人事部長からの質問

2006/10/06 848

人事考課のフィードバックのコツを教えてください。

平均以上の成績をあげている人については気楽にやってよいと思います。逆に、平均以下の評価を受け、昇給、昇格、賞与等で平均以下の扱いを受ける人についてはフィードバック(FB)の原則を守って行ってください。FBの原則とは、刑法と同じく基準(法律)、証拠なくして罰せられてはならないという単純なルールです。たとえば、「勤怠」という項目で低評価を受ける人がいたとします。その人の遅刻の数や無断欠勤の数が事実として報告され、その数が同格の人と比較されてはじめて低評価が妥当性をもってきます。「勤怠」はわかりやすい例ですが、「挑戦」という項目になると途端にわかりにくくなります。挑戦はその人がやったことがないことに挑むことです。失敗がセットされているようなもの。誰だってそんなことはしません。にもかかわらず「挑戦」という項目で低評価を受けた場合、「挑戦」とは何をいうのか、同格の人とどういう基準で比較されたのか。詳しくデータで説明してあげてください。それをしない限り、低評価をつけられた人は浮かばれません。難しい話ですよね。

文責:清水 佑三

2006/10/05 847

今や生活に不可欠になった携帯電話の功罪は?

「ケイタイを持たずに外出すると不安を感じる、という人が6割を超えたという新聞記事を読みました。私自身もケイタイは生活にとって不可欠になりました。ケイタイの功罪についてお考えを。」 というご質問です。ケイタイと片仮名で書かれたところに微妙なセンスを感じます。携帯では何が何だか、わかりませんものね。功の部類の話は省略して罪の方について考えを書きます。文字を持たなかった人類が文字を持ったことによって失ったものを想像すると話しがわかりやすくなります。文字をもってヒトが失った最大のもの、それは神がヒトに与えた精妙な「イメージ(右脳)記憶」の力だと思います。それを失ったためにどういう世界が現出したか、神話的な世界の喪失です。ケイタイは、ふることぶみ(古事記)からどんどん遠ざかってゆく我々の姿の象徴だと思います。

文責:清水 佑三

2006/10/04 846

美容整形をした人でも人相鑑定は有効ですか?

「ユーザーズコーナーの顔、筆跡のところを楽しみに拝読させていただいています。稚拙な質問で申し訳ありません。顔に自然と表れるその人らしさを整形手術で変えてしまった場合でも人相鑑定は成り立つのでしょうか、気になるのです。」 10年前の筆跡勉強会でペン習字の名人でも筆跡鑑定は成り立つものでしょうか、というご質問を受けたことがあります。ペン習字体で書く、は筆跡個性の拒否宣言ですので、同一人鑑定にも入れないですよね。同じように国民皆整形手術という時代がきて、すべての人が国家がよしとする(認定された)顔で町を歩く図を想像すればよい。現実にヒトラーが考えたことです。人相鑑定業者は廃業に追い込まれます。会社の社員に対する精神のベクトルあわせはこれと同じであります。

文責:清水 佑三

2006/10/03 845

宗教音楽の魅力って何でしょうか。

「オリビエ・メシアンの宗教音楽に惹かれる、と書いておられました。私もメシアンの音楽がとても好きなのでびっくりした記憶があります。お尋ねしたいのは、宗教音楽が好きでメシアンにいったのか、メシアンが好きでその中で特に宗教音楽に惹かれるのかどちらですか。」 がご質問です。仕事以外の話題に言及されるとうれしいものです。ありがとうございます。ありようを率直にいうと、私は御茶ノ水の『オーディオ・ユニオン』という中古LPレコード店に行って、宗教曲のコーナーでLPのジャケットをとりあげては元に戻す作業を黙々と繰り返しているのが趣味なのです。同じ作業をやっている人が周囲に多いと不思議な安らぎを感じます。これはと思ったジャケット(のLP)を買って、夜中に聴くのです。そういう中にメシアンの一枚が偶々あったのです。お尋ねの宗教音楽の魅力ですが、よい言葉がみつかりません。メシアンの曲に限定すれば、生まれる前にいた宇宙を思い出すように感じるのです。

文責:清水 佑三

2006/10/02 844

心根の優しい人は事業家に向かない?

「先般の講演会、楽しく拝聴させていただきました。御社が、意識して心根のやさしい人を採っているというお話しに特に興味をもちました。そういう人は隣人としてはよいが事業家にはなれないのではないか、という気がいたします。心根のやさしい人の中から後継者を本当に選べますか。」 よい質問ですね。それで困ってしまっている、というのがほんとのところです。豪腕の事業家には、ご指摘のように野心・情熱・権力志向・競争心・名誉欲・自己顕示・金銭欲・セクハラパワー…というイメージがつきまといますね。おっしゃるとおりです。当社が商売下手で成長下手な理由がよくわかりました。そういう人が皆無だからです。何が何だかわからなくなりました。

文責:清水 佑三