプラといった表層的な活動が重視され、深層的な部分、即ち情緒+形=高い志が忘れられて、日本人の品格が変質しつつありませんか?」がご質問の全文です。そういう角度のご指摘は巷に満ち満ちていると思いますが、私はむしろ逆の印象をもっています。ブランコの喩えをつかえば、後ろに目いっぱい行って、とまり、今は、前に向かって加速度をつけて動き出したタイミングのように思います。状況証拠として、『国家の品格』のロングセラー化、斉藤佑樹のすずやかぶり人気、自著に『美しい国家』とルビを振った安倍晋三への全国民的な期待などがあげられます。CSRやコンプラの重視は、戦国武将が天目茶碗に目の色を変えたような一時の流行であり、だれも命がけ、本気で取り組んでいる人はいないとみます。その証拠に、CSRやコンプラで経営者賞をいくらもらっても(もらったご本人以外)誰も感動しないでしょう。日本という稀有の特徴をもった国は明らかによい方向に向かっている、と私はみています。「高い志をもて」と20年間、ひたすら説き続けてきた私の講演にやっとみなさんが来てくださるようになった。それも一つの明白な証拠です。

文責:清水 佑三

2006/09/04 825

高校、短大生の採用は、全体、直観、姿かたちをみよ、とはどういう意味ですか?

「Q.824の関連質問です。高専生を社会に送り出す立場で仕事をしています。受け入れる企業が全体、直観、姿かたちで判定してしまうとすると、送り出す側の私たちは何を教えればよいのでしょうか、その人の生活の全体を指導すればよいということでしょうか。」 よいご質問だと思いました。きわめてまじめに回答します。私は青年期のある期間、茶道を集中してやった経験があります。ヘンな言い方で恐縮しますが、まがまがしいものが自分の中に侵入してきたかどうかを自己点検するために自分のお手前を鏡に映して見張っていました。この時期はそういうものが入りやすいと思ったのでしょう。精神が事故っていると、それがお手前のフォームの乱れにでるのですね。自分のそういう経験からの回答です。生徒さんたちに日本古来の武道をやらせ、目線と姿勢をひたすらよくするように指導されることをおすすめします。

文責:清水 佑三

2006/09/01 824

専門学校生を採用するノウハウを教えてください。

四大生以上を採用するノウハウはまったく使えません。短大生採用も同じです。専門学校生を毎年定期的に採用しつづけ、少しづつ選び方の技術をあげてゆくことが大事です。生意気ないいかたですが、短大や専門学校で学ぶ人は、人的資源性という点でとても価値があり、私は四大生よりもねらい目だと思っています。ただ、どの学校がよいという問題ではなく、個人個人をしっかり見極める鑑定ノウハウが大切です。年齢が低い人の採用は、全体、直観、姿かたちをみるアナログ人間鑑定術が有効です。このあたりはご相談いただけると嬉しいです。

文責:清水 佑三