人事部長からの質問

2003/10/15 120

人事部の職掌を要約してほしい。

箇条書きしましょう。人事部にはおおまかに次のような役割があります。

  1. 布置 (文字どおり人をある役割につける案を用意することです)
  2. 労政 (勤労と呼ぶところもあります。組合との折衝、行政との対応が中心です)
  3. 教育 (OJT以外でなされる職能獲得および意識づけ機会の立案、運用です)
  4. 制度 (企画と呼ぶところもあります。給与・評価・任用などのルールの新設、改廃です)
  5. 賃金 (賃金計算及び支払い、社会保険等の付随業務です)
  6. 厚生 (従業員の福祉にかかわる施策の立案と運用です)
  7. 戦略 (長期要員計画等、経営戦略の実現支援です)
  8. 人事 (スキャンダルへの対応等、従業員個人の諸問題への対応です)

文責:清水 佑三

2003/10/14 119

何故会社は成長しなければならないのか?

よいご質問ですね。成長する努力、利益をあげる努力がただ単におもしろいからだ、が私の回答です。狐につままれたような回答だと思います。翻って、何故会社は利益をあげなければならないのか、それもよくわかりません。本当に何故なのでしょうか。国家も同じで、国ごとに成長率、財政健全度を競いあっているのが今の世界です。「成長呪縛」「健全呪縛」ですよね。おもしろくも何ともない回答ですが、「利益を伴った成長ができないと退場させられる」からではないでしょうか。ソヴィエート崩壊がその典型だとみます。成長と健全の両方を70年にわたった共産党治世が実現できなかったのです。中国は健全はともかく、成長は確保できました。中国共産党が支配を維持できている最大の理由でしょう。北朝鮮は健全も成長も失敗していますが大量破壊兵器の拡散威嚇で無理やり存命策に走っている印象です。回答になっていますか?

文責:清水 佑三

2003/10/10 118

『免疫革命』(安保徹著)はもう読みましたか?

ある人に勧められ、本を購入しようとしているところです。ご指摘のように、今の時代を特徴づけていることの一つに「大いなる迷妄への大いなる反省」があるとみています。大いなる迷妄の一つが西洋型医療です。人のなりたちを宇宙(マクロ)的な視点からとらえず、個々の臓器の構造・機能(ミクロ)的な視点から捉える西洋型医療は限界を通り越して危機的状況にあるとみています。その証拠が医療ミスによる死者数の激増です。すでに米国統計では心臓病、ガンについで主要死因の第3位にランクアップされています。灰色のものを含めればダントツのトップだという見方さえあります。私は日本ではもっとひどいと思っています。過剰手術によるミスを黙って耐えているのが日本社会の現状です。何故か。手術が金を生むからです。代替医療、免疫医療は環境との調和を多様な手段を使って回復するという考え方です。それが自然治癒力を呼び戻すという考え方です。会社経営にもあてはめることができると私はみています。

文責:清水 佑三

2003/10/09 117

人事において「失敗の研究」はどうやるのか?

売れている本が世相をよくあらわします。「失敗の研究」本は出版社の人によれば、(最近)もっともよく売れているテーマの一つだそうです。この言葉を有名にしたのは、『日本軍の小失敗の研究−現代に生かせる太平洋戦争の教訓−』( 三野正洋著 光人社NF文庫)だと思います。立花隆さんが週刊文春の書評欄で取り上げてベストセラーになりました。ところでアングロサクソンと我々日本人とを隔てているものの最たるものは、「失敗者」を名指しできる、できない、だと私はみています。減点主義からなる我々の社会では失敗の研究はオンライン的にできません。本人(及び家族)への配慮が働くからです。人事においても同じです。もし仮に特定の失敗者を想定して資料を集め研究に入り、そのことが外部に漏れたとしましょう。人事部長の首が飛びます。もしするのであれば頭の中で一切の記録を用いずやってください。

文責:清水 佑三

2003/10/08 116

人事戦略とよくいうが、「戦略」とは何をいうのか?

「戦略」「戦術」はもともと軍事用語です。敵、味方が対峙する局面でのみ意味をもつ言葉です。敵に勝つための作戦計画を、魚の骨にたとえた場合、背骨にあたるものを「戦略」といい、葉脈状に広がるものを「戦術」といいます。また、作戦計画とは勝因の事前定義のことをいいます。具体的に例をあげると9月20日の自民党総裁選において、青木幹雄参議院幹事長の動きが帰趨を決めたといわれたといいます。青木氏をそのように動かした作戦が「戦略」です。来るべき衆議院選挙でいえば、安倍晋三を党の幹事長にもってきたのが人事戦略です。全国津々浦々の町村長、ボス議員、スポンサー、裏世界の人脈を知悉しているのが政権政党幹事長の要件でした。それらにまったく関心のない安倍晋三を党のトップにもってきたのは2001年の参議院選挙を田中真紀子をもってきた「作戦」と同質です。これが人事戦略のイメージです。

文責:清水 佑三