人事部長からの質問

2007/01/22 916

親が子にプレゼントできるものは何だと思われますか?

会社が社員に、と置き換えて読みました。共通する何かがあると思ったからです。「反面教師」としか呼べない機会提供だと思います。子の主体的な意志形成につながってゆくような好ましくないシーンの連続提供でしょうか。例をあげましょう。親が放縦、自堕落な生活をして、世間様にご迷惑をかける姿を子に見せ続けたとします。子は親に反発して、こういう生活だけはしてはダメだと強く思う。これが私の言う親が子にプレゼントできる「反面教師」のイメージです。世間様から顰蹙を買わない生きかたを強く意志する子が作られる。「善導」的な意味あいでのプレゼントは、無味乾燥、無価値だと思います。

文責:清水 佑三

2007/01/19 915

人に質の良し悪しがあるんですか?

「人に対して質の良し悪しというような言い方をする人がいます。今年の学生の質は?というようなメディア側の質問にも違和感を覚えます。そもそもなにを以て、人の質の良し悪しと言うのでしょうか?」というご質問です。質問者の方に、野球の選手にも質の良し悪しはありませんか?と逆質問したらどう回答されるか興味があります。野球選手には質の問題があるが、企業選手には質の問題がない、と回答されるでしょうか。多分違うと思います。人格と職能の混同から来るのだと思いますが、多くの人が「ある仕事に求められる能力の有無」をもって人格全体の○×と置き換えてみてしまう傾向性をもちます。野球の選手を語る場合、その弊を逃れているのは、野球チームが「職能集団」として明確に事前定義されているからです。企業を「職能集団」と定義すれば、今年の応募者の質はよくない、という議論は、一定程度の妥当性をもちます。

文責:清水 佑三

2007/01/18 914

総合職層の退職が急増。どの年齢層からもでる。何故か。

「最近、コアとして働いている総合職層の退職が目立ち始めました。どの年齢層からも増えてきました。とりたてて思い当たる原因が見つかりません。退職理由は同業を含め、他社への転職が一番多いです。どうしたらいいでしょうか。」 という大変お困りのご様子の質問です。一つの会社の中にいると、人材の移動の理由はなかなかつかめないものです。特に事務系の優秀層が、伝統ある天下の大企業から「それって何やっている会社?」と尋ねたくなる会社に、落下傘の大群のように降ってゆく光景は壮観でもあります。生涯雇用を前提に、ゆくゆくは傘下の子会社経営をみてもらうべく丹精こめて育成栽培した層は、それゆえに新興企業や外資系にとって魅力と価値があり、高い値段がつくのです。徴税と歳出による富の再配分の図式によく似ていますね。誰にも止められない流れだと私は見ます。雨後の竹の子のように次から次へと社内人材の竹の子を出して、次代の竹やぶの力を維持することを考えてください。

文責:清水 佑三

2007/01/17 913

よいスピーチのコツを教えてください。

挨拶、スピーチはいやですね。まことにもって困惑します。そういうのが好きで得々と大声で話している人をみると、水をぶっかけてやりたいと思います。余計なことを言ってしまいました。よいスピーチのコツということですが、昭和天皇の8月15日の政府主催行事での挨拶(先の大戦で心ならずもなくなられた方々とその遺族のことを思うと深い感慨を覚えます)が見本になると思います。毎年まったく同じ言葉なのですが、年ごとに真情が強まっていくように思えました。そこからの逆算ですが、1)芝居の台本のように台詞を用意し記憶する、2)何回も何回も稽古し、しみじみとして聞こえるところで打ち切る。以上は、楽屋で(SMAPの)中居正広さんが、どうしても自分だけ音程のとれないフレーズを、30分以上繰り返してから本番に臨むのと同じやりかたです。

文責:清水 佑三

2007/01/16 912

中小企業ですが新卒主義を貫いています。応援演説を。

「新卒者採用難の時代を迎え、原点に立ち返るという意味で質問させて戴きました。中小企業、大企業に関係なく新卒主義を貫くとこういうメリットがある、と自分に言い聞かせたい。ヒントをください。」 というご主旨です。当社は社員数50人程度の小さい会社ですが、HRコンサルタントという基幹業務については創業以来ずっと新卒主義を貫いています。その理由についてよく考えるのですが、思い当たったのは「病変を診ずに、患者全体を診る」という某医科大学の理念です。病変を得意先の個別的な悩み、患者を選考プロセス全体のレベルアップ問題と置き換えると、当社の仕事についてもまったく同じことが言えるのです。中途採用で入ってくる人には、部品販売業ではないよ、といくら言ってもなかなか受け入れてくれない。新卒で入ってくる人たちは、2年、3年とうまずたゆまず教え続けると、だんだんですが自分たちが採用選考プロセス全体の再構築支援業だということをわかってくれます。この回答でよいでしょうか。

文責:清水 佑三