人事部長からの質問

2007/09/07 1074

100年後に日本語が残っていると思いますか?

それってビミョー、と思います。残っていて欲しいが、それが許されなくなってきたのかもしれないと思います。その最大の理由は、日本語のなりたちとセットになっている「やまとごころ」のようなものが音をたてて崩れていっていることです。「やまとごころ」といっても「それってなんやねん」が今の時代の普通の捉え方でしょう。伝統とは自らの内なる価値を、リスクテーキングして守ろうとする強い意志をいいます。日本語の伝統が蒸発してゆくのと機を一にするようにして、標準語を英語または中国語にしようという運動が頭をもたげてくるでしょう。50年後くらい先には確実にそうなると思います。英語派、中国語派がシノギを削って戦うでしょう。日本語存続派は(そのとき)今の共産党くらいマイナーになっているでしょう。

文責:清水 佑三

2007/09/06 1073

最近雨が多いですが、清水さんの好きな天気は何ですか?

こういう質問はほんとに有り難いです。一服つけるのですね。好きなのは霧がかかってそれが流れるようなときです。私の家のリビングルームから谷あいを霧が流れていく光景が見えるときがあります。なんともいえない美しいものです。目の前に動く水墨画があるようです。霧の動く風景ってほんとに好きです。歩いていて霧が流れているのとぶつかると、霧が肌に突き刺さる。生きていることをとてもよく実感できるのですね。石坂洋次郎さんの小説にそういう光景を描いた箇所があり、(高校生くらいの時に読んで)頭に染みついてしまったのかもしれません。

文責:清水 佑三

2007/09/05 1072

清水さんの講演力の秘密を知りたい。

「先日のシンポジウムで清水さんの講演を聞きました。この人はどういう講演でも自由自在にやれるんだろうなと強く思いました。何故、あのようなことができるのでしょうか?」…こういう質問は、できればボツにさせていただきたかったのですが、将来の大事なお客様になるかもしれない会社の方からの質問なので、回答させていただきます。私の中に「講演、同時通訳論」というのがあります。話しながら、聴衆になって聞き耳をたてているのです。二人の自分を並行して動かすわけです。そうすると、話していることがつまらない、わかりにくいと聴衆になっている自分が思うときがあります。そういうときはもう一人の講演者である自分に話題を変えてくれ、と頼むのです。瞬間的に話題を切り替えます。講演中、たえず「修正」をかけながら話す、それがコツといえばコツでしょうか。

文責:清水 佑三

2007/09/04 1071

先入観と仮説の違いって何でしょうか?

「『短い面接時間を有効に使うためには、応募者を事前によく研究し、仮説を立てて、短い時間内でそれを検証せよ』と(清水さんから)教わりました。仮説のはずが、いつの間にか先入観にすりかわってしまう面接官が多いのです。仮説と先入観の一番大きな違いって何でしょうか?」…面接技術訓練コースでいつも申し上げていることですが、仮説とはたたき台のことです。たたき台がそのまま結論になることはまずありません。叩かれて衣替えしてゆくのです。先入観はどんなに叩かれても衣替えを拒否する固定観念のことです。

文責:清水 佑三

2007/09/03 1070

第二新卒についてどのように考えるべきなのでしょうか?

「来年あたりから、第二新卒市場が活性化するとあちこちで話されていますが、弊社では過去の経験から第二新卒の採用に否定的な見方をしています。個人的には、悪いことばかりではないと思いますが清水さんのお考えをお伺いしたいです。」…業者が煽る話に乗ってはいけない。ロクなことはない、が私の人生経験です。マッチポンプという古い言葉がありますが、そんな印象すらあります。一方で新卒を煽って出会いがしらのようにして企業に押し込んで、二年を経ずして、今の仕事に満足していますか?とやるやり口です。おっしゃるとおり、第二新卒活性化論は、業者がためにするものとみてよいでしょう。気にしないほうがよいです。

文責:清水 佑三