人事部長からの質問

2007/06/22 1020

マネージャーとプレーヤーの本質的な違いは?

野球の比喩を使いましょう。監督と選手の違いです。稼業としてどちらが楽しいか、まず選手だといってよいでしょうね。子どもの頃から好きだったことをやって観衆の拍手喝采を浴び、翌日のニュースにとりあげられる、最高ですね。ところが、冥利という点だと微妙に違う。多くの優秀な選手を世に出すことに成功した監督のもつ「冥利感」は独特のものがあります。また個々の選手の仕事上の成長や幸福感に少しでもかかわれたという充実感は監督をやった人でないとわからない。この感覚あるがゆえに一度監督をやるとやめられないのだと思います。しかし、成長も幸福感もプラスの方向だけではない。マイナスの方向もあります。マイナス事例を暗夜考えてゆくと、つくづく監督って因果な商売やなあ、となります。

文責:清水 佑三

2007/06/21 1019

ブックオフコーポレーションの「不正経理」や会長個人の「リベート」問題について清水さんの考えをお聞かせください。

「ブックオフの坂本会長が不正経理問題で辞任、橋本社長が会長に就任します。不正経理は社長になって現場への(売り上げノルマの) 圧力が増したのか、全てのオペレーションを見通すCOOが社長となって組織が硬直(萎縮)したためか、それとも他の要因か。清水先生のお考えを。」というお尋ねです。新聞で報じられたことをいえば、今回の不正経理の実態は(弁護士ら外部識者による調査委員会の中間報告によると)売上高の水増しが3会計期合計で2206万円だそうです。一方、取引先から坂本会長へのリベートは、8年間で約7億4200万円だそうです。リベートに違法性はないと調査委員会は報告しています。不正経理よりもリベートの金額が大きいのが気になります。株式上場企業のトップのありようとしては「?」がつきますよね。不正経理問題よりもそちらに目を向けてほしい、が私の意見です。

文責:清水 佑三

2007/06/20 1018

コンプライアンス教育を内定期間で行う是非。

「当社はカンパニー制をとっており各部門が一つの国といえるくらい異なった文化、習俗をもっている。コンプライアンス教育を全社で徹底的にという上からの指示がある。ただ、いつ誰にどのようにして、となると甲論乙駁で人事部内のコンセンサスが得られない。いっそのこと、前社員(内定)期間に行えばハシカのワクチンみたいでよいのでは。」というご意見です。ギブアップですね。愛国心教育の問題にギブアップするのと同じです。私の心で、そんな教育ねえよ、とどこかで頑なに思っているからでしょうね。自らの内なる問題を外側から犬を調教するようにして教えることは不可能だと思っています。ましてや雇用契約の予約を完了しただけの段階の人たちに、となるとますます「?」です。

文責:清水 佑三

2007/06/19 1017

清水さんの確信はどこから来るのか?

「6月11日の御社のシンポジウムに出席させて頂き、清水さんのご講演を拝聴いたしました。内容は別として話をされる清水さんの鋭い眼が忘れられません。多分、強烈な確信のようなものがあって、それを話すときにああいう鷹のような眼になるのでしょう。清水さんはどこからご自身の確信をつくってゆくのですか?」というご質問です。そうですね、前回のイベントでお話ししたかった第一のことは、Webテストが他のいかなる方式のテストよりも「オープンエントリー」「機会均等」という条件を満たすということでした。こういう理念性の強い話になるとどうしても「戦う人間」になってしまうのですね。この理念は日本エス・エイチ・エルの創業理念であり、譲れないのです。そういう価値の琴線に触れる話題のときに、自分はこう生きる、と絶叫しているのだと思います。

文責:清水 佑三

2007/06/18 1016

専門性の高い職種のローテーションをしたいが…。

「弊社は、業務の専門性が高く入社後どこかに配属されるとまずそこにとどまります。そのため視野狭窄現象のような傾向性が新任管理職に多く見られます。管理職候補者にジョブ・ローテーションをやってみたいと思う。留意点は?」というご質問です。どうして日本企業の多くが幹部候補生の職場を定期的に動かす風習をもつかといえば、管理職としての要件に「視野の広さ、相手の立場に立ってものを考えられる力」が必要だからです。内野手ばかりやっていると外野手の悲哀はわかりません。監督になるとどうしても外野手への目配りが弱くなりがちです。知らないからですね。そういう意味でご指摘のアイデアには賛成します。留意点ですが、部署ごとの民度のようなものを想定して、できるだけ低いところから高いところに動かしてゆくことです。その理由は個人の成長と組織の民度とは関係があるからです。いい学校に子を入れたがるのと同じ理屈です。

文責:清水 佑三