人事部長からの質問

2003/09/05 95

人事マンが知っていたほうがよい「ことわざ」を。

  • 口自慢の仕事下手・・・プレゼンだけの人を見分けて要所に置かない
  • 朱に交われば赤くなる・・・厳しい仕事環境を用意して競争させればプロが育つ
  • 人の心は九分十分(くぶじゅうぶ)・・・違った意見をもつようでもよく話しあえば折り合えるもの
  • 埋もれ木に花が咲く・・・よい仕事をコツコツやってきた人を探して重用しよう
  • 低きところに水たまる・・・今は利益が出ている事業も他社の参入ですぐそうでなくなる
  • 来るものは拒まず・・・入社を希望してくれる人がいるうちが花。入社させればよい
  • ぽつぽつ三年波八年・・・どういう仕事も一人前として尊敬されるまでには長い年月を要するもの
  • 七度尋ねて人を疑え・・・讒言かもしれないと思って「内部告発」をきくこと

文責:清水 佑三

2003/09/04 94

プレゼン能力を身につけるには?

フーテンの寅さんの稼業である「口上売り」をたくさん観察するとよいでしょう。新橋の駅前にゆくとよくやっています。「わけありだよ、このベルトはね、わけありといってもね、倒産品とかじゃないのよ。わににわけがあるんですよ。よくきいて。アマゾンの隣の川にいたわにだよ。それも上流のね、水の澄んでいるところにいたわにの皮だよ。よくみてごらん。輝きが違うでしょう、ほら」内容は支離滅裂だけど、ついつい口上の魅力でベルトを手にとってしまう。まず、口上に乗せられてベルトを買ってしまう自分をつくらないとだめです。これがヒアリング能力です。ヒアリング能力が高くなると自然にスピーキングのほうに興味が向かいます。やがて日本一のテキヤさんになりたいと思うようになります。『話にさく花』(文春文庫)という小沢昭一の大道芸にまつわるエッセイ集なども(プレゼン能力に関心のある人には)お勧め本です。

文責:清水 佑三

2003/09/03 93

諸手当はなくしてゆくべきか?

職人さんに手間賃を払うときに、その職人さんが「独身か家族もちか」は問題にされません。職務に対して対価が(100%)支払われているからです。(今までの)サラリーマンは違います。その人が「独身か家族もちか」で(同じ仕事をしていても)「報酬」が変わるのです。これは不合理なのではないか、というほうが説得力があります。通勤手当もまったく同じでしょう。どこに住もうとその人の勝手であり、勝手な選択に対して異なる通勤手当を払うのはおかしい、と思います。住宅手当となるとさらにわかりにくくなり説明に苦慮します。働く個々人が家族をもとうが、どこに住もうが、持ち家か賃貸かはすべて個人の問題です。報酬の中でその人が使い道を裁量すればよい問題です。諸手当は確実になくなってゆくとみます。残業手当がどうなるかは議論が残りますが、(工場以外では)なくなってゆくと予測します。

文責:清水 佑三

2003/09/02 92

「よい成果主義」のイメージを。

よい、とは次の三つの条件が満たされる場合に使われる言葉です。「筋が通っている」「効用がある」「人を結集させる」の三つです。ちなみにこの整理は、教育学の村井実先生によります。(高校時代に一度、先生のお宅にうかがったことがあり、その一言一言がなつかしく思い出されます。)村井先生流に「よい成果主義」を定義すれば、(1)納得できる(成果)基準をもつ(2)従来よりも組織が活性化する(3)同じく定着率が向上する、の三つを同時に満たす、となります。成果の定義があいまいでイライラがつのり、職場のムードが沈滞して、よい人がいつかなくなるような状態が(成果主義の帰結として)あらわれたら、よくない成果主義であった、となります。このよしあしは、野球の監督のよしあしと同じで、結果でしか判断できないものだと思います。

文責:清水 佑三

2003/09/01 91

人材多様化とは何をいうのか?

多様化って確かによくわからない言葉です。わからない言葉にぶつかったときは反対語を探す、が鉄則です。多様化の反対語は、単一化、画一化でしょうか。そこから類推すると、(多様化とは)一つのものに収斂させるのではなく、逆にいろいろ異なるさまの共存を(意識的に)促そうとする発散的な意志をいうのだと思います。室町時代末期、あるいは今の自民党橋本派のように統制がとれず群雄割拠する図が、多様化された状態のイメージだとみます。たくさんの種類の違った人が、それぞれ独自の存在の態様をもって、仕事を分けあいつつ共存する姿が人材多様化集団ですよね。(オーケストラで喩えると)しっかりした譜面と強い指揮者がいないと(奏でられる音楽は)滅茶苦茶になります。

文責:清水 佑三