人事部長からの質問

2007/02/20 936

派遣事業者です。派遣社員に求められるものは?

「どんなに技能が優れていても派遣先で受け入れられない限り商売は成り立たない。それをチェックするのが意外と難しい。先生のお知恵をお借りしたいです。」 というコメントがついていました。派遣事業者に限らないです。人を採用、配置する人事の人たちがいつも悩ましいと感じている点です。鶏が先か卵が先かのような感じの話です。技能が習得できない限り続かない。技能が習得できても相性が悪いと続かない。技能も相性もやってみないとわからない。これってジレンマですね。私の意見は単純で、クーリングオフ制度を導入すればよい、です。無償返品可能期間を相互合意するのですね。労働法規上問題があるというならあとは手はないです。労働法規を変える運動をしましょう。

文責:清水 佑三

2007/02/19 935

燃費という清水さんの考えは面白い。

「面接コースで、馬力、燃費、悪路耐性という新卒の資質の話を聞いてナルホドと思いました。特に燃費というのがいいです。頼んだことを一所懸命にやるのだが、納品されたものは使えない人って確かに燃費が悪いのですね。」 というコメントがついていました。お褒めにいただき恐縮です。たとえ話は私の趣味みたいなもので、難しい内容をやさしい表現で言えないかいつも頭をひねっています。下手な鉄砲も数打ちゃあたるで時々は佳作があるのかも。同じように織り込み都都逸もやっているのですが、これは講演で話しても食いつきが悪いですね。お茶屋さんで喜ばれる芸でしょうか。

文責:清水 佑三

2007/02/16 934

「創造性」ってほんとに大事なのですか?

「ものづくりは基本に忠実である“まじめさ”が命だと思う。しかし、新しいものを生み出す“創造性”のほうばかりが称揚されて、ものづくりの基本である“まじめさ”が少しづつ忘れられてゆくような気がしてならない。清水さんはどう思われますか。」 というメーカーのエンジニアさんからの質問です。同感ですね。私は“創造性”なるものは蜃気楼のようなもので実態がないとみています。1905年に立て続けに発表されたアインシュタインの四つの論文には確かに“創造力”の塊があると思うが、普通の人が普通に暮らしてゆく上には、そんなものはいらないです。ご指摘の“まじめさ”があればよい。真の“創造力”と無責任な“思いつき”の違いを知らない人が多すぎると思います。

文責:清水 佑三

2007/02/15 933

新入社員のやる気を折りたくないが依存心が強すぎる。

今の時代、右を向いても左を見ても「依存心症候群」ばっかりじゃないですか。新人だけの問題ではないと思います。天子様のご子息におかせられても人格否定発言はよいが、その言葉のなかに使い慣れない「キャリアや人格を否定する」というような借り物表現が入ってきている。女房に思考を依存しきっているのが窺える。天下の大新聞の社説子からして他社の社説を引き写してしまう。こういうことが日常茶飯に起こっているのです。自分の頭で考えていると何が何だかわからなくなってしまって、それなりの完成度を持っている他人のものをほとんど無意識で剽窃するのだと思います。Google文明の帰結だと思います。ならば、新人のやる気を折っていいから、白は白、黒は黒とはっきり言ってやってください。

文責:清水 佑三

2007/02/14 932

繊細さとタフさを両方兼ね備えることは可能か?

パスカルというフランス17世紀の数学者をご存知でしょうか。彼が書いた『パンセ』の冒頭に「幾何学者が繊細で、繊細な人が幾何学者であるのは珍しい。なぜなら、幾何学者はそれらの繊細な事物までも幾何学的に取り扱おうとするからである。」 という有名な一節があります。彼は、「and」で結べる性質と「or」でしか取り扱えない性質が人間にはあると見抜いていました。ご指摘の「繊細さ」と「タフさ」は両方兼ね備えることが難しい「or」タイプの性質だと私はみています。だから「強くなければ生きられない。優しくなければ生きる資格がない。」 というフィリップ・マーロウ探偵の言葉が光彩を放つのです。

文責:清水 佑三