人事部長からの質問

2006/12/26 902

清水さんは栗林中将の魅力はどこにあると思われますか?

私は新潮社さんが出された梯久美子さんの『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官栗林忠道』を読んで強い感銘を受け、重職の心得、という題で『人事改革各社の事例』にとりあげました。梯さんのご本を読んだ限りでの栗林さんの魅力は、生き残って日本に帰還した多くの非将官(下級兵卒)が、栗林さんから声をかけられたことがある、という証言です。守備隊は2万人といわれています。陣地を全部回ったのでしょう。多くの人が身近に彼に接して声をかけられたことと、かれらが簡単に死なないで一日でも抵抗するという苦しい道を選択した事実とは関係があるとみています。こういうことをする総指揮官は皆無に近かったと思います。

文責:清水 佑三

2006/12/25 901

会社の理念に対する共感性を測るツールがあれば…。

「当社は歴史が古く、有名な明治人を創業者にもっていますが、ほとんどの若い社員は、創業者が掲げた理念に無頓着、無関心です。コンプライアンスという観点でも、(創業者は)大事なことをいっているので、理念教育を行い共感性の高い人とそうでない人を識別したいのですが。浸透度を測るよいツールはありますか。」 というご質問です。eラーニングツールを活用すればよいと思います。eラーニングツールの最大の利点は、理解度測定をつねに入れられることです。それをデータとして蓄積してなんらかの形で抽出して整理すれば、(1)eラーニングを受けない、(2)受けても理解度が弱い、そういう課長群がすぐ浮かび上がります。

文責:清水 佑三

2006/12/22 900

タウンミーティングの不祥事はなぜ起きる?

静岡市のタウンミーティングでのハイヤー問題はひどかったですね。どうしてああいう問題が日常茶飯のように起きるのか。公務員という職場は我々が想像する以上に「人間をダメにする装置が内在されている」のだと思います。司馬遼太郎さんは、江戸幕府で天領を治めていた代官には、世上言われているような悪行はほとんどみられなかった、と何かで書いておられました。事実なら江戸幕府においてどうしてそれが可能だったのか興味があります。江戸幕府でついでにいえば、幕府は江戸という首都の景観問題にはことのほか気を使ったようで、特に市中の桜を大切にすることは半端でなく、膨大なお金を使ったようです。美しい景観を保つ努力と天領統治における透明なガバナンスと地下水脈はつながっているのでしょう。司馬さんは、それに比べて藩の代官には程度の低い人が多かったとも書いておられます。おもしろいですね。

文責:清水 佑三

2006/12/21 899

ブランドの体育会で正選手だったのはいいのか?

「上司が『早慶といった大学の名門体育会で正選手だった人間は骨がある。苦しい練習に耐え抜き、理不尽な先輩、コーチの悪罵にも耐えられる。メンタル的な問題も抱えにくい』と言い張ってききません。ご自分はバンドか何かやっていた軟派だったので一種のあこがれがあるのかも。本当に名門体育会レギュラー選手は買いでしょうか。」 というご質問です。会社によりけりだと思います。軍隊、警察、マルボウなどの社会ではのどから手がでるほど欲しいでしょうね。まさにご指摘のように「理不尽な命令」にもイエス、サーと元気にいえるからでしょう。Solution Providerを標榜されている技術系の会社では、先見的なアイデアの優秀性を競いあうのでサッカーでいえばヘディングばかりやってきたら怖いですよね。

文責:清水 佑三

2006/12/20 898

ベンチがアホやからといって辞める人たち。

「退職者に関係する質問が続いて申し訳ありません。もうひとつ、文理での退職理由の違いに興味があります。私どもの調査では、会社に嫌気がさしてやめる人は営業系に多く、技術系は誰がきいてもなるほどといった客観的な理由(遠隔地への転勤辞令など)でやめる人が多い気がします。どうしてだと思いますか。」 というご質問です。面白いご指摘だと思いました。世間を広く渡る人ほど、見聞が広くなり、自己相対化能力が磨かれます。世の中には実にたくさんの仕事環境があるものだということが次第にわかり、自分の持ち味をより生かせる仕事環境を再選択したい誘惑が多くなるのだと思います。こういった心理は営業系に顕著だと思います。他方、技術者集団だとそれがなく、それぞれタコツボ型になってゆくのかも。回答ではないですかね。

文責:清水 佑三