人事部長からの質問

2003/06/05 30

人事畑で育ったのに、人事部長として「その他の事項」ばかりやっている気がします。

そういうものです。かなりの昔ですが、政府系金融の人事部長にお会いして、一番、時間を費やしていることって何ですか?とお聞きしたら、警察署の署長と会っている時間と不祝儀(葬儀等)のイベントかなあ、といっておられました。警察署の署長に会う、は行員の不祥事を握りつぶしてマスコミに漏れないようにお願いにあがる、という意味です。まさに人(がやった)事にかかわるので、「ほんとの人事ですねえ」と笑いあったものです。その方も人事畑が長かった人で、専門的な能力をたくさんもっておられる人でしたが、人事部長となるとそれが仕事になるのです。相手の署長も人事部長さんがわざわざお越し頂いたのだから無碍には扱えない、で動いてくれるわけです。人生を長くやってきた人でないとやれない「その他の事項」をするのが部長職であります。

文責:清水 佑三

2003/06/04 29

社長の最大の関心事とは何でしょうか。いつも気になっています。

社長とは着ている洋服の名前です。洋服を着ているのは人です。人の関心事はそれこそ言葉の数ほど無限にあります。社長の関心事は、社長の数だけある、と思います。ただ、KJ(川喜多次郎)法的なやりかたで、カードの束をつくってゆくと、いくつかのタイプに集約されてゆくでしょう。(1)権威(2)業績(3)評判(4)やりがい、くらいでしょうか。その人が怒る場面の違いにそれがあらわれます。自分の権威を無視されると怒る人、業績についてバッドニュースを持ってこられると怒る人、内部告発のようなことに対して異様に怒る人、社員が理想を喪失している場面で怒る人、さて、御社の社長の関心事はなんですか?

文責:清水 佑三

2003/06/03 28

人事部長マターなのに社長が直接社員にYes/Noを言ってしまいます。仕方ないことでしょうか。

役職とはとどのつまり「メンツ」のことをいいます。国家間の外交をみているとよくわかります。国の大小に関係なく、同じ役職者どうしが次官級会議などといって会議します。メンツにこだわっているからです。メンツをつぶされて黙っているのは奴隷であります。本邦やくざの世界では「落とし前をつけさせる」のが定法です。具体的な対応ですが、社長を脅迫すればよい問題です。そんなことされたら、私のメンツは丸つぶれだ、どうしてくれる、とかけあってください。それでもダメなら奴隷になるか、飛び出すかを決断すればよいと思います。

文責:清水 佑三

2003/06/02 27

(4/23の回答にあてはまる)問題社員に、実際に退職願を書かせる有効な方法があれば教えてください。

ご指摘の問題は「会社防衛」上、高い優先度をもっている、とみています。ただ、人事部長マター(管掌事項)というよりも、現場責任者マターだと思います。会社は、密かに現場責任者に必須の技術として、ご指摘の方法を植え付けるべきです。おおっぴらにやることではありません。脅迫状を受け取ったらどうするか、という問題と共通する「秘匿性」が要求されます。ご質問に戻りましょう。私は、つきつめてゆくと、脅迫(的な手段)しか手がない、という意見です。脅迫とは「恐怖を契機・媒介とする説得法」です。政治家が職業上の技術としてもつものです。脅迫の技法は、それだけで一冊の本が書けるほどの内容をもっており、このスペースでは要約できません。いずれ書きたいと思っているテーマなので、適当な版元をご紹介くださると嬉しいです。ヒントだけです。ごめんなさい。

文責:清水 佑三

2003/05/30 26

感じが良くない役員を感じがいい役員に変える事は可能だと思いますか。

感じがよいとか、よくないとかは個人の主観の問題です。それを公(おおやけ)の問題として議論するためには、温度や湿度から不快指数が計算されるのと同じプロセスが必要です。何パーセントの人が「不快だ」と感じるかのデータがないと議論ができません。それをするのが360度評価法といわれるものです。首相支持率や大統領支持率とまったく同じものです。そういうデータをもって、危険水域を設定しない限り、個人間の喧嘩になるだけです。以上は理屈であります。私個人は、感じがよいとかわるいとかを問題にする人のほうが問題だという意見をもっています。会社は仕事をする場であり、仲良しクラブではないと考えるからです。仕事をする上で多彩な才能が集まってそれが有効に組み合わさって組織として結果を出せばそれでよいのではないでしょうか。組織としての規則を守る、というメンバーとしての最低限の要件を満たした上での話です。

文責:清水 佑三