人事部長からの質問

2006/09/22 838

農耕型と狩猟型という分類は今でも有効ですか?

欧米人を「狩猟型」、我々自身を「農耕型」と分ける二分法はよく使われますが、最近のビジネス界を眺めると追加すべき分類箱が要りますね。イメージできるのは「改革型」「官僚型」「技師型」でしょうか。OPQ因子で形容するとわかりやすいのですが、「改革型」は、「説得力」「社会性」「指導力」「創造的」などがプラスに出るタイプです。「官僚型」は「概念性」「批判的」「上昇志向」などがプラスに出ます。「技師型」は「データ」「緻密」「几帳面」「具体的事物」などがプラスに出るタイプです。古典的な二つのタイプと新しい三つのタイプの五つの分類箱を用意すると、動物図鑑的に人的資源のバランスが把握できます。

文責:清水 佑三

2006/09/21 837

職人気質のベテランに後輩の育成をさせたい。

「当社の仕事はFA機器のメンテナンスが主体。地味だが着実にニーズが増えている。技術屋が一人でお客さんのところに行き、先方で修理を行う。確実な仕事をする人ほど、一人で行きたがり、自分の技術を後輩に教えたがらない。ノウハウの共有を会社として目指したいが厚い壁がある。ヒントを貰えないか。」 がご質問の内容です。プロ野球の世界を彷彿させますね。個人事業主にとって「必死に身につけた技術」をものまねの達人たちに公開するくらいバカバカしいことはないのです。技術が独創的(他人が追随できない)であればあるほど、ご指摘のようなことが起こると思います。どうすればいいか。あきらめることです。その職人気質のベテランを厚遇し、彼らから享受できる利益の最大化を狙ってください。彼らに帰属する固有の技術の承継、複製の道をあきらめるべきです。彼らを怒らせれば確実に個人事業主として契約先を変えるからです。

文責:清水 佑三

2006/09/20 836

どんな人でもトップに立つと戦略的にならざるを得ない?

「戦略性という資質に興味をもって上から下まで観察しています。当社のトップですが、発信内容の全てが戦略そのものという気がします。比較すると私の上司などは目の前の問題を片付けるのに精一杯で人心、時代、社会へのインパクトなどには初めから興味がない。立場がそこにいる人をつくっていくように思います。いかがでしょうか。」 おっしゃるとおりだと思います。それはそれでいいのですが、じゃあ、誰でもをトップに置いてもいいかというとそれも違います。戦略的、複眼的、重層的にものを見る資質をもっている人はきわめて稀です。そういう人をそこに置くと「資質と修羅場が掛け算」されて、戦略的な思考と行動に磨きがかかるようになるのだと思います。

文責:清水 佑三

2006/09/19 835

お客さんの前で2回も居眠りをしたヤツがいる。病気なのだろうか。

いいご質問ですね。閣僚が委員会のさなか居眠りをする、ひな壇上にならぶ取締役の一人が、株主総会の議事進行中に居眠りをする、野党や総会屋ならずとも、机を叩いて怒り出したくなるでしょう。誰がみても決してほめられた話ではない。居眠りが恒常的な場合とそうでない場合に分けて扱ってください。恒常的な場合は、勤怠という範疇で捉えるのは危険です。むしろ、「ナルコレプシー」という名前がつく脱力発作症を疑うべきです。この名前でグーグル検索されると有用なたくさんの知識を得ることができます。19世紀の終わりごろに発見された病気ですね。勤怠として扱われた多くの「好ましくない事象」が実は病気のせいであった、とされてゆく時代に入ったと思ってください。

文責:清水 佑三

2006/09/15 834

早実の斎藤投手は進学を選択。清水さんが同じ立場だったらプロと進学、どちらを選びましたか。

『ボビー・ジョーンズ〜球聖とよばれた男〜』という映画を私は何回も何回もみました。なぜ、これほどこの映画に惹かれるのか自分でもよくわかりません。ゴルフをあくまで非本業としてみて、アマチュアとしてグランド・スラムの達成にこだわり続けた姿勢に強い共感を覚えるのだと思います。彼の場合、ゴルフで活躍していた時代の本業はアトランタのジョージア工科大学卒業後、ハーバード大学に進んで弁護士になる勉強をしていたはずです。私がかりに斎藤佑樹だったら、日本版ボビー・ジョーンズを狙いますね。現横浜ベイスターズの球団専務をしている山中正竹さんがもつ六大学48勝の記録を破って日米のプロの誘いを断り、出版社に入って一流の編集者になろうとします。これでいいですか。

文責:清水 佑三