人事部長からの質問

2007/01/15 911

社長から人事考課の評価者を自分にさせてみたら、という案がでました。

「一般職(の考課)に限定した話です。(営業畑出身の)新任社長は、考課者訓練を徹底して行えば、その方法が一番よい気がすると言ってききません。人事畑が長い私には、(1)評価は会社の専権事項であり上司以外が評価すべきではない、(2)性格によって過大評価群と過小評価群に分かれて公平性を欠く、などの理由で乗り気がしません。清水さんはどうお考えですか。」 というご質問です。そうですね。私もことによると御社の社長と同じ考えかもしれません。ただ、それをする上での前提として、野球選手でいえば年俸更改時に使う「査定用貢献度指数」が、選手会と野球機構との間で細部にわたって詰められ合意されていないとダメです。貢献度がチーム中ワーストワンという客観データをもった選手が(どんなに自信過剰な人であっても)つけてくる点は限られます。かりにスーパーAとつけてきたら、対話をして補正する道を残しておけばよい。そういうデータと運用細則が作れない場合は、(2)の理由で私も反対です。

文責:清水 佑三

2007/01/12 910

エス・エイチ・エル社が本当に誇れるものは?

言下に「社員です」といえます。そのことを実感するのは、1月、4月、10月の最初の営業日に行う、新年会、入社式、始業式での(普通の=偉くない)社員の人たちによるスピーチです。このスピーチの条件は、1)突然、司会者が指名し、即席で話す、2)砂時計が渡され3分で打ち切られる、3)笑いをとることが求められる、なのですが、聞いていて涙が出てきて困ってしまうのです。これは会社ではなくって仲のいい家族だと思ってしまいます。「今の世には絶滅してしまった珍しい生き物」をみる気がするのです。どこを探しても「檄」もなければ「叱咤」もありません。よい仲間とともにいて楽しい、非常に難しい仕事をやっていてうまくできないために泣きたくなるが何とか頑張っている、来年の今日、ここにいるかわからないけどいなくなるまではいるのでご迷惑でしょうがよろしく、と訥々と話す社員をみていると、この会社が本当に持っている資産はこういう人たちなのだと確信するのです。

文責:清水 佑三

2007/01/11 909

トップから“とんがりさん”を採れといわれた。それって、何やねん。

「採用すべき人材について社長に諮ったところ、とんがってる人物“とんがりさん”を採りなさいといわれました。具体的に何をしていいかわかりません。髪形で判断すればいいのですか?」という質問です。
社長の言葉ってだいたいがそんな感じではないでしょうか。私もよく、社員総会などで『事に仕えて濁らず』などというのですが、社員の多くはきょとんとしています。まさに何やねん、それ、という感じですね。さて、“とんがりさん”の定義ですが、自惚れをエンジンにして生きている人、です。一芸に突出した人、ある世界で早くから名をあげる人に多くみられます。イチロー選手がそうですね。傲慢不遜に映るのは他の人にない「強烈な自信」をもっているからです。そういう人を採りなさいという意味です。一芸採用と理解していいのでは。

文責:清水 佑三

2007/01/10 908

縁故採用を断るうまい手を。

「当社は、良い意味でも悪い意味でも地元密着企業です。就職についても、地元議員や大口取引先の子息のねじ込みがつねにあり断るのに苦労しています。御社の適性テストの知的能力テストの得点を断る理由に使っていますが、どうしてダメなのかという苦情めいた問い合わせが毎年、15〜20件きます。何かよい手はないでしょうか。」 という悲鳴に似たご質問です。心からご同情申し上げます。イギリスでは地方議員、国会議員を含め、(二世、三世などの)縁故議員はゼロだといいます。すべて「実績+試験」ではいあがってくるのです。右を見ても左を見ても縁故議員ばかりの日本社会では、浜の真砂は尽きるとも、おっしゃるような悩みは尽きないのでしょう。さて、妙案ですが、適性テストの知的能力部分が低いからダメだと言われたらバカ息子を生産したバカ親父は感情を害します。逆です。優秀すぎて、この得点ゾーンの人はみな早期退職してしまう、だから採れないと言ってみてください。そういうことか、息子、えらいなといってゴリ押しはしないでしょう。嬉しいですからね。

文責:清水 佑三

2007/01/09 907

ホワイトカラー・エグゼンプション制度は実現しますか?

しないと思います。自民党の中川秀直幹事長が「政府の説明が下手すぎる」とどこかでいったそうですがそう思います。連合を支持団体にもつ民主党だけでなく、与党公明党まで「議論半熟、時期尚早」を言い始めてはもう終わりです。何もかもに厚労省の社会オンチぶりが出てしまった。7月下旬に参議院選挙を控えて、ここでのごり押しは自民党にとって自滅の予約のようなもの。早晩、撤退の方向に舵を切りなおすでしょう。それはともかくとして、意思決定のスパンがどんどん短くなってゆく今の世、経営機能の土石流化(下部への移行)は、世界中で加速度的に進行しています。サービス残業→摘発→謝罪記者会見の日本の流儀はバカみたい。経営の担い手まで「労働者」と位置づける前世紀の遺物みたいな法制は早くやめるべきです。

文責:清水 佑三