人事部長からの質問

2003/05/15 15

人事部長のランチタイムの過ごし方についてのアドバイスを。

よい質問ですね。アメリカ合衆国大統領のランチタイムの過ごし方は、厳密に計画されていると思います。欧米では、夜の接待はあまり聞きませんが、ランチタイムで同じテーブルにつく、は極めて重要な意味をもちます。影響が大きい職掌ほどランチタイムの過ごし方が大事になるのです。ご質問への回答ですが、社内の人よりも社外の人と会われることをお勧めします。それも同じ職種・職位(人事部長)の人ではなく、幅広い方々と会食されるとよいでしょう。会社人間ではない人と会うこともまたよし、です。異業種交流会の効用には疑問を感じますが、こうしたランチタイムでのやりとりはお互いの人の幅や深さを自然に広げたり深めたりしているものです。

文責:清水 佑三

2003/05/14 14

「求める人物像」を掲げる意味について。

どういう仕事をしていただくか、どういう組織の中に入っていただくか、が明快に定義されていることが募集条件の一つとしてあるべきです。上の二つの要求スペックを「わかりやすい言葉」で描写したのが「求める人物像」です。明るく元気で人に好かれる機械工学専攻の人、といった感じです。ないよりはあったほうがよいでしょう。少なくとも、暗くて元気がなくて(と自分のことを考えている)機械専攻ではない人は応募してきません。採用事務の軽減になります。また、選考段階において、明るく元気である、という基準で応募者を比較すれば、篩(ふるい)にかけやすくなります。面接官の負荷の軽減になります。

文責:清水 佑三

2003/05/13 13

人事担当役員から「これだけは頼む」という縁故の話がきましたが。

「身過ぎ世過ぎ」という古い言葉があります。生活上やむをえないてだて、といった感じの意味があります。これだけは、と念を入れているのですから、断れない筋からの話しなのです。人事担当役員に貸しをつくるいいチャンスです。私だったら「わかりました」と答えて、入社させます。そういうことに備えて、ごく少数の採用枠をあらかじめつくっておけばよい。領収書の提出を求めない機密費とまったく同じです。それを毛嫌いする人は、会社のような「清濁あいまじる」場所には元々向かないと考えてください。こうした「曖昧な世界」を一定の幅で抑えるのが人事部長の腕のみせどころです。

文責:清水 佑三

2003/05/12 12

楽をしている社員が危機感を感じるような仕組みづくりを教えてください。

楽をしていても会社に貢献していれば、よいでしょう。ただ、貢献組の中で他人の顰蹙を買う行動をとっていたり、会社の信用を落とすような言動をとっている人はダメです。ご質問への回答は、プロとしての成果基準を部署ごとにはっきり作らせることで一定の解決はできます。プロ化させるのです。野球でいえば、防御率、打点、失策の数などがそれにあたります。合計数を出場機会で割れば貢献度について簡単に序列化できます。まったく同じことを各部署でするように人事がインフラづくりを主導すればよいのです。そのシステムが適切に導入されて動き始めると、楽をしている社員は危機感をもつというより自然淘汰されてゆきます。

文責:清水 佑三

2003/05/09 11

自己評価が高く人事考課に納得しないタイプの社員をどう思いますか?

人事考課が偏っている場合と、自己評価が偏っている場合と、両方偏っている場合と三つのケースが考えられます。自己評価も主観ですし、人事考課も主観です。果たして何が正しいか、客観的な評価指標を導入して、捌くしかないでしょうね。外部のアセスメント事業者はそのために存在しているようなものです。いろいろな会社のたくさんの人をみてきた目からみると、いくつかのアセスメント演習や客観面接を行えば、その人のレベルは大体わかります。前述したどのケースかの判定が可能です。そういう根拠、データのない場所でのこうした議論はあまり意味をもちません。

文責:清水 佑三