人事部長からの質問

2006/11/20 877

「上がつまっている」といって優秀な若手がやめてゆく。

「よりレベルの高い仕事に挑戦したいという意欲的なタイプの人に多くみられるのですが、ある年齢(30歳くらい)までくると、“上がつまっている”といって退職してゆきます。実際問題、社員の年齢構成グラフをみても、上部がふくらんだ花瓶のようになっています。どうしようもないのでしょうか。」 というご質問です。どうしようもないでしょうね。それぞれの企業において少子高齢化がすすんでいるのだと思います。日本社会が相似形で個別企業になっているのです。意欲的な若手の退職によって“意欲的でない上がつまっている”感が一層加速されてゆきます。森林でいえば、地面に日をあてさせるために、3本に1本を定期的に伐ってゆくしかないです。そういうことが現実的に可能かどうか。御社のような半官半民的なところではそれもできない。打つ手なし、が回答です。

文責:清水 佑三

2006/11/17 876

自己分析+ビュッフェスタイルの研修を考えている。

「階層別研修制度の見直しを行っている。まず、対象者社員がセルフチェックを行い、その結果を元に対象者個人が研修メニューをビュッフェスタイルで選ぶことができるような仕組み作りを模索している。明らかに研修効果が高いとみるがコストがかかってしまう。ヒントを。」 というお尋ねです。研修には、技能・職能のスキルアップを目的としたものと、職位・職責にふさわしい意識を持たせるものと大別できます。階層別研修は後者に属するとみます。同期同格の人が、何年かごとに合宿して、お互いがお互いどうしで刺激を交換するのが会社側の狙いです。集合性に意味があります。一方、技能・職能のスキルアップは、個人指導の塾のイメージです。自己分析+ビュッフェスタイルが効率的です。コストを気にされておられますが、現在行われている技能・職能研修のすべてを映像化し、オンラインの自習メニューに切り替え、Web自己分析ツールを併用すれば解決すると思います。

文責:清水 佑三

2006/11/16 875

怒るべき時に怒れないのは、性格的なものが働くからですか?

そうだと思います。しょっちゅう怒っている人と、まったく怒れない人の二つが南極と北極のようにしてあり、普通の人は南北の極の間でいったりきたりしているのだと思います。ご質問の怒れない人をみていると、被虐的だとよく思います。たぶん、被虐の状態にある自分がこよなく好きなのでしょう。戦後の日本は長くそういう傾向性のもとにありました。近年、小泉純一郎という宰相を得て、戦後はじめて怒ることができる国になりました。同慶の至りです。今回の北朝鮮の日朝ピョンヤン宣言を踏みにじる行動に対して単独制裁に踏み切った安倍晋三さんは怒ることができる人ですね。戦う長州藩の血が流れているのだと思います。まさに「血」の問題ですね。

文責:清水 佑三

2006/11/15 874

清水国語教室のファンです。「社会性」と「社交性」の違いは?

「社会性と社交性が混同されることが多いように思います。社会性はどちらかと言えば、後天的なもので、社交性は生得的な要素のような気がします。いかがでしょうか。」 というご質問です。ご指摘のように社会性が未発達の人っていますよね。結婚式の主賓として30分も演説してしまう人って、大学教授などに多いとききました。自分よりも目下の人ばかりを相手にしていて、誰も注意してくれる人がいないから野放しのままきてしまったのでしょう。注意を受けることによって発達するのが社会性だと思います。社交性は如才なさのようなものです。気質に帰属するものでしょうね。ユングが内向、外向と人の気質を大分類しましたが、彼のいう外向と重なる気がします。自分には二つともないなあ、と思ったことでした。

文責:清水 佑三

2006/11/14 873

ダイバーシティで業績へのインパクトを期待できるか?

「女性の活用を優先課題とするダイバーシティ推進室に配属されました。女性活用が業績に影響を与えるプラスのインパクトを事実として示さないと社内での説得力が欠けると思っています。現実問題、どうお考えですか。」 が質問の全文です。女性活用という領域に限定した話をしましょう。当社の例で考えれば、女性活用度は日本企業全体の平均からみると群を抜いていると思います。業績へのインパクトを何でみるかで議論が分かれると思いますが、社内の女性活用度と顧客リピート率は正の相関の関係があります。女性活用度が高いほど顧客に対する「母性」が発揮されるゆえだとみています。リピート率アップは一つの業績インパクトですよね。

文責:清水 佑三