人事部長からの質問

2007/08/17 1059

明日のことはわからない。採用基準をつくる意味がわからない。

「印刷業界です。会社をとりまく環境が急激に変わっていると感じる。求められる人材も変わっていく筈。今、現場で活躍している社員の傾向を分析して採用基準を作っても、果たして意味があるでしょうか。」というご質問です。私は、意味がある、という意見です。なぜなら、印刷業界をとりまく環境が激変していると言っても、おつきあいしている人たちが全とっかえされる訳ではない、が最大の理由です。今活躍できている人たちは、おつきあいしている人たちから信用されている人たちです。その人たちがどういう人なのかを突き止めることは必要です。おつきあいしている人たちのタイプとレベルによって採用すべき人は規定されるがゆえに現職の活躍人種の研究が必要となるのです。

文責:清水 佑三

2007/08/16 1058

ストレス問題は会社というより上司の問題のように思います。

「職場のメンタルヘルス対策としてストレスカウンセラーの導入が決まった。そんなことをする前に、現場の上司がちゃんと毎朝部下の顔を見て、変化に敏感になり、もしおかしいと思ったら、声を掛けたり、フォローをしたりすればよい。それをきっちり実行することが先ではないのか。」…おっしゃるとおりだと思います。現場力がないがために、会社に何もかもおっかぶせようとするのです。人を鍛える問題もそうです。普通の人を採って優秀な人にする現場力があれば、いい人を人事が血眼になって探す必要はないです。同じことがストレス問題でも言えますね。現場が弱くなっているから起こる問題です。人を鍛えてゆく伝統がないと起こります。

文責:清水 佑三

2007/08/15 1057

過残業問題で人事部としてできることは?

「陸運事業者です。業界トップは自社よりも集荷時間が短く、給与水準も高い。二番手グループの当社は競争上、どうしても集荷時間を長くせざるを得ない。後方部隊を含め、過残業状況が続いている。それが採用にも響いている。人事部としてできることは何か?」というご質問です。とてもよくわかります。あそこはきつくて給与も安い、というレッテルを貼られたらどうしようもないですよね。申し訳ないですが完全ギブアップです。人事部としてできることは何もないです。経営トップだけが問題解決へのカギをもっていると思います。ごめんなさい。

文責:清水 佑三

2007/08/14 1056

“意欲”について教えて頂きたいです。

「社員全体に“意欲”がなくなっている印象を受けます。会社の数字が悪いせいか、新しいトップの顔が見えないためか、いろいろな理由が考えられます。社員全体の“意欲”の底上げをしたいです。」とお書きになっておられます。私は「意欲」とか「モチベーション」という言葉が昔からとても嫌いです。過去、労働組合との団交の席で、もう一声で社員のモチベーションがあがる、という言葉を聞き、犬の調教をやってんじゃねえ、バカといって集中砲火のように怒鳴られたこともあります。強い意志は人間だけの尊厳だが、意欲は動物でも持っている、と考えています。動物諸氏にはとても失礼な言い方だと思います。

文責:清水 佑三

2007/08/13 1055

一般職から総合職への資格変更を促したい。

「省庁のI種、II種などに近いと思いますが、採用試験の総合職、一般職の区分が一種の身分として受け取られています。一般職から総合職への資格変更を促す社内制度を用意しているが、これはと思う人が応募してくれない。どうしたらよいでしょう。」というご質問です。難しいごテーマですね。最近の自治体で係長昇格試験への応募者が激減している現象と同じですね。エネルギーの無限拠出を要求されるが、見返りは微々たるもの、という冷静な認識が一般化しているのだと思います。江戸幕府が作った士農工商という身分制度を例にとると、当時、道を歩くときの武士は道のまんなかを背筋をピンと伸ばして歩き、たいへん美しかったそうです。上位身分に「美」という要素を入れないと身分制は持たない、が私の意見です。

文責:清水 佑三