人事部長からの質問

2003/06/19 40

技術者の専門スキル研修について人事部がかかわるべきだと思いますか。現在は技術部門に任せています。

現場の問題だと思います。仕事が専門化され高度化されてゆくにしたがって、人、モノ、金、技術等の調達・運用権は現場におろされます。そのかわり運用の成果について責任を問う、がこれからの時代の姿だと思います。中央集権制度は、国家においても企業においても終焉してゆくのだと思います。現在の方法でよいと思います。ただ、内部監査制度だけは共通化しておかないと危険です。野放図に現場に任せると、東海村の(原子力)臨界事故のようなことが起こります。手抜きをしてよいところとよくないところの基準を徹底した上で実行を求めるのが「内部監査」の本質です。スキル研修の名のもとに、ほとんど効用のないことが日常茶飯に行われるようになったら、お仕舞いです。内部監査手順を決めて、現場からの報告を求めるのは、人事部の職掌だと考えます。

文責:清水 佑三

2003/06/18 39

利益金処分の問題に人事部長がどのように関わっていくべきか。

利益金処分の問題は、税引き後の当期処分可能利益を、配当、役員賞与、内部留保の三つにどう分けるか、バランスを決める問題です。役員賞与部分については、総額を株主総会で決めて、取締役会で個別配分について決定をする、が一般のルール、慣行だと思います。ただ、多くの会社は、役員賞与の個別配分問題を代表取締役社長(または会長)に一任する傾向があります。したがって、人事部長が裁量する領域とはみなされていないと思います。(ごく近年、ソニーのように委員会を設けて専門機関に判断を委ねる方式が登場しつつあります)逆に、従業員兼務役員の報酬を含めて人件費の総枠をどういう考え方で個人別に配分するか、は人事部長の職権範囲だと思います。賞与と月例との配分、役員、管理職、職員のバランス、事業部門、職種別のメリハリなどについて、ある価値観にもとづく考え方をもって会社に提言し実行する役割が(人事部長には)あると思います。

文責:清水 佑三

2003/06/17 38

清水さんは自宅で仕事の話をしますか?(私は時々、妻と話をする方です)

私は家では長いこと粗大ゴミとして扱われていますので、粗大ゴミとしての立ち居振舞いに徹しております。会社の話はまったくしません。会社関係の人から電話があっても、相手の人との関係や敬語を使う度合いを判断する情報が皆無なので、女房もたんたんと対応しております。良し悪しは別にして、現実であります。もっぱら話をする内容は、ご町内の方々のこと、いろいろなことで家に出入りする職人さんのこと、熱海で近頃、評判のおいしいレストランなどのこと、に限定されます。それとあの鳥の鳴き声って、何の鳥か、といった会話であります。

文責:清水 佑三

2003/06/16 37

人事マターに興味を持つ部長がいて、うっとうしいのです。よい撃退方法を。

観客がいてくれるウチが花だとよくおもいます。その人を大事にするのです。あなたが「人事部長」だったらどうしますか?という質問をつねにぶつけたらどうでしょうか。アンケートへの回答と違って、真剣かつ率直な回答をしてくれると思います。人事部のサービスの受益者は現場の人たちですからいってみれば、コストをかけずにマーケティングをしているわけです。うっとうしい人と感じるのは人情ですが、ピンチをチャンスに変えてゆけば、ありがたい人に転じてくれると思います。制度改革のたたき台を示して、現場がどう受け止めるか、マイナスの影響を回避するにはどういう手を用意すればいいか、どんどん意見をきいたらよいと考えます。

文責:清水 佑三

2003/06/13 36

目標管理制度の導入・定着で苦労しています。よいヒントがあれば。

プロ野球の出来高払い契約を真似するとよいと思います。その選手のレベルアップを保障するための装置としてこの制度を活用すればよいのです。それぞれのプレーヤーについて、今まで出来ていた、または出来ていなかったことのリスト化をしてゆくことがとても大切です。上司と本人とで協議しながら、各項目を点検して、その人に与えられた役割・ミッションからみて要強化項目を特定してゆきます。強化目標をプロ野球の選手のように数値で表現し、出来高払い契約とセットにすれば、現実的でかつ挑戦的なギリギリの数字をすべての人が出してきます。それがよい目標管理制度の導入・定着法です。

文責:清水 佑三